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ギルド ツ・バール支部の登録と魔物のコア 2


 ジューネスティーンに話しかけた受付嬢は事務手続きを始める。


「ではギルドカードの提示をお願いします」


 ギルドで滞在の手続きを行う為、受付嬢にメンバーのギルドカードを渡す。


 ギルドカードの表面には名前・性別といった個人情報が記載されているが、ギルドにある専用の魔道具を使うとその人の依頼の達成度、達成した依頼や失敗した依頼など過去の経歴だけで無く、本人の顔写真も浮かび上がる事で本人確認も可能となっている。


 受付嬢はギルドカードを魔道具にかざして内容を確認する。


「すみませんが、メンバー全員の本人確認をさせて頂きます。 今、ジューネスティーン様の確認が取れましたので、順番に受付の前に立って、お名前を、おっしゃってください」


 ギルドカードは登録時に発行され、その人の受けた依頼の成功や失敗等と経歴が、ギルドのデータベースに記入される。


ギルドカードを専用の魔道具にかざす事で、その経歴を確認できる。


 また、ジューネスティーン達のようにギルドの学校を卒業している場合は、その経歴も分かるようになっている。


 記入された内容はギルドが持っている専用の魔道具によって登録された内容が現れるので、受付嬢はその内容を見て魔道具に写る顔写真と本人を照合する。


 メンバーは順番に受付の前に立って名前を述べると、その名前のギルドカードを魔道具にかざして浮かび上がった顔写真と本人の顔を確認していく。




 メンバーの本人確認が終わると、受付嬢は笑顔を向ける。


「はい、全員の確認が取れました。 問題はありません。 それでは帝国で冒険者として活動する為の手続きを進めます。 それと今後は、私の方であなた方の担当をさせていただきます。 私は、ルイゼリーン・アムネリアス・ヒューネルと申します。 今後は、ルイーゼと呼んでください。 依頼等の相談をさせていただきますので、依頼を受けたい時は私にお声掛けください」


 最後にギルドカードを確認しながら話すと、受付嬢はギルドカードを見ながら台帳に必要事項を記入していく。


 その記載が終わる頃を狙ってジューネスティーンが話しかける。


「ところで、ルイーゼさん。 南の王国と帝都を結ぶ、東街道の魔物討伐の依頼が、あると聞いたんですが、その依頼はありますか」


 ルイーゼの手が止まる。


 ジューネスティーンの話を聞いた、さっき、入ってきた時に、奥に移ってしまった受付嬢達が、チラリとジューネスティーンを見て、にやけるように笑う。


 奥に下がった受付嬢達は、ルイゼリーンが、行った本人確認の魔道具に表示されていた内容を、後ろの席で確認していたので、ジューネスティーン達の経歴も、今年度ギルドの高等学校を卒業したとあったことと、ギルドの冒険者ランクがCとDだったことを、覗き見ていたので、その程度のランクでは、魔物に軽く倒されてしまう程度だと思ったようだようだ。


 圧倒的な力差があるのだが、新人に有りがちな、背伸びをして、上位の依頼を受けようとしているのだと、自分の強さを勘違いしている若造たちだと思ったのだ。


 目の前の受付嬢のルイゼリーンは、少し困ったような顔をすると、机の事務手続きをしている手を止めて、ジューネスティーンを見る。


 その目は、馬鹿な話をするなと言うような感じをしていたと、ジューネスティーンは、思ったようだようだ。


「東街道の魔物討伐の依頼は御座いますが、その依頼をどうしようと言うのでしょうか」


 ルイゼリーンは、少し怒気の有る声で、ジューネスティーンに聞いた。


 ジューネスティーン達の、ギルドカードには、其々のランクも記載されている。


 CとDランクばかりのパーティーに、先日、Bランクパーテイーが、ほぼ全滅した、依頼の内容を聞いてきたので、ルイゼリーンは、不審な顔をして、ジューネスティーンを見る。


「その依頼を受けたいのですけど」


 ジューネスティーンの話が聞こえた、奥の受付嬢がクスクスと笑う声が微かに聞こえてくる。


 それと同時に、ジューネスティーンの前に居る受付嬢はため息をついた。


 新人の跳ねっ返りが、身の丈をわきまえず、難易度の高い依頼を受けたがるのは、よく有る事なので、困った物だと思いながら、受付嬢のルイゼリーンは答える。


「その依頼は、現在討伐可能なパーテイーを探しておりますが、王国のギルド高等学校を卒業されたばかりのDランクパーティーに、この依頼を渡す事は出来ません。 依頼をお願い出来るのは、Bランク以上のパーティーの依頼でしたが、現在は、Aランクパーティーのみとなっております。 ギルドは、冒険者の生存率を高める事も、仕事の一つですので、この依頼は、あなた方に、お願いする訳にはいきません」


 あまりにハッキリと断られたので、ジューネスティーンは、チョットいたずら心を出してしまう。


「どおしてもダメですか」


「ダメです」


 ルイゼリーンは、もう一度、きっぱりと断る。


「では、討伐した魔物のコアを持ってきたら、その依頼を回して貰えませんか?」


 ジューネスティーンは、受付嬢のルイゼリーンに、そう言うと、シュレイノリアに合図を送る。


 ルイゼリーンは、ジューネスティーンの行動を無視して話し始める。


「まぁ、そう言った事例は有りますので、問題有りませんが……、 って、あなた達のレベルでそんな魔物と対峙したら一瞬で殺さ、れ、ま……」


 受付嬢のルイゼリーンが言い終わる前に、ジューネスティーンは、シュレイノリアから、コアを受け取り、そのコアをルイゼリーンの前に置く。


 それを見た、目の前のルイゼリーンも、奥に下がった受付嬢達も、一瞬で顔色が変化する。


 そのコアの大きさから、帝国で一般的に出される魔物討伐のコアと比べて、一目で大きいとわかる。


 そんな大きさの魔物のコアは、ここに居る受付嬢達は、誰も今までに見た事が無いのだ。


 これ程の大きさの魔物のコアを落とす魔物といったら、東の森の魔物しかないのだ。


 それを今、受付のカウンターに置かれ、その魔物のコアがなんで彼らが持ってきたのか、いや、新人の彼らが持ってきたのか、ありえない事が起きていると、驚きの念を隠しきれないでいる。


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