Aランクパーティーとの接触 2
こんな所で、男性エルフと出会えるとは思っていなかったので、見た目からボーイッシュな女性エルフと思っていたのだが、言われてみれば男子なのかもと思える。
しかし、シェルリーンの56歳という年齢を考えれば、この子が子供を作るのはまだ早い様に思える。
エルフのシェルリーンは、56歳といえど、見た目は若く、人で言ったら、19歳程度になる。
ウィルリーンの85歳を考えれば、人の24歳といえ、そろそろ、適齢期と言えるのかもしれない。
村に居れば、自分もそろそろ子を持つようにと親に言われるだろうが、シェルリーンは少し若いのでもう少し待つ様に言われる年齢でもある。
シェルリーンが自分達のパーティーに入った時から、ウィルリーンは、彼女に対して、姉であり親である様に接してきたのだから、その辺りは、ちゃんと話をしてあげないといけないと思う。
「お前は、まだ、早い。男の経験も無いんだ。 ここは年長者である私に譲るのが筋ってもんじゃないのか」
ウィルリーンが大人の発言をすると、シェルリーンが悲しそうな顔をする。
「そんなぁ〜。 ひどいです。 エルフは一夫多妻です。 種族的に男性エルフが産まれるなんて、10人、いえ、100人に1人位しか産まれないのですから、私にも権利はあるはずです。 それにお母さんから男性エルフを見たら必ず床を一緒にしなさいと言われて出てきてます。 それにエルフ種の種族的に竿姉妹なんていくらでも居ます。 一つの村の女子は、全員同じ人を夫にしているなんて当たり前の話じゃないですか。 ウィルリーンさんと一緒のパーティーになった時から、こうなる事は覚悟しておりました」
初めて見た男性エルフにシェルリーンも引き下がらない。
ウィルリーンも、シェルリーンの言った事は、男性エルフと出会ったら、あり得ると思っていたが、それは、後30年は先の話だと思っていたのだ。
エルフの種族的に男性種が生まれ難い事を考えれば、パーティーにシェルリーンが、入った時からそうなることは、ウィルリーンも思っていた事である。
それが、今なのかもしれなと思うが、いまいち自分を納得させることができないでいる。
ウィルリーンは、恐る恐る背後に隠れているシェルリーンを覗くと目が合うが、その目は、絶対に引かないと訴えている。
ウィルリーンは、仕方がなさそうに、やれやれといった感じになる。
「分かった。 分かった。 この耳年増がぁ。 じゃあ、相談してみる事にしよう。 あのパーティーには女性エルフも居るから、あのエルフにも話をつける必要が有るからな。 そう簡単にはいかないかもしれないぞ」
カミュルイアンの他に女性エルフのアンジュリーンもいるから、ひょっとすると夫婦という可能性もあるので、場合によっては夫を貸して欲しいという事になる。
そんな不安を思っているウィルリーンだが、シェルリーンは、引く気は無いようだ。
「エルフの夫婦だったとしても、エルフの種族維持に協力して貰うべきです。 だから、ここは、何とかお願いするべきです。 それにあの男性のエルフの方は、イケメンです。 めちゃくちゃ好みのタイプです。 ウィルリーンさんだってそう思っているはずです」
この2人のエルフの会話を聞いて残りの4人が少し引き気味になっている。
特に3人の亜人達には、エルフやドワーフの様に男女比が偏るような事は無いので、一夫多妻は、貴族や王族の話で自分達には関係ない事と認識しているので、2人の話を聞いて戸惑っているというのが本音である。
2人のエルフの様子を見ているユーリカリアは、エルフの事情を詳しくは知らないが、珍しく妹分のシェルリーンが、姉貴分のウィルリーンに対して一歩も引かないような態度を示している。
シェルリーンも初めて見る男性のエルフに一歩も引く気は無い様に思えるのだが、それならウィルリーンの後ろに隠れてないで、もっと自分からアピールすれば良いとも思う。
ただ、父親以外の男性エルフを見るのが初めてだと言っていた事を思い出すと、そんなに積極的になれないだろうと思うと、きっかけをウィルリーンに作ってもらいたいと思っているのだろう。
ユーリカリアは、シェルリーンと付き合い出してから長いが、男性エルフとシェルリーンが接触できた回数など数える程しかないし、最近は、シェルリーンがパーティーに入る随分前から男性エルフに出会ったことはないのだから、そんな簡単に男性エルフに声をかけられるとは思えない。
仕方無さそうに、ユーリカリアが、あの男性エルフと交流を持つ機会を作る必要があると考える。
「その話も含めて、あのパーティーとは友好的な関係を深めておく必要がありそうだな。 それに、あのガタイの良い人属と豹系亜人も居るから、その話はパーティー全員に了解を取る必要がありそうだ」
ジューネスティーン達を見ると、男性エルフとヒョウの亜人が、暇を持て余しているのか、突っつきあったりして、子供の様に戯れている様にも見えるので、性的とは言わないが、それなりに仲が良い様に思えるので、念のためユーリカリアは口に出した。
そんな話を聞いていたルイゼリーンが、自分がエルフでは無い事がバレないかヒヤヒヤしている。
なるべくウィルリーンとシェルリーンの話を振られない様にしているが、あまり一緒にいるより、さっさと引き合わせて逃げた方が良いだろうと考える。
「じゃ、じゃあ、早速、彼らを紹介しますので、少々お待ち下さい」
そう言うと、ルイゼリーンは、ジューネスティーン達を呼ぶ様に手を振る。




