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会食の準備


 部屋割りが決まると、一息ついてから、先程の依頼料で食事に行くことにする。


 女性3人は、早速、部屋のバスルームを利用することになるので、かなり上機嫌でバスルームに入っていく。


 久しぶりにバスタブに浸かる事ができるとアンジュリーンとアリアリーシャは喜んでいるので、先に使ってもらうことにしたのだ。


 男3人は、武器や装備の手入れをして暇を持て余す事にした。




 女子3人は、ゆっくりではないが、しっかりと旅の汗を流してくる。


 バスルームを、使用している時間も男達の予想を裏切り意外に早く出てきた。


 ただ、備え付けのバスタオルを胸から巻いて出てくる。


 それをソファーでくつろぎながら待っていた男3人が、まさかバスタオルだけで出てくるとは思ってなかったので、それを見て固まっていると、それを見たアンジュリーンが、3人がくつろいでいるソファーの前にズカズカと歩いて行く。


 近くに来ると、石鹸の匂いがほのかに匂うのだが、そんな事を鑑賞している気配はなさそうだ。


「あんた達、まさか、その格好で食事に行くんじゃないでしょうね」


 ドスの効いた声で、上から見下ろすように言うと、何の事かとキョトンとしている2人と、何となく言わんとしている事が読めたジューネスティーンに向かって捲し立てる。


「これから帝国で有名なパーティーと食事なんだけど、旅の汚れを落として、相手に失礼の無いようにとか思わないの? それに、さっきのルイセルさんの話を聞いたでしょ。 彼女達からしたら英雄扱いじゃないの。 そんな人たちと食事なのよ。 下手な格好で英雄をもてなす、へっぽこパーティーって噂が流れたらどうするのよ」


 その横にウサギ耳のアリアリーシャが、膝まで隠れているバスタオルを巻いて横に立つ。


 身長は、130センチと小柄なので、同じバスタオルでも隠れる部分は広いので、膝まで隠れてしまったのだろう。


 しかし、脇の下で巻いているバスタオルなのだが、大きな胸の谷間は隠しきれて無いので、男には目の保養かと思うのだが、それも観賞している暇もなさそうである。


 顔つきがアンジュリーンと同じように思える。


 そう思うと同時に賛同して追い討ちをかけるように言う。


「そうですぅ。 カミューさんは、お見合いなのですから、しかも、1対1では無く、1対2のハーレム見合いなのですよ。 相手に失礼ですぅ。食事の後にどうなっても良いように体の隅々まで綺麗にしておくのが礼儀ですぅ。 全く、羨ましいですぅ」


 最後は、恨めしそうに言う。


「最後は本音が出たな」


 それを聞いて、ジューネスティーンに突っ込まれると、自分の最後の言葉を思い出して湯に浸かって熱った顔が更に赤くする。


「なっ、なっ、何を言っているんですか」


 横に居たアンジュリーンが、アリアリーシャの顔の前に手を出して制するというか庇うようにする。


「どうでも良いが、直ぐにバスルームに行けー! それと、カミューは、隅々迄綺麗にしておく事! お前はそのままベットに行く事だって有るかもしれないんだから、その辺をわきまえて、しっかりと洗っておく事、女性にどこまで顔を近付けられても問題無いように爪先から指先もしっかりと匂いが無いようにして、それとレオンはカミューの背中をしっかり綺麗にしてあげて、それから頭も自分で洗わせない事、この子、頭の洗い方が雑だから、時々、薄く匂いが残っている事が有るから、ちゃんと面倒見るように」


 アンジュリーンにまくし立てられて、その都度、うんうんとうなづいていた2人が、やっと終わったと思って気を抜くと、その姿に苛立ちを覚える。


「わかったら、さっさと行動に移す!」


 アンジュリーンは、右手の人差し指をバスルームのドアに向けるっと、慌てて、バスルームに向かうカミュルイアンとレィオーンパードに、その後を追うようにジューネスティーンが動く。


 アンジュリーンとアリアリーシャの口撃に参加せず、2人とバスルームのドアとの中間に居たシュレイノリアとすれ違いようにジューネスティーンが話しかける。


「俺達の着替えも収納魔法から出しておいてくれ」


「当たり前の事を言うな、お前達が出てくる迄に、着るもののコーディネートもしておいてやる。 さっさと済ませろ。 それと、身体は2回以上あらってくる事!」


 シュレイノリアは、アンジュリーンとアリアリーシャの話に出て無かったので、二度洗いするように言ってきた。


 旅の途中で身体は洗っていたのだが、どちらかというと簡単に済ませる事が多く、湯に浸かるような事は無かったので、同じような感じで済まされる可能性があると思ったのか、確実に旅の垢を落とす為には、その方が良いと思い補足をしてくれた。


 ただ、ジューネスティーンは、シュレイノリアのバスタオルに巻かれた姿を見て顔をわずかに顰める。


 それはシュレイノリアの傷が嫌なのではなく、メンバー達に見られてしまう事に対してシュレイノリアがどう思うのか、メンバー達は何も言わないだろうが、シュレイノリアが引け目に感じないだろうかと心配した。




 シュレイノリアは、転移してきた際に近くに現れたサソリの魔物の襲撃を躱しきれず、その時の傷が全身に残っている。


 たまたま、通りかかったパーティーに助けられて、ギルドに担ぎ込まれ一命は取り留めたが、身体中に大きな傷痕が残っている。


 そのため、スカートでも下にほとんどズボンと言っても良いようなタイツをはき、腕も長袖で隠して首元も隠している。




 それが今、バスタオルに巻かれているだけなので、お腹と背中に付いている傷跡は隠せているが、首元から背中にかけての傷痕や、腕や足についた傷は痛々しく残っているのを見て、この部屋を使う事で他の4人にも晒す事になるのかと思うのだが、それをシュレイノリアがどう思っているのだろうと気になる。




 だが、シュレイノリアの表情には特に感じるものもない。


 当人は、全身に残った傷痕を気にして無いのか、それともいつものように表情が顔に出て無いのか、ジューネスティーンには分からなかった。


 それについては、後で確認する事にして、アンジュリーンに急かされないうちにバスルームに入る事にするのだった。


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