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メイリルダの家


 メイリルダは、少年を連れて自宅に帰り、家の扉を開くと直ぐに声をかけた。


「ただいま。お母さん、居る?」


「あら、早いわね。今日は、何かあったの?」


 家の奥の方から、声だけが聞こえてきた。


 メイリルダは、声のした方に少年の手をひいて歩いて行った。


 リビングと台所が一緒になった部屋のテーブルで縫い物をしている女性の前に少年の手を引いて立った。


「あのね、お母さん。今日から私、ギルドの寮に泊まる事になったの。だから、私の身の回りのものを取りに来たのよ。それで、今日は早いのよ」


「ふーん、そうなの……」


 メイリルダの母親は、振り返ってメイリルダを見ると、隣に少年がいる事に気がつき、その子を凝視した。


「ねえ、その可愛い男の子は、なんなの? まさか、お前の子供ってわけじゃないだろうけど、突然、家に男の子なんて、どうなっているの? ……。ま、まさか、お、お前、こ、こんな子供と結婚しようっていうのかい」


 メイリルダの母親は、芝居掛かったように驚いた表情をしてメイリルダに聞いた。


 聞かれたメイリルダは、母親の話の内容がぶっ飛んでいたので目が点になってしまった。


「なんてことだい、うちの娘は、こんな年はも行かない、男の子をたらし込んでしまったの。せめて、成人した人じゃないと、直ぐに子供も作れないじゃないの」


 メイリルダの母親は、とんでもない勘違いをしている発言が、メイリルダの範疇を超えてしまったので何も返せずにいた。


「ああ、ギルドに入って、安心したと思ったら、こんな子供を夫として連れてくるなんて、……」


 メイリルダの母親は、悲しげな表情をすると、メイリルダも、母親が何を言っているのか理解できたようだ。


「あ、あのー、お母さん。この子は、ギルドで預かっている子供で、私が担当するの。だから、私も、しばらく寮に泊まる事になったのよ」


「ふーん、ギルドの寮で同棲するのか」


 メイリルダの母親は、何気ない気持ちで答えたようだが、メイリルダは顔を赤くしていた。


「な、なんで、この子と私を、そういう風に見るのよ!」


「ん? だって、あんたも二十歳なんだから、結婚してもおかしくはないでしょ。もう、子供を産んだあんたの友達だっているんだから、結婚したいって、いい歳でしょ。だから、彼氏を連れてきたと思ったじゃないの」


 メイリルダは、自分の母親の感覚に気分が悪くなってきたようだ。


(あー、こんな事って、なんで、すぐにそこに行き着くのよ。人の顔が全員違うように、考え方だって価値観だって違うんだから、自分の子供だからって自分の価値観を押し付けないでよ)


 メイリルダは、イラついた表情をしていたが、メイリルダの母親は少年の前に来て視線を少年に合わせた。


「ねえ、あなたは、目が高いわよ。うちのメイリルダに目をつけるなんて、親の私の目から見ても、可愛いと思っていたけど、最近は、美人の部類に入るんじゃないかと思うのよ。10年後でも、きっと、美人でいられると思うから、お買い得よ。なんなら、今から、メイリルダの部屋で、あぁ」


 メイリルダの母親の頭に、メイリルダの鉄拳が落ちた。


 メイリルダの母親は、頭を押さえつつ涙目になりながらメイリルダを見た。


「痛いじゃないのよ! 親に何て事するんだい!」


 なんで、自分が叩かれたのか分からなそうにメイリルダに答えた。


「お母さん。話、聞いてた?」


 メイリルダは、真剣な顔で母親に言ったので、メイリルダの母親は不味いと思ったようだ。


 そして、視線を少年の方に向けた。


(ちょっと、からかい過ぎたみたいだね。もう、本当に冗談の効かないんだからぁ。いくらなんでも、そんな子供を夫にしたいなんて言ったら、こっちが怒るに決まっているだろう。……。でも、これだけ、バカやっても、この男の子は、私の事を見ているだけで、表情を変えないねえ。あれだけ、バカな事を言ったのに、顔色ひとつ変えないねぇ。まるで、話が通じてないみたいだわ)


 メイリルダの母親は、少年を不思議そうに見ると、また、メイリルダを見ると、また、少年を見ながら答えた。


「もう、お前は、すぐにムキになるからねぇ。この位の、ちょっかい程度なら、軽く返してもらいたいもんだね」


 ただ、メイリルダの母親は少年の表情を確認しつつ答えていた。


 そして、話終わると少年を覗き込むように見て不思議そうな表情をした。


「メイリルダ。この子は、言葉が分からないのかい? さっきから表情一つ変えずにいたわよ」


 確かに、メイリルダが自分の彼氏を家に連れてきたのかと言われて、面食らっていたが、少年の表情に変化が無かった。


 少年がメイリルダの結婚を前提とした相手として、話を進められていたのだから話の内容が理解できれば反応が出てもおかしくはないのだが、少年は無表情で話を聞いていた。


 言葉が理解できていたなら、なんらかのリアクションがあるはずなのだが、それが無いというのは話の内容が理解できなかったと結論づけられる。


 メイリルダの母親は、メイリルダが連れてきた少年について気になり探るように見ていた。


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