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ホバーボードとサーチ魔法とセキュリティーロック 2


 風魔法だけでは、ホバーボードを上手く動こかせない事を、シュレイノリアに相談するジューネスティーンだったのだが、思いついた時の状況が状況だったので、数日間、相談に乗ってもらえなかったが、シュレイノリアの気持ちの整理がつくと開発に協力してくれた。


 特に、風魔法だけでは、そう簡単に浮かせる事が出来ないので、シュレイノリアがその問題を重力制御を行なって浮かせる事を提案している。


 そして、シュレイノリアは2種類の魔法を使って浮かせて移動まで可能な魔法紋を完成させている。




 ただ、ホバーボードの開発に当たっては、開発者のジューネスティーンは、ホバーボードを作るだけとなった。


 ホバーボードは、サーフボードの形をした板に、魔法紋を発動させて、移動させるので、ボードの形が作れてしまえば、後の作業は、魔法紋の開発だけとなる。


 その後の魔法紋の開発は、シュレイノリアが行なっている。


 そこまでは、良かったのだが、テストの段階になると、シュレイノリアの提案で、開発した者は、その開発した物を確認する必要がるからと、ジューネスティーンにテストパイロットをさせずに、動作確認後の状況を見て修正箇所を見つけるようにと言われ、ホバーボードのテストパイロットはレィオーンパードになった。


 レィオーンパードは、最初こそ喜んでテストパイロットになったのだが、そう簡単に乗りこなす事ができなかったため、そのうち、テストから逃げ出すようになる。




 最初は上手く逃げていたレィオーンパードだったが、テストパイロットが居ない事で、魔法紋の良し悪しが確認できないので、開発が進まなくなってしまった。


 開発が進まない事が、シュレイノリアが不服に思うと、レィオーンパードをどうやって見つけて呼び戻すか考える事となった。




 その答えは、魔法の実技授業の時に訪れる。


 魔法の実技授業において、シュレイノリアの実力は他者の追随を許さず、圧倒的な魔力量の為、殆どの時間を見学で過ごす事になっていた。


 何気に他の生徒の魔法を見ていると、人それぞれの魔力に違いがある事に気がつく。


 それは、魔法を使わない時も自分の魔力が僅かに漏れていて、それが、魔素として大気中に放出されている事に気がつくと、その事を調べるようになる。




 詳しく調べていくと、それは、建物にも草や木にも見つかり、全ての物質には多かれ少なかれ魔素が集まっていることに気がつく。


 そして、特に人から滲み出るような魔素にも違いがあり、魔力もそれに応じて違いがある事に気がつく。


 それなら、その違いの有る魔素を辿れば、レィオーンパードが何処に逃げても隠れても見つけられると考えたのだ。




 シュレイノリアは、その後、レィオーンパードを観察し、他者との違いを見つけると、その後は、レィオーンパードが何処に逃げようと、隠れてしまおうと、見つけ出して実験に参加させた。




 面白い方法だと思ったシュレイノリアは、実験中に自分が発見した人それぞれの魔素の違いについて悦にいると、実験中のレィオーンパードがホバーボードを使いこなせず転んだのを見ただけでも笑いが止まらない感覚に陥る。


 転んだレィオーンパードを、笑ってはいけないとは思うので笑いを堪えるが、僅かに目元などに笑みが出てしまっていた。


 レィオーンパードは、それを、時々、目撃するが、その笑みは、自分に向けられた物だと勘違いする。


 シュレイノリアの思っている事とは違い、レィオーンパードには、シュレイノリアの心の声が、偏った感じで伝わった。


『レオン、何処まで逃げようと、私は追いかけて捕まえられる』


『レオンは、鈍臭い』


『レオンは、運動音痴』


『おバカなレオンは、体力勝負でも弱い』


 そんな偏った感じでレィオーンパードに伝わったのだった。




 その後は、レィオーンパードも真剣にテストパイロットとしてホバーボードの試乗を行う。


 シュレイノリアは、ホバーボードの推進力として、数カ所から風魔法を使って風を出しているのだが、今後、メンバー5人の為に、使い易さを追求するためにホバーボードの安定感を付けるために風力を調べていただけだったのだ。


 レィオーンパードは、その実験のために魔法紋の修正を行なっては、ホバーボードに乗せられ、上手くバランスが取れずに転んでいたのだ。


 ただ、シュレイノリアがそんな説明を行う訳もないので、ひたすら不安定なホバーボードにレィオーンパードは乗せられていたのだ。




 レィオーンパードが、乗りこなすまで苦悩の日々が続くが、徐々に使い勝手の良い物に改良を加え、乗りこなしやすいホバーボードにしたのは、シュレイノリアの魔法紋の変更と、それに付き合わされたレィオーンパードによるものが大きい。




 安定してレィオーンパードが、ホバーボードを乗りこなせるようになると、次にアリアリーシャのホバーボードとなるのだが、レィオーンパードの苦労を知っていたアリアリーシャは、自分には無理だとホバーボードに乗る事を拒んだのだ。


 そのアリアリーシャの不安を、シュレイノリアが、レィオーンパードが乗りこなすのに苦労した理由をこっそりと告げる。


「アリーシャ姉さん、あれは、姉さん達が上手く乗れるようにする為の実験だった。 姿勢制御システムの、完成度が上がった、今のホバーボードなら、レオンのように乗りこなすのに、1ヶ月以上掛かる事は無い。」


 シュレイノリアは、アリアリーシャに告げるが、レィオーンパードの苦悩の日々を見てきたので、はいそうですかと納得はできない。


 ただ、逃げ出したレィオーンパードを探す時に、一緒に来いと言われてついていった時、迷いもせずにレィオーンパードの隠れている場所を見つけてしまったシュレイノリアの事を思うと、自分が逃げても同じ事になると思い、渋々、納得し自分用のホバーボードに試乗する。




 最初は、上手くいかなくて、何度も尻餅をついたが、一日、練習すると乗りこなす事ができるようになった。


 それは、レィオーンパードの苦労した日々に比べれば、格段に短い期間になる。




 アリアリーシャの乗りこなすホバーボードを見たレィオーンパードは、納得がいかない顔をする。


 だが、シュレイノリアから、話を聞いていたジューネスティーンが、基礎研究のためのテストパイロットをしてくれたので、アリアリーシャは直ぐにホバーボードを乗りこなす事ができたと宥めてくれたので、レィオーンパードは、渋々、納得することとなった。




 この時、レィオーンパードの逃亡を探す手段から、サーチの魔法と、パワードスーツのロックに、個人の魔力を流すことで開閉させたり、ホバーボードにも、その機能を持たせることで、盗難にあったとしても、他者が使えないようにするセキュリティーシステムを、シュレイノリアは考えだした。


 思いついた内容については、ジューネスティーンに話をして、パワードスーツの開閉や起動に利用するだけに止まらず、自分達パーティーの武器や装備に採用している。


 ホバーボードの開発にあたり、レィオーンパードの逃亡によって、新たな副産物が作られる事になったのだ。


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