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少年の日常生活について


 メイリルダは、これからの事を考えると、うんざりしていた。


 食事の世話をしていたこともあり、その後にくるであろう下の世話をどうするのかと言う部分について考えると困ったと思ったようだ。


 目の前にあるトイレの便器を見て呆然としていた。


 子供とはいえ、その子が、大でも小でも催してきた時、それを、どうやって対応しようかと悩んでいたのだ。


(えー、トイレの使い方は、どうするのよ。お尻を拭くにしても、それ、私が世話するのかしら。……。どうしよう。それとも、私が実演!?)


 メイリルダは顔を真っ赤にした。


(ま、まさか、私が、したのを見せて、その時の姿を、この子に見せる?)


 そして、アワアワし始めた。


 メイリルダは、取り乱していた。


(な、なに! そんな事まで、するのかしら!)


「ひっ!」


 メイリルダは、思わず声が出たようだ。


 だが、直ぐに、少年の方を見た。


(いや、待ってよ。私が、そんな恥ずかしい事を、この子に見せる必要なんて無いわ。そうよ、そんな恥ずかしい事は、私のお母さんだって、本当に小さい時だけだったのよ。こんな歳になって、そんな事しなかったわ。そうだわ、私が初めてトイレを使った時って、トイレに私を座らせて、させられたのよ。……。だったら、その時のようにしてあげれば良いわけよね)


 そして、何かを閃いたのか落ち着いた表情をした。


(そうよね。私が、実演するなんて事は必要ないわよね。この子が、催したら便器に座らせて、そこにさせればいいのよね。まあ、ちょっと、匂いはあるかもだけど、それ位は仕方がないわね)


 そして、メイリルダは深く息を吐いて、がっかりした表情をした。


 すると、ドアがノックされた。


 メイリルダは、ドアを開けると管理人が居た。


「メイリルダ。エリスリーンが、呼んでいるわよ。その少年と一緒にギルドマスターの部屋に来て欲しいって。今、使いの人が来たわよ」


 メイリルダは、管理人の言葉を聞いて、とりあえずギルドマスターであるエリスリーンの用事を済まそうかと思ったようだ。


 すると、管理人は、メイリルダの後ろに居る少年を見た。


「ねえ、メイリルダ。その子なんだけど、なんだか、モジモジしているわよ。トイレに行きたいんじゃないの?」


 そう言われて後ろを見ると、少年は腰をわずかに曲げて両手を股間に当てるようにしていた。


「あっ、ああーあ」


 メイリルダは、少年を慌てて、トイレに連れて行くと、ズボンを脱がして、そして、下着も脱がす。


 下半身を露わにすると、トイレの便座に座らせ少し足を開かせた。


 ただ、少年は、ギリギリまで、我慢していたせいなのか、立っていたこともあり、そのまま、行うと便器の外に放尿してしまいそうだったので、メイリルダは慌てて少年の股間に手を当てて先端を下に向けた。


 すると、耐えきれずにいたものが、一気に放出されるように音を立てて排出された。


「よかったわね。最初の排尿がズボンの中じゃなくて、ちゃんと、トイレにできたようだね。うーん、関心、関心」


 管理人は、いつの間にか部屋に入って、メイリルダが少年の放尿を手伝うところを見て関心したようだ。


「もう、びっくりした」


(案ずるより産むが易しね。これで、この子は、トイレを理解してくれたはずよね。あとは、排便の方だけど、これなら、きっと、できると思うわ)


 メイリルダは、ホッとしている様子を管理人は面白そうに見ていた。


(メイリルダったら、慌ててトイレに連れてって、殆どメイリルダが世話をしたけど、転移者ってトイレ位は勝手に使うのよね。まあ、あの水洗トイレって、以前の転移者の発明品だから、案外、転移者なら無意識に知っているのかもしれないのに……。でも、面白そうだから、メイリルダには教えないでおこうかしら)


 管理人は、何やらニヤニヤとしながらメイリルダを見ていた。


 メイリルダは、少年が放尿し終わっても、そのままにしていた。


「ねえ、オシッコ以外は出ない?」


 メイリルダは、少年に語りかけたが、少年はメイリルダを見て、何を聞いてきているのか理解できないような表情をしていた。


 そして、少年は便器からチョンと降りると、自分から足首まで下げられていた下着を引き上げてから、自分のズボンを上げてボタンを止めた。


 それは、全てを理解できており、当たり前のように身なりを整えてから、トイレの水を流すレバーを倒してメイリルダを見た。


(あ、ら、……。な、何よ。ちゃんと、ズボンを履けるし、水を流すこともできるのね)


 メイリルダは、少し驚き気味にしていたが、その後ろに居る管理人は面白そうに見ていた。


(転移者は無知じゃないわ。この国の言葉は知らなくても日常生活についての最低限の知識、まあ、メイリルダは、最初だから知らないだろうけど、……。黙っていた方が面白いわ。ふふ)


 管理人は、黙って2人の様子を見ていた。


「ねえ、メイリルダ。エリスリーンのところに行かないの?」


「ああ、そうね。じゃあ、ちょっと、行ってくるわ」


 そう言うと、メイリルダは立ち上がって少年の手と自分の手を水盤で洗うとタオルで拭いた。


 2人がトイレを出ようとするので、管理人は入口を開けるように部屋の入口の方に移動した。


 部屋の外に3人は出ると、メイリルダが部屋の鍵を閉めた。


「これから、しばらくお世話になります」


 メイリルダは、管理人に挨拶をすると階段を降りて寮を後にした。


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