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東街道に出た東の森の魔物 〜ルイネレーヌ〜


 今回の魔物との戦いで、それぞれが、対人戦のような印象を持っているということは、これから東の森の魔物と対峙するときには注意が必要になる。


「いずれにせよ、今まで戦っていた魔物より知能は高いと言う事だ。 単純な攻撃だと躱されてしまうから、これからは魔物と戦うというより、人と戦うつもりで単純な攻撃にならないようにしないといけないかもしれないね」


 異ような雰囲気を出しているので、誰もが場の空気を替えたいと感じている。


 すると、カミュルイアンの視線が動いたと思うと、直ぐに声に出した。


「あっ、動き出した。 あの鳥」


 カミュルイアンは気になっていたのか、鳥の動きにいち早く気がつく。


「突っついている」


 麻痺が切れて目の前に置かれていた生肉を啄み始めている。


「良かったな。お前の気持ちが伝わったんだ」


 魔物の話で重い空気になっていたのを先ほど連れてきた鳥のお陰で和らぐことができてホッとする。


 そんな和んでいるところに、アリアリーシャが嫌な顔をして声を漏らす。


「あっ! あの女、まだ、この辺を彷徨いてたのか。とっとと帰ればいいものを」


 いつものアリアリーシャの口調では無い。


 本当に嫌いなタイプなのが手にとるように分かる。


 その態度を見たシュレイノリアとアンジュリーンもルイネレーヌが来ると分かり嫌な顔をする。


 本来であれば直ぐに移動して顔を見たくも無いのだが、ジューネスティーンが動かないので、仕方が無くその場にとどまる。




 森からルイネレーヌがボードに乗って出てくる。


「おやぁ、無音移動で来たはずなんだけど、見つかってたみたいだねぇ。 流石はアンタの仲間、不意打ちは全てそのウサギさんに看破されてしまうわね」


 ジューネスティーンに向かって声をかけるルイネレーヌには、少し思惑があった。


(今迄、誰にも装備を奪われない訳だ。 奇襲を掛けようとしてもこいつの耳のお陰で奇襲にならないからな。 そのお陰でpkにも対応できたのだろう。 どんなに強いパーティーでも全戦全勝なんて事は今迄無かったからな。 ヤッパリ、戦略的な内容はジューネスティーンだろうが、それぞれの特性を良く生かしている)


 そんな事を考えながらルイネレーヌはジューネスティーン達に近づいていく。


 メンバーの女性陣は相変わらず嫌な顔でルイネレーヌを見ている。




 近づくとボードから降りるルイネレーヌにジューネスティーンは語りかける。


「どうでしたか。 外から見ていて気がついた事でも教えてもらえないだろうか」


「初見のこれだけ強い相手を怪我も無く倒したパーティーに気づいたことなんて、こんな短時間で倒せるコツをこっちが教えてもらいたいってもんだろ」


 両手を広げて、呆れたような仕草をする。


「ツ・バール帝国の、Bランクパーティーが、全滅の憂き目をみた魔物を、簡単に倒してしまったんだからな。 それより、そのニードルガンだったっけ、凄かったなぁ。 それ一つで、ひと財産稼げるよな。 パワードスーツも、宝の宝庫が歩き回っているみたいだし、それより、そのニードルガンなんだけど、長さを20センチ位にできないか? ほら、ジェスティエンが、腰に下げている拳銃とかの大きさ位になったら、使い勝手も良くなるだろう」


 今度はジューネスティーンが両手を広げる。


「それが出来たら苦労は無いです。 小型化した方が、こちらとしても全員に持たせた方が助かるんですけど。 でも魔法紋のサイズが、小さくできなかったので、この大きさになってしまいました。 生身で使うのは、撃ち出す時の反動の影響の方が問題になります。 小さいくするには、魔法紋を、もっと小さくする必要があります。 今度、新しいヒントが、思い浮かんだら作ることにします」


「そうなのね。 じゃあ、小型化に成功したら私の分も作ってもらえない?」


 それを聞いて女子3人がムッとする。


「なんで、あんたなんかのために。 私たちだって持ってないものを」


 アンジュリーンがぼやくが、それに構わず、ジューネスティーンが答える。


「分かった。 何時になるか約束は出来ないが、その時は貴女の分も作ることにするよ」


 ジューネスティーンの意外な答えに驚く。


 そんな中から不満の声が、また出る。


「なんで、そんな約束をするんですかぁ」


 アリアリーシャもジューネスティーンに不満を述べる。


「まだ、出来上がる目処も経ってないんだ。 場合によっては死ぬ迄作ることが出来ない可能性だってある。 それにルイネレーヌさんから、もたらされる情報は、他では引き出せない事だってある。 そう考えると、ルイネレーヌさんの生存率を上げることが、俺たちの利益につながる。 好き嫌いで判断を誤らないようにしてください。 姉さん」


「うううう」


 正論を言われても、相手がルイネレーヌなので、納得出来ないで唸るアリアリーシャ。


「じゃあ、今回の、私への報酬は、使ってたニードルガンってことで良いかな」


 言わなければよいのに、ルイネレーヌが余計な冗談をいう。


「今回の報酬は、すでにジュエルイアンから受け取っているはず。 また、二重取り」


 直ぐに、シュレイノリアが反応した。


「てへ、バレたか」


 ルイネレーヌが茶化したようにいうと、それが気に障ったアリアリーシャが、腰の剣に手をかける。


「この女、刺しますぅ」


 慌てて、ジューネスティーンが制する。


「待て待て、小型化に成功した時は、そんな事を言われなくても、ルイネレーヌさんには、渡すつもりだったんだ。 さっきも言ったように、誰も集められない情報を集める事ができる、ルイネレーヌさんを味方にできていることは、とても貴重なんだ。 それと、ルイネレーヌさんも彼女達をそんなにからかわないでくれませんか、話が進まなくなる」


「ふっ。 分かったよ」


 ジューネスティーンの言葉に、ルイネレーヌが納得するので、少し落ち着く女性達だった。


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