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ユーリカリアとメンバー達 2


 ユーリカリアは、エルフ達の思惑など気にせず、紹介を聞いて一人一人確認するが、このメンバーで本当に東の森の魔物を倒せたのかと思った様子で、表情が疑問そうに見える。


 誰の装備を見ても、特殊な物には見えない。


 むしろ護身用程度の軽装備なので、この装備だけで倒せたとは思えない、ここには無い何かがあるのだろうと予測しているようだ。


「今年卒業したばかりだってのは、今、ルイーゼさんから聞いたが、驚いたよ。 ところで、お前達ランクは?」


 それを聞かれてジューネスティーンは少し恥ずかしそうにする。


 ユーリカリア達の持ち物や身に付けている装備から、最低でもBランクか、Aランクはありそうだと思うので、冒険者としての格差を感じてしまう。


「卒業したばかりなので、自分と、このシュレがCランクで、残りがDランクです」


 ランクを聞いてユーリカリアは驚いた。


 そろそろ、AランクになろうとしていたBランクのパーティーが簡単にほぼ全滅させられたのに、ポッと出の新人パーティーに倒されたことが信じられない。


 それも見た目も若いパーティーに倒せたと知るとそれだけでも驚きの話だと思う。


「おいおい、それで、あの魔物を倒したのか。 これは驚いた。 お前達にCランクやDランクじゃあ、役不足だな。 だけど、ギルドの高等学校を卒業したらDランクしか貰えないはずだが?」


 東の森の魔物をC・Dランクの冒険者が倒したことに驚き、ギルドの高等学校を卒業して直ぐにCランクになったことにも驚く。


 各ランクもその中に1・2・3と、そのランクを分割しており、そう簡単にランクが上がるようなものではない。


 自分達もAランクに上がるまでには、相当数の依頼をこなし、依頼が無ければ魔物を狩ってコアをギルドに販売する。


 その繰り返しとギルドの試験に合格して初めてランクアップする。


 CからDに上がるのにも、ギルドが規定する試験条件を満たす件数をこなして初めて昇格試験に挑める。




 ユーリカリアは、叩き上げで、Fランクから地道にAランクまで昇格してきたのだ。


 ただ、最初はユーリカリアとウィルリーンの2人だけのパーティーだったが、Cランクに上がった時に初めてフェイルカミラが新人としてメンバーに加わった。


 その時に一緒になったフェイルカミラと一緒に活動することで、ランクを上げるのにかかる期間が自分たちより早く上がれる事に気がついた。


 要するに依頼数をこなすのであれば、上位ランカーと一緒であれば、上位の依頼もパーティーとして受けることになり、ソロで引き受ける新人のランクの依頼数より、パーティーで上位の依頼を受ける事で、依頼の達成数が少なくて済む事になり、結果として同じランクの人と組むより上位ランクの冒険者と組んだ方が、早くランクが上げられる事が分かったのだ。


 パーティーとして依頼の数をこなすなら、上位ランクの人と一緒に活動した方が早い事が分かったのと、また、人数が多い方が戦いやすい事が分かると、その後は徐々に人数を増やして、現在は6人でパーティーを組んでいる。


 その事を考えると、ジューネスティーン達も誰か上位ランクの冒険者と組んでランクを上げたのかと思うが、高等学校の生徒を好き好んでパーティーに入れる冒険者と言うのも考えにくいと思うと、在学中にコツコツと依頼をこなしてCランクにしたのだろうと想像する。




 ユーリカリアは、自分とウィルリーンと2人で戦っていた時の事を考えると、ジューネスティーンともう1人が現段階でCランクという事に驚く。


「自分とシュレは、在学中に運良く色々と依頼をこなしていたお陰で力を付けられました。 運良く卒業前にCランクに合格できたんです」


「そうなのか」


 ユーリカリアは、また運なのかと思いつつも、南の王国には行った事がないことと、ジューネスティーン達の出たギルドの高等学校について、詳しいわけではない。


 在学中にCランクに上がれる事もあるのだろう程度に聞いていた。


 そんな話をしている中、ジューネスティーンはユーリカリアの後ろにいるメンバー達に目がいく。


 エルフ2人、ウサギ系、チーター系とリザードマンが1人づつ、ただ、リザードマンは普通のリザードマンとは異なり、左右の目が違う方向を時々見ているのと、自分達とは違い、女性だけのパーティーも有るのかと気になった。


 後ろのメンバーを見たジューネスティーンに、ユーリカリアは答えた。


「うちは、女ばかりの人属以外の異色パーティーだが、それでも、うちは、3人が冒険者としてAランクをもらっているんだ。 あんたのところも、人属以外が多いから、お互い、帝国では目立つパーティーになるので、気をつける事だ」


 ジューネスティーンは、やはり、Aランクが居たと思うが、3人もいるなら、彼女達でも東の森の魔物を倒せるのではないかと思う。


 ユーリカリアは、そんなジューネスティーンの思いなどは気にせず、次の話に入っていく。


「まあ、腕は確かみたいだから、困った時は相談させてくれないか。 それで、どこを寝ぐらにするんだ」


 そう言って右手を出してきたので、それを見たジューネスティーンはその手を握って握手をしながら答える。


「とんでもありません。 私達はまだまだですから、あなた方のお役に立てるかどうか分かったものではありません。 でも、もしお手伝いできる事があるなら、こちらとしても、あなた方のようなベテランパーティーと組めるなら大歓迎です。 泊まるところは、金糸雀亭を拠点に活動する予定です」


 ユーリカリアは金糸雀亭と聞いて、直ぐに場所を思い出す。


「そうか金糸雀亭か。 私らは、金糸雀亭の向かいに立っている金の帽子亭だ。 何かあったら、そちらに連絡しておいてくれ」


「わかりました。 その時は、金の帽子亭に伝言しておきます」


 そこまで言うと、シェルリーンがウィルリーンを後ろから突っついている。


 何としてもウィルリーンを使ってカミュルイアンと話をしたいと考え、何とか喋らせようとしているのだ。


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