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内部を確認するルイネレーヌ


 それに気がついたのが、ジューネスティーンなのかシュレイノリアなのかは分からないが、そんな事にまで考えが及んでいるのなら、ギルドの高等学校の教授陣が、理解できないのも納得がいくというものだ。


 どの国の魔法研究所でも、そんな魔力には人それぞれに違いがあるなんて事を研究するより、直ぐに成果を求められる為、基礎研究より応用研究を重視されている。


 魔力に波長や波形があって人それぞれ異なるなんて、基礎研究に関わる事についての研究は疎かにされがちである。 


 一般的な研究者達は、魔法の基礎的な事よりも、攻撃や実用的な事に目がいってしまい、疎かにされているのだが、ジューネスティーン達は、魔法とは何かから、徹底的に基礎から考えたのだと、ルイネレーヌは、そう思ったようだ。


 その為、人それぞれに魔力に違いがある事に気がつく事になり、それを利用した魔法の鍵を開発したのだ。 




 ジューネスティーン達の魔法に関する考え方が、他の研究者達と異なる面から考えているのだとルイネレーヌは考えているのだ。 


(その結果として、新たな魔法の使い方を考案したのだろうな) 


 人の魔力を使って、カギのような機能を持たせていると分かると、パワードスーツを、そのままにしてルイネレーヌの前から離れてしまって、着替えても盗難の心配は無いのだと分かったのだ。


「このパワードスーツだけを盗んでいっても、お前以外の人は使う事も出来ず、飾りにしかならないってことか」


「そういう事です」


 そんな話をしていると、他のメンバーは、準備が整って、暇を持て余していた。 


「兄ちゃん。 まだぁ〜」


 準備が一番最初に整ったレィオーンパードが催促する。 


「あぁ、すまん」


 ジューネスティーンは、そう言って、背中に手を当て魔力を流してから、少し後ろに下がる。 




 すると、パワードスーツの腰のジョイントが外れて腰が開いて、前屈みになり、腕を前に出して、腕に取り付けられている盾が、パワードスーツの手前の地面に付くと、背中のジョイントがはずれる音がし、頭と肩が前に倒れ、背中が中央から観音開きに開く。 


 丁度背骨が縦に半分に分かれるようになって開いた。 


 ジューネスティーンの横に居たルイネレーヌは、パワードスーツの開く様を目の前で見る事になった。 


 背中の中央の溝は、人が出入りする為の接続面だったのだと理解すると、その中に見えた金属は、左右の接続の為にあったのだと、ルイネレーヌは理解したようだ。 


 接続面を見ると背骨のように小さなブロックが何個も重なっているのが分かる。 


 そして、パワードスーツの中は空洞で人が入れるようになっている。 


 また、頭部も背中が開くと同時に後頭部が開き頭を入れられるようになっている。 


 ふくらはぎの側面の第二装甲はそのままで、ふくらはぎの後ろの第二装甲が上にはね上がる。 




 ルイネレーヌは、パワードスーツに乗り込む方法が分からなかったが、背中から入るのだと理解したようだ。


 パワードスーツが開くと、ジューネスティーンは、直ぐに乗り込むためにふくらはぎの跳ね上がった装甲板の上に足をかけて上がる。


 その様子を見ていた、ルイネレーヌは、中を確認する機会がなくなると思ったのだろう、慌ててジューネスティーンと背中の間に入ると、背中から足の方を覗き込む。 


 ジューネスティーンは、そのまま、パワードスーツの腰に足を入れようと思ったのだろうが、ルイネレーヌが邪魔をするので、一旦、ふくらはぎの装甲から降りた。


 ルイネレーヌは、ふくらはぎの装甲板が二重になっていた意味が分かったのだが、そんな事は後間わしにしてパワードスーツの中を確認している。


「なるほど、背中や腰、肩の溝は、そうやって開く為にあったのか。 腰から入るのなら、踏み台が必要な高さだから、そのふくらはぎの装甲板だと思っていた物は、踏み台だったのか。 色々と考えてあるな」


 そんな事を言いつつ、ルイネレーヌは、開いたパワードスーツの中を覗き込んでいる。




 中は、全体に布のようなもので覆われており、外に出ている金属が中の人間に当たるような感じは受けない。 


 そして、ジューネスティーンの体より、その空洞は大きく作られているとわかる。 


 体を出し入れするのだから、体の線にそって内部を組み立ててしまった場合、出入りの際に細くなった部分を抜ける時に窮屈な思いをすると思ったが、隙間が広い事で出入りも簡単なんだろうと思う。 


 しかし、動かす時に鎧部分と隙間が大き過ぎると、動きに影響が出るのでは無いかと気になる。 


「なあ、これって、中の隙間が大きすぎないか?」


「それは問題ありません。 中に取り付けてあるインナーですが、背中を閉めてから、体と密着できるように膨らむようになってます。 それに関節部分付近は、中と外の曲がる位置を同じになるように、ベルトが自動で締まって固定できるようにしてます」


 それを聞いてもルイネレーヌには、そういう物なのかと、ジューネスティーンの話を聞き流している。


 体にフィットするようにしておく事で、内部の人の動きに上手く追随するように考えられているのだが、専門外の話なのでルイネレーヌにはそこまで理解できなかったようだ。


「それじゃあ、装着しますので、少し下がってもらえますか?」


 ジューネスティーンは、パワードスーツの中を、珍しそうに眺めているルイネレーヌに促すと、ルイネレーヌは、呆けたような表情で後ろに下がった。


 ルイネレーヌが下がってくれたので、パワードスーツのふくらはぎの装甲板に上ると、自分の両足を腰の中に入れる。


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