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ギルドマスター ユーリルイス


 メンバーは2階のユーリルイスの執務室に通され、応接用に置かれているソファーに案内される。


 3人掛けの長椅子のソファーが2つ、細長いテーブルを挟んで対に置かれ、残りの狭目のテーブルの面にも1人掛けのソファーが対で置かれている。


 ユーリルイスは、奥に置いてある自分用の執務机の手前の1人掛けのソファーの横に立つと、左右の3人掛けの椅子を右手で指し示す。


「まぁ、そちらに腰掛けてくれ」


 メンバーは3人掛けの椅子に3人ずつに分かれて座る。


 6人が分かれて3人掛けの椅子に座ると、ユーリルイスも執務机の前に有る一人掛けの椅子に座った。


 座ると、直ぐにドアをノックして、トレーにポットとカップをのせた女性が2人入ってきて、全員にお茶を配ってくれる。


 配り終わるとその女性達は部屋を出て行く。




 ユーリルイスは、お茶を出してくれた女性達が部屋を出て、扉が完全に閉まるのを確認すると口を開く。


「君たちの話は、ギルド間の定期通信で聞いている。 こちらでもサポートさせてもらうので、安心して欲しい」


「助かります」


「宿はここの少し先にある、金糸雀亭を使ってくれ、若い女主人だが情報が漏れたりする事は無い。 ジュエルイアンのお墨付きだ」


 ジュエルイアンは、南の王国の商人で、各国に支店を出すほどの大商会の商会主である。


 そして、ギルドとも親交が深い。


 ギルドの開発するアイテムを販売している商人のため、ギルドの支部が有るところには必ずジュエルイアンの店があるので、大陸中の国には全て支店が出ていることになる。


 ただ、ギルド支部が、大ツ・バール帝国にできる前から、ジュエルイアンの支店は帝国に存在している。


 帝国内にも当然ジュエルイアンの支店が有り、その傘下の店の一つが金糸雀亭になる。


「そちらにルイネレーヌのパーティーも泊まっているが、部屋は離れた所にしてあると聞いている。 多分金糸雀亭にも彼女の情報はジュエルイアンから聞いているのだろうから、多分、彼女達を隔離しているのだろうな」


 そこに居る全員がルイネレーヌの性癖を知っているので、ユーリルイスの隔離と言う言葉に納得する。


「ご配慮感謝します」


「それから、高等学校の大会には、帝国からも賓客として招かれているから、君達の事は帝国でも知られている。 それに東街道に現れた東の森の魔物の討伐も行ったとなれば、帝国も君達に注目する。 帝国にまだ動きは無いが、直ぐに君達に監視が付くだろう。 呉々も単独で出歩く事は避けてくれ。 強硬策に出られると困る」


「わかりました」


 そこまで話をすると、ドアがノックされ、ルイゼリーンが入ってくる。


「先程の報酬をお持ちしました。 それとお預かり致しましたギルドカードをお持ちしました」


 そう言って、報酬の金貨を持って入ってくると、ジューネスティーンの脇に行って報酬とギルドカードを乗せたトレーを置く。


「依頼料の金貨2枚とコアの買取で中銀貨5枚となります」


 メンバー達は金貨を目にして驚嘆の目で金貨を見る。


 ジューネスティーンは、トレーから全部のギルドカードを取ると中から自分のカードを取り、残りのカードを横に居るシュレイノリアに渡すと、シュレイノリアも自分のカードを取って隣に渡していく。


 ジューネスティーンは、金貨と中銀貨を取ってシュレイノリアの収納の中に入れてもらおうとすると、シュレイノリアが、ドロップアイテムの事を聞いてくる。


「こっちはどうする?」


 ポシェットの入り口からコアと一緒に拾った金塊を少し顔を出させる。


「ああ、忘れてた」


 そう言って、金貨と中銀貨をトレーに戻しながらユーリルイスに、ジューネスティーンは話しかける。


「コアと一緒にドロップアイテムも有ったので、それも買い取ってもらえますか?」


「構わんよ」


 ユーリルイスの了解を得たので、ジューネスティーンは、シュレイノリアのポシェットに両手を入れて金塊を取り出してシュレイノリアの前のテーブルの上に置く。




 その金塊を見て、ルイゼリーンとユーリルイスは息を呑んだ。


 2人が驚きながらその金塊を見ているので、ジューネスティーンはトレーの金貨と中銀貨を取ってシュレイノリアに渡すと、シュレイノリアはポシェットの中から皮袋を取りだして、その中に入れてからポシェットに入れる。


 ユーリルイスは取り出された金塊を、マジマジと見つめてからジューネスティーンに聞く。


「すまんが、手にとって見ていいか?」


 ジューネスティーンは、シュレイノリアの前に置いてある金塊を持ち上げると、ユーリルイスの前に置く。


「どうぞ」


 ユーリルイスは恐る恐る手を伸ばして、テーブルの上に置かれた金塊を持ち上げる。


 思った以上に重かったのだろう、持ち上げるときに最初は思った以上の重さだったので持ち上がらないような仕草になるが、もう一度、今度はそれなりの力で持ち上げる。


 ユーリルイスが自分の胸元に金塊を持っていき、グルグル回しながら全体を確認している。


 かなり真剣に見ていると、ルイゼリーンがジューネスティーンに尋ねる。


「これが東街道の魔物から出てきたのですか?」


「ええ、コアと一緒に出てきました」


 金塊を見ていたユーリルイスが、視線を金塊から目を離さず話し出す。


「これだけの量の金塊だと、かなりの金額になるな。 すまんが、ルイーゼ、買取の準備をしてくれ。 それと、適正価格に金貨5枚を上乗せしてくれ。 ギルドの予備費から出してもらうように経理には言っておいてくれれば構わない。 ひょっとすると通常の金塊には無い成分が出るかもしれないな。 詳しい調査も必要になるだろう。 本部に送る事になる」


「かしこまりました」


 ユーリルイスは手にとっていた金塊をトレーに乗せると、ルイゼリーンがトレーを持って入って来たドアとは別の執務机の横の方のドアを使って退出する。


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