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ニードルガン 〜火薬の代替え品〜


 ジェスティエンと別れた後に、銃の開発を行いたいと考えた、ジューネスティーンは、火薬か銃弾を調達しようと、始まりの村のギルドで相談してみたが、ギルド本部管轄の為なのか、始まりの村のギルドまで、情報は入ってこないようだった。


「かやく? じゅうだん? それは食べられるのか?」


 ギルドの職員の反応は、的外れな話だったので、ジューネスティーンは、それ以上の話をする事は無かった。




 火薬を調達する事が不可能な事から、一旦は銃の開発を諦めるが、シュレイノリアが魔法に優れていた事が幸いした。


「ジュネス。 火薬が手に入らなくても同じようなものは作る事が可能だ」


「シュレ。 銃の中で火薬が爆発して、弾を撃ち出すのだから、火薬か銃弾を手に入れなければ、銃を作っても意味がないよ」


 火薬も銃弾も手に入れなければ、銃だけ有ったとしても、弾丸を撃ち出すことはできないのだからと思っていたので、ジューネスティーンは、諦めモードの答えを返した。


「弾丸を爆発で撃ち出すなら、爆発をさせる事を考えれば良い」


「まあ、そうだよな」


 ジューネスティーンは、シュレイノリアの提案に気のない返事をする。


「魔法で、爆発を起こせば良い。 中に小さな魔法紋を作って、その魔法紋で爆発を起こせば、火薬の代わりになる」


 それを聞いて、ジューネスティーンは、真剣な顔で考え出した。


(確かに、銃弾は、爆発で撃ち出しているのだから、爆発させる物を火薬に頼らなくても良いのか)


 そう言って、シュレイノリアの顔を覗き込む。


「どうだ?」


「うん。 いいかもしれない」


 魔法によって、火薬の代わりをさせる事を、シュレイノリアに提案されたジューネスティーンは、銃の開発も考え始めたのだ。




 弾丸内部に魔法紋を作成して、魔法紋を発動させる事によって、弾丸内部で爆発させて、先端の弾を撃ち出す方法をシュレイノリアが提案してきた。


 ただ、その魔法紋を最初は小さく描く方法が難しかった事で、弾丸の最小サイズが決まってしまった。


 その結果、直径2.5センチと大きな弾丸になってしまった。


 ジェスティエンに見せてもらった銃弾の2倍以上、下手をすると3倍以上の直径になってしまったのだ。




 ただ、魔法紋を発動させるだけなので、撃鉄・引金などの複雑な構造は不要を分かると、弾丸を撃った後に、次の弾丸を装填する部分だけを考えれば良い事に気がつく。


 撃ち出した時の反動を利用して、その力で撃ち出された後の薬莢を排出し次弾を装填する。


 そこまでは考えられたが、その部分の構造を考える必要があったので、連発は保留にしている。




 ジューネスティーンが、初めて作った銃は、爆発させる魔法紋のサイズで弾丸のサイズが決まってしまったので、そのサイズに合わせて銃身を作った。


 その結果、口径が大きくなってしまい、銃の反動とライフリングマークの重要性に気が付かなかったため、射線が真直ぐにならなかった。


(思ったところに命中出来ない)


 何度も試してみたが、その都度違う方向に流れて狙った的に当たらないため、当たらない弾を打ち出す銃では実用化は無理と考えた。


 その理由が分からないまま、前に進む事ができないでいた。


 銃について行き詰まってしまった時、たまたま、シュレイノリアが部屋で自分のローブに刺繍をしているところを見ていると、針が何度も何度も布の表と裏を行ったり来たりして徐々に模ようになっていくのを見て、一度に何本の針を同時に縫い込んでいけば早く終わると、ジューネスティーンは思ったのだ。


 その瞬間に、銃の弾丸を束ねて撃ち出す事を思いつく。




 数個の弾を同時に発射すれば、一つ一つが違う方向に進んでも、その中の何発かが的に的中すれば良い。


 一度に打ち出す弾丸が一つではなく、複数個なら、その内のどれかが標的に当たれば良いと考えた。




 ジェスティエンの弾丸は、直径1センチかもう少し小さかったが、その程度の大きさで効果が有るなら、自分達の作った銃弾は、その倍以上ある。


 弾が小さくなったとしても撃ち出す速度が速ければ、運動エネルギーは高くなる。


 束ねる数が少なければ、場合によっては、同じ方向に進む可能性が出るのでは無いかと思い、もっと細く、シュレイノリアの刺繍針のような細さにして沢山の数にする。


 撃ち出す数が多ければ多いほど射線が曲がってしまってもその中の数本でも当たれば良い。


 そこから針を束ねて撃ち出す事を閃く。




 一度に撃ち出す弾を多する。


(撃つ度に、全く違う方向に進むなら、打ち出す弾の数を増やせば、その中のどれかが当たる。 数十個の弾丸を一度に撃てば、どれかは当る)


 複数の弾丸なら、その中の数本が真っ直ぐ進まなくても、その内の何本かが、標的に当たれば良いと考える。


 そして弾は可能な限り細くする事で、空気抵抗も減って当たれば目標物を突き抜ける。


  


 その考えから、ジューネスティーンは、ニードルガンを製作したのだ。


 実際に製造したニードルガンは、近距離であれば、細い針が高速で撃ち出されたため、貫通力が高く、広がった針が的を貫通して、粉々にしてしまった。


 破壊力は、近距離限定で高いものとなった。


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