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ウィルリーンとシェルリーン

 

 ウィルリーンは、ジューネスティーン達のパーティーに、希少性の高い男性エルフが居るので、緊張しているのか顔を赤くしている。


 50年程、冒険者をしていれば、別のエルフの里に行った事もあるので、その際に遠目で、その村の男性エルフを見たことは有るが、周囲のガードが硬いので、これ程近くで男性エルフと接する機会はほとんど無かった。


 シェルリーンにしても、父親以外の初めての男性エルフなので、ウィルリーンの後ろでモジモジしている始末である。


 目の前にカミュルイアンという男性エルフが居るので、緊張しているのか、恥ずかしいのか、先ほどの勢いも無くなってしまっている。


 エルフの2人は、交流を持ちたいのだが言い出せないので、それをなんとか先輩のウィルリーンに言ってもらおうと、後ろに隠れているシェルリーンが背中を突っついて話をさせようとしているのである。


 その様子を見ていたユーリカリアが、助け舟をだす。


「あのー、すまないが、うちのメンバーには、この通り2人のエルフが居るのだが、交流を持ちたいので食事でも、どうかと思うのだが」


 ユーリカリアも流石に言い辛そうにしていると、ここまで黙っていたウサギ系亜人のフィルルカーシャが、焦ったそうに本質を話す。


「うちのエルフ2人が、そちらのエルフの男性に興味を示しているんです。 このシェルリーンについては、父親以外のエルフの男を初めて見るので、恥ずかしくてウィルリーンの後ろに隠れてしまって声を掛けられないでいるし、副リーダーも久しぶりに見る男のエルフだから、緊張してしまって喋れないみたいなんです。 本当なら、直ぐにでも手を引っ張って、ホテルにお持ち帰りしたいみたいなんですよ」


 本当のこと言われて、シェルリーンは、ウィルリーンの背中に顔を埋めてしまい、ウィルリーンは顔どころか耳まで赤くしている。


「にゃ、にゃにを言っていりゅのきゃにゃぁ、フィルルキャーシャ」


 引き攣った顔で反論するが、カミカミで答えている。


「だって、本当の事だろう」


 確かに、その通りなのだが、そんなにストレートに言うなと、2人は思うのだ。


 しかし、フィルルカーシャは、面倒くさい事を、自分が言ってあげたんだから、感謝しろという気持ちを態度に出す。


 それを見ていたユーリカリアが、ジューネスティーンに詫びを入れる。


「すまないな。 うちの連中が失礼な事を言って。 まあ、エルフの男性は珍しいからな。 後ろのシェルリーンは、父親以外の男に会うのは初めてらしいし、それに、うちの副リーダーのウィルリーンとの付き合いは新人の頃からなんだが、男のエルフを見るのは、私も数えるほどなんだ」


 今の話を聞いていたアンジュリーンは、初めて聞くエルフの種族的な事情を聞いて、不思議そうな顔で、自分の記憶をたどりながら話だす。


「へー、そうなんだ。 そういえば、私達、エルフに会ったのは、始まりの村といっても、あの人は、300歳以上だったから、子供を作れる歳には見えなかったし、ジュエルイアンさんのところにもヒュェルリーンさんがいたわね。 ……。 あんた、ヒュェルリーンさんに何かしたの!」


 アンジュリーンは、ヒュェルリーンの事を思い出すと、その時、自分の知らない所でカミュルイアンとヒュェルリーンが何かをしていたのではないかと思い、カミュルイアンに睨みを効かせて聞くと、カミュルイアンは、慌てて首を横に振る。


 その顔をジーッと見つめるアンジュリーンにカミュルイアンは、自分の知らないエルフの事情で責められるのは、不本意だと思うのだが、それを口に出せずにいる。


 だが、アンジュリーンの視線に耐えきれずに、カミュルイアンは声をあげる。


「なんでそんなにオイラを責めるんだよぉ。 オイラはヒュェルリーンさんに会ったのは、みんなと一緒の時だけだよ。 食事に誘われた事があったけど断ったし、だから、2人だけで会った事なんで無いよぉ。 本当だからぁ」


 それを見て、アンジュリーンも2人の女子もホッとする。


 3人にしてみれば、ジュエルイアンの筆頭秘書として有能で、憧れのお姉ようなので、その彼女が影でカミュルイアンと、何かあったのかと心配したのだ。


 それが、カミュルイアンが否定した態度を示したので安心した。


 ただ、アンジュリーンとすれば、転移した時も2人一緒だったので、男性エルフが少なくて貴重な存在とは思わなかったのだ。


「でも、他の人達は、カミューを見ても何も言ってなかったわね。 それに、私は、いつもかミューと一緒だったから、貴重だなんて思わなかったわ」


「ヒュェルリーンさんは、ジュエルイアンさんの筆頭秘書だから、ジュエルイアンさん同ように、仕事に関係する人とは、男女の関係を持たないのかもしれない」


 ジューネスティーンがアンジュリーンの疑問に答える。


「だけど、ヒュェルリーンさんのファミリーネームって、トルハイマンだったはず。 それって、ジュエルイアンさんのファミリーネームだから、実は、種族を超えた夫婦なのかもしれないだろ。 そうなったら、子供が欲しいからって、カミュルイアンを口説く事なんて無いだろう」


 ジューネスティーンに指摘されると、アンジュリーンは、考えるような表情をした。


「そうかもしれないわね」


 アンジュリーンもヒュェルリーンのファミリーネームを思い出して、確かにジューネスティーンが言った通りだったと思う。


 そうなると、ヒュェルリーンとジュエルイアンの関係がどうなのか気になるところだが、もし2人が夫婦だったとしたら、ヒュェルリーンが不貞を働くとは思えない。


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