ユーリカリアとメンバー達
受付脇のドアの前で待っていたジューネスティーン達が、ルイゼリーンの方に来ると、ユーリカリアがルイゼリーンを差し置いてジューネスティーンに話しかける。
「やあ、あんたらが、街道沿いの魔物を倒したのか。 やるなぁ」
ジューネスティーンは、声音と胸がある事で直ぐに女性と分かる。
身長はジューネスティーンより頭1つと言うより、肩の高さ程しかない小さい女性だが、体格は肩の肉厚や腕の太さから筋肉質な女性だと思ったようだ。
(この人、腕の太さなんか、俺と変わらないな。 それに凄い胸板だ。 とても、女の人とは思えない体格だなぁ)
腕の太さ太ももの太さ、胸板の厚さを見たら、ジューネスティーンは、自分とそう変わらない程の筋肉質だと思ったようだが、女性にそんな事を言ってはいけないだろうと、言葉には出さないようだ。
ただ、腕のでるシャツを着ているのだが、左腕には、しっかりと包帯を巻いている。
ドワーフ属だと窺えるが、ドワーフ属にしては、身長が大きいので、人属の女性離れしたというか男性勝りの筋肉質な体つきの人属の女性なのかとも思える。
もう10センチか20センチほど、低ければドワーフだと判断できるが、装備している戦斧からドワーフに似せた格好をした人属とも言える。
微妙な感じの女性、そんな印象を受けつつ、ジューネスティーンは、ユーリカリアの質問に答える。
「ええ、たまたま、通り沿いで遭遇したので、仕方なく戦ってしまいました。 倒せたのは、運が良かっただけです」
初めて話をする帝国の冒険者なので、控え目な発言をしておくジューネスティーンは、目の前のユーリカリアは、見た目は20代半ばに見えるのだが、人属なのかドワーフ属なのか計りかねる。
人属ならば、冒険者歴十年といったところだが、ドワーフ属であるユーリカリアは実際には50年近く冒険者をしている事になるので、どっちなのかと思っているようだが、そんなことも聞くわけにはいかないので、気になってはいるが、保留にしている。
ユーリカリアも、ジューネスティーンを見ている。
(ジューネスティーンに東の森の魔物を倒すだけの実力がなんで有るのか?)
長身で体も出来ている、ジューネスティーンを見て、値踏みをしているのだろう、細かく、体格や、持ち物を見ている。
ジューネスティーンの二の腕の太さは、足の太さとほぼ同じ程度はありそうに見えるのだが、腰に付けている剣は、それ程太い剣ではなく、鞘の大きさからその中に収まっている刃は、細身の曲刀といった感じである。
腕の太さを思えば、もっと幅広の剣でも自由に扱えそうに思えるので、そんな細身の剣で、東の森の魔物が斬れるのかと感じる。
自分の経験から、運だけ倒せるような魔物とは思えないので、ジューネスティーンには、どんな実力が隠されているのか気になる。
他のメンバー達も見たところ、強力そうな武器を持っているようには思えないので、その武器だけで倒せたのか理由が見当たらない事もあり、なんでこんな新人がと思った様子が伺える。
(東の森の魔物を、たまたま、運が良かったから倒せるるはずがない。 だが、こいつらを見ていると、本当に、新人のように思える。 こいつらが、どうやって、あの魔物を倒したんだ)
そんな事を思いつつ、ジューネスティーン達は、何か奥の手を隠しているのだろうと、疑っているように見える。
ユーリカリアは、ジューネスティーンを品定めするような目つきをする。
「ほーっ、あれは、運だけで倒せる魔物じゃないから、あんたら相当な腕だな」
そう言うと、もう一度視線をジューネスティーン以外のメンバーに移して、全員の顔も見てから、自分達の自己紹介をする。
「帝国で活動するなら顔を合わす事もあるだろう。 私は、ユーリカリア・ソルボ・アメルリアンだ、ユーリカリアと呼んでくれ、よろしくな。 それとメンバーだが、手前のエルフが、ウィルリーンで、後ろに隠れているのがシェルリーンだ。 後は、リザードマンのフェイルカミラに、耳のでかいのがフィルルカーシャ、それと、黄色の髪がヴィラレットだ。 6人でパーティーを組んでいる」
ジューネスティーンも、ユーリカリアの紹介を聞きながら後ろに居るメンバー達を確認する。
その際に、ジューネスティーンは、ユーリカリア達の持ち物もチェックしてから答える。
「ジューネスティーンと言います。 メンバーのみんなは、ジュネスと呼びますので、ジュネスで構いません。 自分達は、今年、王国のギルド高等学校をでて帝国にきました。 帝国は初めてなので、こちらこそよろしくお願いします。 隣に居るのがシュレイノリアで、後ろのエルフは、女子がアンジュリーンで、男子がカミュルイアンです。 後、耳の長い方がアリアリーシャで、残りがレィオーンパードと言います」
名前を呼ばれるたびに、メンバー達は、軽く会釈をしたので、直ぐに名前と顔が分かるようにした。
ただ、カミュルイアンの名前を伝えた時に、ユーリカリアのところの、2人のエルフは、その名前を心に刻み込むように聞いていた。
ウィルリーンの後ろにいるシェルリーンは、名前を知ることができて顔を赤くして隠れる。
(きゃーっ、カミュルイアン様というのですね。 素敵な名前です。 あー、初めて見た男性のエルフがカミュルイアンようなんて、神様の巡り合わせなのだわ。 私の初めての相手はカミュルイアンように捧げられないかしら。 いえ、絶対にカミュルイアンように捧げます)
シェルリーンがカミュルイアンを見て、自分に子供を宿してくれないかと考え顔を赤くしながら妄想を膨らませている。




