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東街道に出た東の森の魔物 〜戦闘〜


 ジューネスティーンがそのまま下がると、アンジュリーンとカミュルイアンが魔物に向かって矢を構えている。


 2人は最初に放った火魔法と雷魔法を矢に付与する魔法付与が終わり、ジューネスティーンが自分たちと同じ距離まで下がったところで矢を放つ。


 本来であればバランスを崩したところに矢を射れば良いのだろうが、ジューネスティーンに当たってしまうのを避ける為、下がってくるのを待ったので、バランスを崩した魔物が体勢を戻している。




 矢は2人とも魔物の胸を狙って放っている。


 片足をついた状態では左右どちらに避けても片方の矢は外れないと思ったが、魔物は両手で弓矢の中程をつかんで胸に当たる寸前で受け止め左右に投げ捨てる。


 投げ捨てた方向には、次の一撃を加えようとしたレィオーンパードとアリアリーシャがおり魔物が2人が攻撃の為に向かってくるのを牽制した。


 2人も魔法を帯びた矢を受けられないので魔物の後ろに回り込むように避ける。


 2人は魔物への攻撃の機会を失って次の攻撃に備えるため、もう一度迂回してから攻撃のチャンスを待つ。




 その時、魔物の前方斜め上、3メートル程の所に光り輝く魔法紋が浮き上がり、そこから細長い氷の塊が高速で飛び出す。


 氷の塊は魔物に何本も降り注ぐ。


 最後尾に居たシュレイノリアの魔法攻撃である。


 だが、魔物は魔法紋に氷の塊ができた瞬間に両腕で頭と胸をガードしていた。


 何とか致命傷になる頭や胸への直撃は逃れていたが、腕と体と左足に何本か刺さり、刺さった周りの皮膚を凍りつかせている。


 本来なら全身を凍り付かせるだけの力があるのだが、刺さった周りをわずかに凍らせる程度に留めたのは、魔物に強い耐性があったからなのだろう。




 魔法は使わないようにとジューネスティーンに念押しされていたはずだが、シュレイノリアはアイスランスを使ったのだ。


 後で、何かあるといけないと思ったアンジュリーンがシュレイノリアのフォローをする。


「さすが、シュレだわ。使わないと約束した魔法では無く、氷魔法とは」


 アンジュリーンがジューネスティーンに聞こえるように言う。


 シュレイノリアへのフォローなのだろうが、しっくりこないとジューネスティーンは思うと次の行動に入るべく声をかける。


「氷は水魔法の延長線上なので、微妙な判断だ。 それより魔物は、まだ動ける。 最後まで気を抜かずにいくぞ」


 パワードスーツの外部スピーカーを使って、ジューネスティーンは、指示を出すと、両足・腰・肩の順に魔法紋に魔力を注ぎ、ホバリングしながらジューネスティーンは魔物に突撃する。


 途中で剣を右上段に構え、左腕は盾で一番防御の弱い腹部を隠すように進む。


 右上から袈裟斬りにするつもりなのだ。


 だが、右手を振り下ろそうとした瞬間、魔物は左足一本でパワードスーツの懐に入り込むとパワードスーツの右腕を掴まれてしまった。


(まさか、まだ、こんなに動けるとは、甘く見過ぎていた)


 正面からの突撃だったので、間合いも測りやすかったのか振り下ろす寸前に間合いを詰められた。


 魔物は、左手一本でパワードスーツの右腕を掴み、そのまま体をひねって右フックをパワードスーツの頭部に打ち込んできた。


 片足しか使えず、背中にも傷を負っていたのに、左腕でパワードスーツの腕を掴んでの右フックなので、モーションも大きくなっている。


 そのおかげで、魔物の打ち込んできた右フックをジューネスティーンは左手を上げながら、魔物の右フックを左腕に付いている盾で跳ね上げると、抑えられたられた右腕を中心に体を捻って掴まれた右腕を魔物から剥がす。


 頭に当たる寸前に左腕の盾が魔物の左腕を払う事ができたのは幸運だった。


 例え、パワードスーツのヘルメットが丈夫にできていると言っても、自分より大きな魔物の右フックがヘルメットに当たれば、大きな衝撃を中の自分に与える事になる。


 場合によっては、衝撃で気絶することも考えられる。


 そうなった場合は、メンバー全員の生存率が格段に落ちてしまう事になるので、冷や汗物だった。


 ジューネスティーンは、その体の捻りを利用して魔物の左腕を振り解きながら後ろに回り込むと、魔物はバランスを崩して前に右手を地面につくので、魔物のガラ空きになった背中から右脇腹側に剣を突き刺す。


 魔物は腕を振り回して背後のパワードスーツのジューネスティーンを叩こうとするが、倒れた状況で足元のパワードスーツまで届かず左腕を振り回すだけで攻撃にならない。


 それを見たアンジュリーンとカミュルイアンは弓を捨てて、腰の剣を抜いて加勢に行こうとしたが、レィオーンパードとアリアリーシャが迫って来ているのを確認すると、弓を捨てるのを思い直し弓を構え直す。




 振り回していた左腕とは反対側の地面に手を付いた方に、回り込んできたレィオーンパードが魔物の右側に体勢を低くして飛び込んできた。


 魔物が前に倒れていた事で、脇腹を目掛けて剣を突き刺す。


 とんでもない悲鳴を上げる魔物をよそに、レィオーンパードは直ぐに剣を引き抜くと、直ぐに後ろに下がる。




 魔物は地面をつく手を左手から右手に変えてレィオーンパードに刺された傷を確認するというより庇うように右手をその傷のところに当てる。


 それによって、左脇が空いてしまっているので、今度は、追い討ちを掛けるように魔物の左脇にアリアリーシャが同じように右わき腹に剣を突き刺し直ぐに引き抜いて、アリアリーシャは魔物の頭の方に抜けていく。


 2人の攻撃と離脱を確認するとジューネスティーンも自分の剣を引き抜いて、一旦後ろに下がると右に移動してレィオーンパードの近くに向かう。


 ジューネスティーンは、ホバークラフトを利用して、右に移動する。


 そして、魔物と自分の直線状に仲間が居ない位置に移動する。




 今迄の魔物ならこんなに攻撃せずに倒れたのだが、流石に強力な魔物と言われるだけあって、まだ、立ち上がろうと足掻く。




 魔物の前方には、アリアリーシャが次の攻撃をするために魔物に向いていた。


 正面に居るアリアリーシャを確認すると、魔物は鋭い眼光でアリアリーシャを睨みつける。


 威圧されるアリアリーシャだが、内心は恐ろしいと思っているように表情からは窺えるが、構えは崩してないが、アリアリーシャは、ゆっくりとホバーボードを後ろに下がらせる。


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