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ギルド ツ・バール支部の登録と魔物のコア 3

 

 シュレイノリアが、保管していた、東の森の魔物のコアを渡したのだが、東の森の魔物のコアを、先に出してから、話をすれば、こんな騒ぎにはならなかったのだ。


 さっさと、魔物のコアを見せれば、余計な、やり取りもせずに済むのに、ジューネスティーンは、悪戯心を出していたので、そんなジューネスティーンを見て、シュレイノリアは、ジューネスティーンに、ボソリと言う。


「あまり、意地悪をするものでは無い」


 唖然として、コアを見つめるルイゼリーンは、声を失っている。


 その、やり取りを、奥の机から書類の整理をしつつ覗いて、ニヤニヤしていた受付嬢達も、ジューネスティーンが、置いたコアを見た、その目が釘付けになる。


「これが東街道に居た、魔物のコアですけど」


 他の魔物とは、明かに違う大きさの魔物のコアをみて、調べなくても、東街道の魔物か、それと同等の魔物のコアであると、ここに居る受付嬢なら誰でも分かる。


「このコアを調べて貰えませんか。 それで、東街道の魔物の物と判りましたら、その依頼は、自分達が完了させたという事で、宜しいでしょうか」


 固まってしまったルイゼリーンは、今年度ギルドの高等学校を卒業したばかりの、Dランクパーティーが、たとえ主席と次席が一緒のパーテイーでも、簡単に倒せるような魔物ではないのだが、それを倒してしまった事に、信じられないといった様子でコアを凝視している。


 この前、帝国ギルドでも上位のBランクパーティーで、しかも、もう直ぐ、Aランクにパーティーを格上げする話が出ていて、実力的にはAランクだと言われていたのだが、そのパーティーが、ほぼ全滅した。


 その強力な魔物を、駆け出しパーティーに討伐された事が、信じられないと固まっている。


「あのー。 このコア、調べていただけないでしょうか?」


 その、固まっているルイゼリーンに、ジューネスティーンは、再度声をかけた。


「あっ、あぁ、ハイ」


 ジューネスティーンの言葉に、ハッとなって、しどろもどろのルイゼリーンが、慌ててコアの預かり札を渡す。


「で、では、このタグをお持ち下さい。 確認が取れましたら直ぐに依頼の処理を行います」


 そう言うと、ルイゼリーンは、魔物のコアを持って奥に行くと、奥のドアを抜けていってしまう。


 それを、後ろの席に移って、ルイゼリーンとの、やり取りを面白そうだと、見ようと思っていた受付嬢達も、ルイゼリーンの慌てた姿を見て、唖然とした顔から我にかえり、慌てて、自分の作業をするような様子をしている。


 受付嬢達の態度を見ていて可哀想になったのかジューネスティーンをシュレイノリアが諌める。


「あまり、悪戯しない」


 若干焼き餅を焼いたように言う。


「そうですぅ。 最初からコアを見せれば、問題無かったですぅ」


 アリアリーシャが、やれやれといった感じで、シュレイノリアに同調する。


「あの受付嬢さん、青い顔してたわよ」


 アンジュリーンが、ルイゼリーンを、可哀そうだと思いつつ、ジューネスティーンに、その事を指摘する。


 女性陣から注意を受ける、ジューネスティーンだったのだが、ルイゼリーンに感じた違和感を思いつつ答える。


「あぁ、ちょっと気になることがあったので、なんだか、悪戯したくなった」


 そんな、ジューネスティーンの言葉に、カミュルイアンが反応する。


「にいちゃん、ああいったのが好みなの」


 ジューネスティーンは、カミュルイアンには、 ‘にいちゃん’ と、言われたくはないと思うのだが、それを言ってまた女子達に突っ込まれても面倒だと思い黙っていると、レィオーンパードが余計いな事をいう。


「シュレ姉ちゃんが、フラれた」


 ジューネスティーンを、からかう男子2人だが、レィオーンパードは言い過ぎた。


 シュレイノリアに睨まれるが、シュレイノリアも、ちょっとキツい冗談だと分かっているので、睨んだだけで終わらすのと、レィオーンパードは慌ててそぽを向く。




 そんなバカ話をしていると、ルイゼリーンが、男を一人連れて入ってきた扉ではなく、窓口の横の扉から戻ってきた。


 連れてこられた男が、ジューネスティーン達に話しかけてきた。


「やあ、私は、ここのギルドマスターの、ユーリルイス・パーラ・スエロだ」


 そう言って、握手を求めるので、ジューネスティーンは、それに応じると、ユーリルイスは小声で話しかける。


「今回は、東街道の魔物を討伐してくれてありがとう。 あのコアの確認には少し時間がかかるだろうが、あの大きさのコアだから、間違いは無いだろう。 手続きの都合が有るから確認はもう少し待って欲しい」


 ジューネスティーンは、ギルドマスターの、お墨付きが出た事で安堵する。


 ただ、ユーリルイスとしては、周りに居る冒険者にはあまり聴かれたくないようなので、小声でジューネスティーンに語りかけた。


「じゃぁ、東街道の魔物討伐の依頼は、達成したということで、よろしいですか」


「あぁ、問題無い。 それに、王国のギルドからも連絡を受けている。 本当にありがとう」


 そう言って、呼びに来てくれたルイゼリーンに指示を出す。


「ルイーゼ、依頼の処理をしてくれ」


 ルイゼリーンに指示を出すとジューネスティーン達に向き直ってすぐに話しかける。


 あまり、受付カウンターの前で話をするようなことでも無いし、このままにしておくと、エントランスに居る冒険者達によって強引な引き抜きに合う可能性もあるので、ユーリルイスは場所を変える事にする。


「ここではなんだから、こっちに来てくれ、お茶ぐらいしか出せないが、少し労わせてくれ。 前に討伐に行った連中は残念な事をしたが、生き残りに仇を取った事を教えてやりたいから、少し話を聞かせてくれないか」


 そう言われて、ユーリルイスが入ってきた扉の方に導かれると、倒した時の話をするぐらいならと思い、言われるまま奥へ行く。


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