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東街道に出た東の森の魔物 〜ニードルガン〜


 もう少しその状態が続いてしまったら、アリアリーシャの心に深い傷を負わすのではと思った瞬間、カミュルイアンが放った矢が魔物に刺さると、電流に当てられたように跳ね上がる。


 雷魔法を付与した矢が、魔物に当たったのだ。


 身体のあちこちから細かな白い煙が上がっている。


 そこに、もう一本の矢が当たると、矢が当たったところから、炎が広がって全身を包む大きな炎になる。


 たまらず、魔物が倒れるが、地面を転げ回って炎を消そうとする。


 魔法による炎の為、中々消えないが魔物を絶命させるには至らない。




 魔物は仰向けになり、右手を天に向ける。


 最後の足掻きかと思われたが、魔物の上に水球ができ始める。


 魔物が、水魔法を放って自分の上に水球を作ったと気がついたときには、70センチ程の大きさになり、その水球が、そのまま地面に居る魔物に落ち、魔物に当たると水球は魔物を覆っていた炎をかき消す。


 そして、上半身を起こそうとしてうつ伏せになると両腕を立てた。




 ジューネスティーンは、魔物になかなか致命傷を与えられないので、パワードスーツのアタッチメントに付いたニードルガンを肩の上に、そして、魔物を狙う。




 魔物は、起き上がろうとうつ伏せになって、腕で上体を起こして、アリアリーシャの方を睨みながら使える方の左足を使って立ち上がろうとしている。


 ただ、魔物の睨み方には、先程の鋭さは無かった事と、アリアリーシャにも先ほど睨まれていた時に、カミュルイアンとアンジュリーンの矢による攻撃があった事で、心に余裕ができていた。


 どんなに魔物に睨まれようが、周りの5人が自分を助けてくれるという、信頼が、先程の2本の矢が証明してくれたので、同じように魔物に睨まれていても、先ほどのような恐怖は感じなかっただろう。


 今度は、冷静さもあり、剣を構えて対峙しているが、流石に剣を構えるだけで正面から斬りかかるつもりは無く、魔物の次の攻撃に備えるだけで、襲われた際にいつでも回避できるようにしている。


 むしろ、今度はアリアリーシャが魔物を睨みつけているように思える。


「ズダァーン」


 大きな銃声と共に魔物の頭が、突然無くなる。


 アリアリーシャは、銃声を聞いたので、ジューネスティーンがニードルガンを使ったのだと理解した。


 また、魔物の頭が無くなってしまったので、警戒を少しとくようにする。


 ただ、何が起こるか分からないので、いつでも逃げられるようにはしている。




 魔物は、体の力が抜けるようにして倒れた。


 何度か痙攣したように動くが、直ぐにそれも無くなり動かなくなる。




 レィオーンパードが魔物から視線を離さずジューネスティーンに近づく。


「にいちゃん。 ヤったのかな」


 ジューネスティーンも魔物から視線を外すことはできないでいる。


「多分」


「何度も刺したのに起き上がってきたよね。 恐ろしく強い魔物だったね」


「あぁ」


 そう答えるが、ジューネスティーンも自信がないので、次弾をいつでも撃てるようにニードルガンの銃口を魔物に向けている。


 流石にもう死んだと思うが何があるか分からないと思い次の攻撃に備える。


「魔物なら、身体を構成している魔素が分解が始まるはず。 それが出るまでは気を許すな」


 アリアリーシャも魔物から視線を離さず、魔物に顔を向けた状態でジューネスティーンに近づいてくる。


 流石に頭を吹っ飛ばされる直前まで睨み合っていた為、その時に感じた恐怖の余韻が残っている様である。


 ジューネスティーンの横に来ると、少し涙目で話しかける。


「怖かったですぅ。 頭が吹き飛ばされる直前まで魔物に睨まれてましたぁ。 あの目がまだ目に焼き付いていますぅ。 暫くあの魔物が夢に出そうですぅ」


 魔物の死ぬ直前の顔を目の当たりにしていたアリアリーシャは嫌なものを見てしまったと感じている。




 そんな話をしていると、魔物の体から黒い霧が炎のように出てきた。


 魔物の体の崩壊が始まったことでメンバーは全員安堵するが、ジューネスティーンは念の為、構えたニードルガンをそのまま魔物に向けている。


「これで一安心だ。 完全に魔物の体が消えたら、コアを拾おう」


 中衛のアンジュリーンとカミュルイアンも魔物から視線を外すことなく主人達の方へ魔物との距離を保ちながら歩いてくる。


 シュレイノリアも迂回しながら歩いてくるが、後方を気にしている様子だ。


 全員がジューネスティーンの周りに集まる。


 魔物は魔素が失われて大分小さくなった。


「強い魔物だったわね」


 アンジュリーンが今の戦いを振り返る。


「強かったし、魔物が消えるのも時間がかかるね」


 カミュルイアンが魔物を見ながら言う。


「強くなる程、魔物は魔素を集めているみたいだな。 こんなに攻撃を受けても動けるのだから今後は対策を考えないとまずいだろう。 それに戦い方が今迄の魔物とは違ったから、同じ魔物でも気を抜いたら被害が出るかもしれない。 今の装備のままだと、誰かに被害が出てしまうかもしれない」


 ジューネスティーンが今の戦いを振り返って言う。


 魔物の姿が完全に消えると、魔物のコアと何かが地面に残る。




 ジューネスティーンが、魔物のいた場所に向かう。


 戦闘が終わったが、重力魔法によってパワードスーツを浮かせた状態で、腰の風魔法によるバーニアでゆっくり前に進むと、メンバーも魔物の倒れた場所に集まってくる。


 地面にある魔物のコアとその横にある物を見る。


 コアのほかにあるものは金塊のようだ。


 コアは透明で水晶のように透き通っており、形は基本的に約10×20センチの六角柱で柱の片側が少し細くなっており、六角形の面部分は高さの低い六角錐になっている。


 コアの中には、赤い結晶が今戦っていた魔物に似た形を作っている。


 また、金塊は延棒ではなくただの塊で15×8センチ程の大きさが有るので5キログラム以上有りそうだ。


 表面は人工的な感じは全く無く、溶けて固まったような形をしている。


 様子を見て問題無いと判断すると、パワードスーツの右手の盾を肩側に移動させる。


 盾の移動は魔法制御で行う為、盾を見て頭の中で思えば、自動的に位置を変更できるので、手首が盾から出る所まで移動させてると、右膝を着いてコアを拾い左手に持ち変えると、もう一つドロップアイテムである金塊を拾う。


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