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東街道に出た東の森の魔物 〜戦闘開始〜


 ルイネレーヌが魔物を連れて近付いてくる。


 かなり真剣に逃げているのが顔付きから見て取れる。


 下見を終えていても、最強の魔物からの距離を一定に保って、引き離し過ぎず、追い付かれず、一定の距離を保ちながら、そして、ジューネスティーン達のパーティーの配置に合わせるように、上手く追いかけられる為に、神経をすり減らし、森を抜けた所で魔物のスピードも一段上がった事を感じて、更に余裕を無くしているようだ。


 そのため、ルイネレーヌは、かなり、真剣な面立ちで、ジューネスティーン達のパーティーに向かってくる。


 ジューネスティーンは、ルイネレーヌの表情を見て、パワードスーツを微妙に動かした。


(ルイネレーヌさんの余裕が無さそうだ。 一旦、牽制をさせるか? いや、大丈夫か)


 最悪の場合、ルイネレーヌを助けるために、ジューネスティーン達の攻撃に移る前に牽制する必要性をジューネスティーンは考えたようだ。




 だが、ルイネレーヌも魔物の能力を侮ってはいないのだろう、一瞬、差を詰められるかと思っていたが、直ぐに自分の速度を上げて、距離を保った。


 ルイネレーヌが、後10メートルに迫った時に、ジューネスティーンが、号令を掛ける。


「G o!」


 その合図で、左右に居た前衛のアリアリーシャが右に、レィオーンパードは左に逃亡するように、左右に展開させると、それを見て中衛のアンジュリーンとカミュルイアンも少し広がる。


 パワードスーツの風魔法によるバーニアに煽られないように、バーニアの軸線から、自分たちの位置を変更する。




 ジューネスティーンは、パワードスーツの魔法紋に魔力を込め、いつでも出力を最大に上げられるようにして魔物の突進に備える。


 最後方の魔法職であるシュレイノリアは、レィオーンパードとアリアリーシャが左右に展開したのを確認して、支援魔法をパワードスーツに付与すると、自分もパワードスーツのバーニアの軸線から外れるように移動する。


 可能な限り、前にいるカミュルイアンの影に隠れるように移動した。




 パワードスーツ内にも魔法紋で伸縮する人工筋肉と、その強力な力を外装骨格によって人体への負担を補うように強化されているが、そこへ更にシュレイノリアの付与魔法が上乗せする。


 最大パワーで魔物を抑え込む為に備える。


 ジューネスティーンの合図に居合わせて、ルイネレーヌも全力から速度を落とすが、ジューネスティーンを通り越すまでに魔物に追いつかれないで、通過後に対処にかかる時間を残す程度に速度を落とすと、すれ違いざまジューネスティーンに、挨拶をしていく。


「後は、宜しくぅ!」


 そう言って、投げキッスしながら、後方に走り去っていく。


 ルイネレーヌは、自分の仕事はここまでで、後はジューネスティーン達のパーティーの仕事になる。


 自分の仕事が終わった達成感から笑みが溢れている。




 ルイネレーヌは、ジューネスティーンから前方に顔を向けると、緊張して弓矢を構えているカミュルイアンと目が合う。


 明らかに緊張し過ぎているカミュルイアンに気がつくと、そのまま構えている弓が、まともに引けるとは思えないと、ルイネレーヌは判断したようだ。


 手元が狂う可能性をルイネレーヌは感じると、少し緊張をほぐす必要があると思った様子で、カミュルイアンにウインクと投げキッスを飛ばしながら声をかける。


「頑張ってね❤️」


 そう声を掛けて、緊張を和らげると、カミュルイアンが顔を赤くする。


 その脇を抜けようとすると、全てを見ていたアンジュリーンが、ムッとしてカミュルイアンに檄を飛ばす。


「これだから、あの女はぁ!  カミュー、浮かれてないで仕事するよ」


 カミュルイアンに喝を入れると、魔物に炎属性の魔法をかけた矢を放つ。


「やかましいわ!」


 カミュルイアンは、アンジュリーンの檄にムッとして、雷属性の魔法のかかった矢を放つ。




 矢は、カミュルイアンがルイネレーヌのウインクに気を取られた為か、アンジュリーンの檄のせいなのか、わずかに遅れた。


 二つの矢はジューネスティーンの横をすり抜けて、魔物に向かって一直線に飛んでいく。




 アンジュリーンの矢は、炎属性を付与してあるので、当たった瞬間に燃え上がり魔物は炎に包まれる。


 また、、カミュルイアンの矢は、雷属性なので、当たった瞬間に、電撃が発生して、体は痙攣してそのまま、倒れて死に至るか、最悪でも麻痺するはずである。


 しかし、魔物は、手前のジューネスティーンだけでなく、周囲に居る人の数と位置を把握していたのか、迫ってくる、その矢の攻撃を見切り、紙一重で躱される。


 当たってくれれば儲け物、ダメだとしても、魔物の意識がこちらに向かわせる事で、次の攻撃に備える事ができる。


 目的は、パワードスーツの防御力の高さで魔物を抑えさせる事なので、当たらなくても魔物がジューネスティーンに向かってくれれば、それでも良い。


 最初に見た時の大きさから、どんなに硬い爪でも、金属で覆われたパワードスーツの中の人間に傷を負わせるには、防御の弱い部分を突くしかないので、他の5人と比べれば、パワードスーツなら一撃で倒される事はない。


 最初の攻撃が外れたなら、次の矢の攻撃は、パワードスーツを後回しにして、中衛のアンジュリーンとカミュルイアンに、向かわれるのを阻止する為の攻撃となる。




 1射目を終えると、2射目を今度は狙いをつけると直ぐに魔物の目を狙って射る。


 今度の矢には魔法は付与せず、そのまま射る。


 魔物がジューネスティーンを飛び越えて中衛の自分達、更に後衛のシュレイノリアに向かわせない為の牽制をする。


 魔物がジューネスティーンを避けようとしても、ジューネスティーンが、捕まえられる範囲内に留める事ができれば良いのだ。


 先程より近くに来たとはいえ、1射目を躱された事から当たれば儲けもの、それより間隔を空けずに射る事で、魔物の攻撃の選択肢を奪う事が重要なので、2人は、共に、直ぐに矢を射ってくる。


 その矢で、魔物をパワードスーツから避けることができないようにコースを塞いで、ジューネスティーンに向かせるのだ。


 魔物は、一直線に向かってくる。




 弓矢の1射目が放たれた後、ルイネレーヌは、更にその後方に居るシュレイノリアには勝ち誇ったような笑みを浮かべて通り過ぎる。


 シュレイノリアは、ムッとした顔をするが状況把握の為、魔物に集中し、メンバーから魔物が距離を取った瞬間に、魔法を撃てるように身構える。


 ルイネレーヌは、シュレイノリアを通り過ぎて反対側の森に入る。




 魔物は、前方に居るジューネスティーンに、的を絞って走って来る。


 魔物は思いっきりぶつかって、ジューネスティーンを吹っ飛ばし、すぐ後ろに居る弓のふたりに向かうと考えているのか体勢を低くした。


 まずは、最初のジューネスティーンを体当たりで吹き飛ばすつもりなのだろう、体を低くして走って来る。


 ジューネスティーンは、武器を持たずに盾だけなので、魔物は、そのジューネスティーンを見てなのか、右肩を前に出すようにして向かって来る。


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