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Aランクパーティーとの接触


 ギルドマスターのユーリルイスと話をして、ルイゼリーンに東の森の魔物に付いて報告していた事で、時間も冒険者達が戻ってきてその日の収穫をギルドに引き取ってもらう頃になっていた。


 ロビーに居る冒険者達は、街道沿いに現れた魔物が退治されたという噂話になっている。




 話が終わってロビーに出たジューネスティーン達を見つけると、全員がジューネスティーン達を見て一瞬会話が途切れるが、直ぐにガヤガヤといったロビーの会話がヒソヒソと話すようになる。


 ジューネスティーン達を見るロビーにいる冒険者達は、ジューネスティーン達の年齢が若い事と人種の少なさで直ぐに自分達の仲間との話になり騒がしくなる。




 ロビーには人種が大半だが、その人垣から少し離れた所に、人属が誰も居ない亜人種の集団がいる事にルイゼリーンが気がつく。


 ロビーに出た時から周りを気にしているようだったので、その亜人種達を探していたルイゼリーンは、ジューネスティーン達に向き直ってから立ち止まるように指示する。


「少し待ってもらえますか? 合わせたい人達が居ますので」


 ジューネスティーンが首肯くとルイゼリーンは、ジューネスティーンに笑顔を返して亜人種のグループの方に行く。




 ルイゼリーンは、その集団の中で一番背の低い1人に話しかける。


「ユーリカリアさん、今日も良い物をお持ちいただけましたか?」


 その言葉に、メンバーと話をしていたのを止めて、ルイゼリーンの方に振り返る。


「ああ、ルイーゼさん、受付に居なかったから、少し待ってたんだ。 他の受付嬢に代わりにお願いしようかとも思ったんだが、俺達だと嫌な顔されるんでな。 待ってたんだ」


 ルイゼリーンは、自分を頼ってくれたと嬉しく思う反面、待たせてしまった事に申し訳無さも感じている。


「それは、大変申し訳ございませんでした。 直ぐに対応させて頂きますが、その前にご紹介したい人達が居ますので、少しお時間をいただいてよろしいでしょうか?」


 ユーリカリアは、ルイゼリーンの申し出に不思議そうに肯定する。


 メンバーの募集をしているのであれば、受付嬢が人に会わせることはあるが、自分達は、メンバーの募集をしていないので、ルイゼリーンが仲介して会わせるのは、珍しい事だとユーリカリアは思った。


 ただ、ルイゼリーンはジューネスティーン達にひき合わせる為に、ユーリカリアを呼び止めて話をしたのだ。




 しかし、ユーリカリアは、メンバー達と話していた事をルイゼリーンに聞けば分かるかと思い、聞いてみようと思い訪ねてみる。


「それより、東街道の魔物が倒されたって聞いたんだが、本当の事か? この前、ウッドタカスがやられたあの魔物を無傷で倒したらしいじゃないか? 一体、どこの連中なんだ」


 捲し立てられて、少し引きつった顔をしているルイゼリーンが、ジューネスティーン達を指差して答える。


「あのー、その魔物を倒した人達を紹介しようと思いまして、お声がけしました」


 ユーリカリアは、ジューネスティーン達を見て、怪訝な顔をする。


 ジューネスティーン達があまりに若い事と、初めてみる顔なので、明らかに新人冒険者といった出立なことから、少し信じられないといった顔で、ルイゼリーンに視線を戻す。


「おい、あの連中なのか? エルフはともかく、それ以外は随分と若いな。 まるで学校を出た新人みたいな連中みたいだが」


 ユーリカリアはジューネスティーン達を見ると、二十歳そこそこか10代後半どころと見るが、それ以外にも、10代半ばと思えるメンバーまで居るので、信じられないといった顔つきで聞くと、横に居たエルフの1人が、ユーリカリアの言葉に反応する。


「おい、リーダー、エルフはともかくとはどう言う事だ」


「言った通りだ。俺もお前も見た目より遥かに年はいっている。 あの2人10代半ばに見えるが、40は過ぎているだろ、その年輪は大きな武器だって事だ」


「ふん!」


 そのやり取りを微妙な顔で聞いていたルイゼリーンが少し申し訳な差そうにしつつ話をする。


「はい、そのー、あの方達は今年度のギルド高等学校を卒業したばかりでして」


「な、なにー! そんな連中にっ」


 ユーリカリアが、学校を卒業したばかりという事に驚き大声を出すと、ロビーに居る冒険者達が一斉にユーリカリアを見るので、横にいたウィルリーンが、慌ててユーリカリアの口を塞ぐ。


「リーダー、声がデカイ」


 耳許で囁くように言われると、ユーリカリアは冷や汗をかきながら首肯くと、ウィルリーンは周りの反応を伺いながら、ゆっくりとユーリカリアの口から手を離す。


「ああ、すまない。大丈夫だ」


 ウィルリーンに言うと、ルイゼリーンに話しかける。


「まあ、あんたが言うなら、あの連中がウッドタカスの仇を打ってくれたんだろうな。 若いとは思ったが、今年度の高等学校の卒業生だったって、あいつらどんな連中なんだ。 見た目はただの新人にしか見えないし、1人はガッチリした体型だけど、それ以外は一般人とそう変わらないぞ」


 それを聞いていたウィルリーンもユーリカリアの言葉に同意する。


「信じられません。ウッドタカスはベテランと言えるパーティーですし、私も実力を良く知っております。 もう、実力的にはAランクと言えるパーティーだったのに、あのウッドタカスが倒された魔物を、あの新人が倒したとは……。 しかし、人は見かけによらないと言いますから、私達の知らない何かを持っているのかもしれませんね」


 そう言うと、もう1人のエルフのシェルリーンが、ウィルリーンの耳元で囁く。


「そうですよ。 それにあのパーティーには男性エルフが居ますよ。 貴重な男性種ですよ。 お近付きになれませんか? 私、お父さん以外のエルフの男性を見るのは初めてなんですよ」


 ウィルリーンは、カミュルイアンを見ると若干の違和感を感じる。


「なあ、ひょっとしたら、女子って可能性だったありそうだぞ。 聞いてみないと何とも言えないが、男子っぽい女子という可能性もあると思うぞ」


「いえ、あれは絶対に男子です。 隣の亜人の男の子と時々戯れているじゃないですか。 あの感じは、絶対に男子同士のじゃれあいです」


 シェルリーンは恥ずかしそうにして、ウィルリーンの後ろで、小さな声でジューネスティーン達のパーティー、特にカミュルイアンをチラチラとウィルリーンの後ろに隠れながら見ている。


 ウィルリーンは、シェルリーンに言われて、あの感じは、男子同士の感じがする。


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