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帝国で初めての会食 〜リーダーの思うことは〜


 ウィルリーンは、ユーリカリアと出会った時の話を続ける。


 ウィルリーンは、師匠から教わった、冒険者としての心得として、一通りの武器の使い方も教わったことで、ユーリカリアと出会った時に、師匠から教わった、一通りの武器の使い方が、役に立ったのだ。


 そのおかげで、今のユーリカリアが有るのだ。


「ええ、魔法職は魔法だけ、弓は弓だけ使えれば良い訳ではない。 不意を突かれたら、魔法や弓より、剣の方が速いから、全ての武器を使えるようにしておけって言われて、剣も槍も斧も弓も、それに投石まで、一通りの武器は使えるようにさせられたわ。 どんな武器でも、使えなければ、冒険者じゃないって言われて、魔法以外も練習させられたの。 そのお陰で、ユーリカリアを冒険者にさせることができたわ」


「じゃあ、今のリーダーの技の基本は、副リーダーの技なのですね。 2人の武器の使い方が似てると思ったのは、そのせいだったのですね」


「多分、そうね。 ドワーフの国ではギルドに登録して装備を整えただけで、国を出てから、旅の途中で徐々に戦い方を教えたんです。 国を出る前に、武器を揃えようとしたら、リーダーは斧は使っていたことがあるからって、剣より戦斧を選んだんですよ。 まあ、リーダーの村は木こりが多い村だって聞いたから、斧の方が見慣れていたのでしょうけど、私は剣の方が使い勝手が良いって言ったんですけど、見た事の無い物は嫌だとか言って譲らなかったのよ」


 その時の事を思い出してうんざりしたようにウィルリーンは言うと、納得したような顔をするシェルリーンが答える。


「でしょうね。 リーダーはあの性格ですから、そんな感じがします」


「今も戦斧を使っているのは、その時のことがあるからかもしれないわ。 でも、時々、武器屋で剣を手に持ったりしてるから、本当は、剣を使いたいのかもしれないわね。ひょっとすると、何かのきっかけで剣に変えるかもしれないわ」


「そうなると良いですね。 戦斧は威力が有りますけど、重心が先端の方に有るから早い動きは不得意な武器だと思います。 リーダーはそれを筋力で補っているけど、あれで剣を使うようになったら、とんでもない剣速で魔物を倒しそうですよね」


 シェルリーンは笑顔で答える。


「そうね」


 そう言ってウィルリーンは含み笑いをする。




 その話を聞いてアンジュリーンが、シュレイノリアの話が出ないように計らう。


「ユーリカリアさんは、すごいみたいですね」


「ああ、戦斧を使うんだが、その辺の剣を使う冒険者と剣速がそれ程変わらないのよ。 今は、服を着ているからわかりづらいが、裸になった時の背中の筋肉が半端ないの。 多分、背中の筋肉のお陰で戦斧を振り回しても平気な顔で戦っているんでしょうね」


「へー、うちのジュネスも筋肉バカみたいな体型してますよ。 機会があったら、2人を立たせて背中の筋肉を見比べてみたいですね。 でも、家族でもない男女が裸で並んでいるのは、ちょっと問題よね」


 ウィルリーンは、顔を曇らせた。


 ユーリカリアの過去を知っているし、火傷の原因も知っている。


 ユーリカリアは、火傷の痕を気にしているのだ。


 腕と背中に大きな火傷の痕がケロイドになっており、自分以外にはメンバーにも見せてない。


 完全に治ってはいるのだが、その火傷痕を誰にも見せようとはしてない事を知っている。


 また、何度か治癒魔法でケロイドを直そうとしたのだが、上手くいかなかったので、包帯やサラシで隠しているので、2人のリーダーの背中の筋肉を確認するなんて出来ないと言おうとした。


「あなたのところのジューネスティーンさんも、そうなんですか」


 だが、その時、カミュルイアンが話に乗ってきたので、ウィルリーンは、思ったことを言いそびれていると、シェルリーンがここぞとばかりにカミュルイアンに話しかける。


「何だか、リーダー格の人は、筋肉に執着すのかもしれませんね」


 ウィルリーンとカミュルイアンがリーダー談議で盛り上がろうとしているので、シェルリーンが負けじと会話に入ると、カミュルイアンもそれに応じてくれたのをシェルリーンは心の中で喜ぶと話を続ける。


「男同士でも、そんな事を気にするんですか?」


「うーん、気にするかっていうと、大して気にしはしないけど、まぁ、旅の途中で、男3人で一緒に体の汗を流した時に見たんです。 それと、うちのジュネスですけど、多分、太もも、ウエスト、二の腕の周囲はほぼ一緒の寸法だと思いますよ」


 それを聞いてウィルリーンとシェルリーンは目を丸くして驚く。


 確かに、ジューネスティーンの体つきは良い。


 腕も足も太い。上半身も逆三角形をしていると思うが、腕と脚とウエストの寸法がほぼ同じなんてあり得ないと思ったのだ。


「まさか、そんなことって」


 シェルリーンが驚くので、カミュルイアンが何となく気持ちをくすぐられたのか、学生時代のことを思い出す。


「いえ、学校に入った頃に格闘技の授業で、ジュネスが教官にコテンパンにやられたんですよ。 しかも一番最初に教官に呼ばれて、なす術もなくやられてました。 それで立てない位になって他の生徒に引きずられて戻ってから、端の方で他の生徒と教官の格闘術をじーっとみていて、終わった後に筋力が足りないって言って、毎日時間を作っては筋力トレーニングをしてました。 僕も付き合わされて、そのお陰で僕も普通の人より筋肉が付いた方です」


 そう言って、カミュルイアンは力瘤を見せる。


「それじゃあ、ジューネスティーンさんのあの体格は、ギルドの高等学校で鍛えたのですか。 相当効率的に鍛え上げたんでしょうね」


 ウィルリーンが感心したように言う。


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