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インナースーツと開閉機能


 胸に肋の上を僅かに覆う程度のベストを付け、腰には、ウエスト部分も臍が丸出しになる程度の短い丈と裾が短いホットパンツ、そして、踝が出る一般的な靴、手には手首を少し隠す程度のグローブをしている。


 そして、その下ベストとホットパンツの下は、体にぴったりフィットしている、青色のツナギのようなというより、全身を覆う水着のようなスーツを着ている。 


 その下のスーツは、首まで覆われており、とても戦闘をする服には見えない。 




 ジューネスティーンの格好は、体の線を隠すのは、腰回りと胸周りだけで、それ以外は、完全に体の線がわかる、水着のようなインナーで覆われている。 


 その姿を見て、何の衣装なのだと、あっけに取られるルイネレーヌは、ジューネスティーンに聞く。 


「おい、その格好は何なんだ」


 ジューネスティーンの、あまりに突拍子もない格好に、ルイネレーヌは驚いた。


 一方、ジューネスティーンは、やっぱり、そう言われるのかというような顔をする。


「これはパワードスーツの中に入る為のインナースーツです。 フルメタルアーマーの籠手とか、使っていると、汗で結構な匂いになってしまうんですけど、女子達に、パワードスーツの中が、汗で匂うようになるのが嫌だからと言われて、それで、考えたんです」


 ルイネレーヌも、今の話を聞いて、籠手の匂いを思い出したのだろう、嫌そうな顔をするのを見ると、ジューネスティーンは話を続ける。


「これを着ていれば、後で、今着ている服を洗えるので、汗の嫌な匂いを、中に残さないようになりました。 でも、時々は、パワードスーツの内側のインナーも洗いますよ。 それと、パンツとベストも後から足しました」


そう言って、胸と腰を指で指し示す。


「初めて試着した時、女子達が何だか恥ずかしそうに見てくれて、裸のようだとか、丸裸より恥ずかしいとか言われたんですよ。 まあ、完全に体にフィットしますから、体の凹凸まではっきりわかってしまったので、ほら、これでもヘソの凹みの部分がわかるでしょ。 それで、自分達がこれ着た時に恥ずかしいって事でこうなりました」


 そう言われて見ると、腹筋の凹凸も、腕や足の筋肉の形も分かるので、ベストとホットパンツがなければ、胸の乳首の形も、股間の形もハッキリと分かってしまうだろうと、ルイネレーヌは思ったようだ。


「うーん。 男の子の股間の形が分かるのは、私としては嬉しいけど、女子の股間の形までわかってしまうのは、……、恥ずかしいかもしれないな」


 もし、これと同じ物を、アリアリーシャ・アンジュリーン・シュレイノリアが着たら、丸裸の状態で表面にペイントしただけのような格好になるのかと想像できる。


 3人がそんな格好を良しとはしないだろうと、ルイネレーヌは気がついたようだ。 


「お前のパーティーも、女子の権限が強いみたいだな」


 ジューネスティーン達のメンバーも、女子の意見が受け入れられるのだろうと、ルイネレーヌは思ったようだ。


「ええ、匂いについては、学校に持って行かれたパワードスーツの時にも気になったんだけど、まあ、いいかって思ってたんです。 でも、他からそう言われると、やっぱりそうかなって、特に女子目線での意見は助かりました」


 ルイネレーヌは、女子が強いと言ったつもりなのだが、ジューネスティーンは貴重な意見だと感じているのだと思っている事が、男の子の感覚なのか、男の優しさなのか、どちらとも言えないが、ルイネレーヌには、自分の周りは居ないタイプの男で、自分には縁の無いタイプの男なのかと思ったようだ。 


 ジューネスティーンは、ルイネレーヌがジューネスティーンの格好を気にしている間に、パワードスーツに乗り込んでしまおうと考えるているのか、急いでパワードスーツに乗り込もうという仕草が身受けられる。 


 情報を集めるのが専門のルイネレーヌだが、工学系になるパワードスーツについては専門分野から外れるので、形を見ただけで、詳しい事は理解できないだろうと思ったようだが、先程、アンジュリーンから言われた事を思い出した。


『あの女、パワードスーツの股間を手で弄っていたわよ』


 そう言われて、工学には疎いと思っていたのだが、細かな部分まで調べていたのだ分かると、あまり、情報を渡すのは良くないと感じて、早めに乗り込もうと思ったのだ。


 忙しそうにパワードスーツへ乗り込もうとしているのは、ルイネレーヌに情報を取られたく無いと思っているのだ。


 そんな思いを感じてか、ルイネレーヌは、一番気になっていた事をジューネスティーンに聞く。 


「なあ、これにはどうやって入るんだ。 今まで見てたけど、中に入れそうな場所が、見当たらないんだ」


 ジューネスティーンは、パワードスーツの背中を指して言う。 


「こいつに自分の魔力を流せば、開くようになっているんです」


 ルイネレーヌは、少し拍子抜けな表情をする。


(なんだ、魔力を流す程度なら、私にもできそうだったな。 さっき、ジュネスが、着替えている時に、試してみれば良かったな) 


 それだけなのかとルイネレーヌは思ったようだ。


「なら、私がそこに魔力を流し込んだら、開ける事ができるのか?」


 その一言を聞いて、ジューネスティーンは、わずかに勝ち誇ったような表情をするが、直ぐに、表情を戻す。


「いえ、パワードスーツを開く魔法紋に、自分の魔力の波長を登録してあるから、自分の魔力を感じさせれば開きますけど、他人の魔力では開きません」


 ルイネレーヌは、一瞬、何かを考えたのか、眉を動かした。


 ジューネスティーンの他人の魔力では開かないに反応したようだ。


「じゃあ、これはお前以外の人は使う事ができないってことか」


「人の顔が違うように、魔力の波っていうか、魔力の波形も波長も人それぞれ違いますから、自分の魔力に反応させるように魔法紋に登録してあります。 だから、自分の魔力以外では動かすどころか、開いて乗り込む事もできないでしょうね」


(登録してある人以外が開かないなんて、都合の良い事を考えたものだ) 


 人の魔力に違いがある事など、今まで、聞いた事がないのだが、それに気がつき、それを利用する事を考え出したのだ。


(だが、人の魔力に、そんな性質があるなんて、大学の魔法専攻の教授にも言われたことがないぞ。 そんな事まで、調べ上げているのか)


 ルイネレーヌは、ジューネスティーン達の魔法に関する理解が、今、知られている以上の事を知っているのだと思ったようだ。


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