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帝国で初めての会食 〜カミューの会話〜


 カミュルイアンが、話に入ってきたことで、ウィルリーンは、横に居るシェルリーンを見るのだが、ボーッとウィルリーンを見ているだけだったので、顎を少し振って露骨に援護しろとアピールする。


 それに気がついて慌ててシェルリーンが、慌ててフォローを入れる。


「副リーダーの魔法には、いつも助けてもらってます」


 何とか援護をするのだが、シェルリーンは顎に人差し指を当てて天井を見ながら考える素振りをする。


 ウィルリーンの魔法を使うところを見て、別の魔法を使う人と比べて違いがあることを思い出した。


「でも、副リーダーの魔法って少し違いますよね。なんか系列が違うような感じなので、私が真似しても発動しないんですよ。 それを他のメンバーの人に聞いても、あの魔法は見た事無いって、だから覚えられないから諦めろって、言われたんですよ」


 一瞬、ムッとしたウィルリーンだが、覚えられないと聞いて、エルフのお婆さんから教わった時の事を思い出す。


「ああ、そう言えば、私が教わった時にそんな事を言われたわね。 自分が引退する頃には魔法が少し変わったって言ってたわ。 私自身、冒険者になってから、メンバー以外とパーティーを組む事は無かったから気にして無かったわ。 魔法について、他の人と合わせるなんて事もしなかったし。 でも、リーダーとペアだった時は、若かったから結構無茶もしたのよ。 それで、倒した魔物の話をギルドでした時に自分の魔法の威力が普通の人より強い魔法だって分かったのよ。 それで、それならと思ってギルドの昇級試験に挑んだのよ。 最初のうちは、簡単に上げてくれたけど、そのうちに依頼完了数が足りないと、魔物を倒した数が足りないとかになって、その依頼とかを熟すのに少し時間が掛かったわ。Cランクに上がるのが一番大変だったわね」


「そうですね。 副リーダー程の魔法を使える人は、私も今まで見たことが無かったです。 それに若い頃にそんな事があったのですね」


 シェルリーンが今まで聞けなかった事まで聞けた事に少しほっとしながら答える。




 アンジュリーンは、シュレイノリアとどちらの魔法が強いのかと考えるが、そんな話をするのは薮蛇かと思って口をつぐんでいると、カミュルイアンが口を挟んできた。


「へー、ウィルリーンさんは、魔法職だったんですね。 ギルドで見た時、なんだか帽子とかローブとかが魔法職ぽく無かったから、てっきり魔法が使える別の職業かと思ってました」


 アンジュリーンは、シュレイノリアの話が出てこなかった事にホッとしつつ、カミュルイアンの話にのる。


「そうですよね。 見た感じ魔法職っぽくない帽子と、ローブ? と言うより、マントって感じでしたよね」


「ああ、あれは、魔法を教えてもらった後、その家を出る時に選別に貰った物と同じものを自分で作ったのよ。 市販の魔法職用の帽子やローブだとしっくり来ないし、何だか威力も落ちるようだったし、それで、師匠に貰った物と同じ物を自分で作ったのよ。 それで形とかも師匠の衣装に揃えて作ったから、普通の魔法職の人とは違うのかな」


「そういえば、うちのシュレも自分で加工しているみたいだった」


 その話を聞いてカミュルイアンがシュレイノリアの話をするので、アンジュリーンが嫌な顔をする。


「ほーっ、あの子も自分で作るようにしているのか。 最初に見た時、なんだか普通の魔法職と違うと思ったのは、そのせいだったのか」


 これ以上魔法の話をされるのを嫌ったアンジュリーンが、なんとかシュレイノリアから話を逸らそうとする。


「そう言えば、さっき、メンバー以外とパーティーを組む事が無かったって言ってましたけど、最初から今のメンバーだったのですか?」


「あー、そういえば、最初は、うちのリーダーと2人だけだったんだ。 それから1人、また1人と増えてきたのよ。 ん、最初はユーリカリアと2人って言わなかったかしら?」


 それを聞いて、何とかシュレイノリアから話題を逸らそうとしたアンジュリーンが苦笑いをしつつ、話題を何とかそらそうと、必死に絞り出す。


「でも、ユーリカリアさんって、ドワーフですよね。 エルフのあなたと出会える確率ってかなり低いんじゃないですか?」


 上手く切り返したと思うが顔には出さず、テーブルの下で拳を握る。


「それは、私が師匠のところを出る時に師匠が占ってくれて、ドワーフの国へ行けって言われたんです。 そこで、良い出会いがあるから、北の王国に行く前に行くようにってね。 それで、ドワーフの国に向かったんだけど、その時に結婚相手が気に食わないって、村から逃げてきたリーダーと出会ったんです。 しかも、その時、服は所々焼け焦げていて、あちこち火傷をおっていたわ。 それをみて、火傷の手当と予備のマントを貸したのよ。 それからの付き合いなんですよ。 師匠の占いは、てっきり、私の将来の伴侶が得られるかと思ったのだけど女性ドワーフのユーリカリアだったとは思わなかったわ。 でも案外、師匠の占ってくれた良い出会いって言うのはユーリカリアの事だったのかもしれないわ。 もう、50年ほど付き合ってますから。その後、ドワーフの国を出るまで、大変だったんです。 村の追手から“嫁泥棒”とか言われながら逃げていたからかなり大変だった。 でも、師匠からギルドについても教えてもらっていたから、リーダーと私をギルドで冒険者登録して、出国しやすくしてから北の王国に行ったのよ。 それで、リーダーに冒険者としての第一歩を歩んでもらう為に行く途中に実戦で色々と覚えてもらったのよ。 師匠に教わったのは、魔法以外でも冒険者に必要な事は一通り教わっていたので、早速、リーダーに教えたのよ」


 ウィルリーンは昔を懐かしむように話をする。


「へーっ、そのお師匠さんには、魔法以外の事も教え貰ったのですか? リーダーに副リーダーが教えたなんて驚きました。 そのエルフのお婆さんは、何でもできる人だったんですね。英雄みたいです」


 シェルリーンは感心していう。


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