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ニードルガンの装備


 ルイネレーヌに、ニードルガンの威力を聞かれて、ジューネスティーンは、試し撃ちをした時の事を思い出すのだが、その表情を見ると、あまり面白くない様子が窺える。


 ただ、ジューネスティーンは、その時の事を、ルイネレーヌに正直に答える。


「ええ、試してみました。 でも、狙った的に当たらないんです。 それも、毎回違う方向に行ってしまうので、全く使い物になりませんでした。 だから、ニードルガンにしたのは、苦肉の策だったんですよ」


 ルイネレーヌは、ジューネスティーンの説明を聞いて、何で変な顔をしたのか分かった様に思える。


 ジューネスティーンは、ジェスティエンのライフル銃をコピーしようとしたが、どうしても上手くいかなかったことが悔しかったのだと、ルイネレーヌは、理解できたようだ。


 パワードスーツの様な、特殊な物を作ってしまうだけの技術力が有るのだが、ライフル銃については分からない部分が、ジューネスティーンにはある。


 それが、ジューネスティーンの心の中で、しこりの様になっていて、その事を指摘されて面白くなかったのだろうと、ルイネレーヌは理解したようだ。


(この天才にも、分からない話があるのか)


 ルイネレーヌは少し親近感を覚えたのか、ホッとした表情見せた。


「ジェスティエンの装備は、南の王国のギルド本部直轄のはずだ。 情報は秘匿されているから、私やお前でも譲ってもらえる事はないだろうな。 でも、ジェスティエンに見せて貰えたのは儲けものだったな。 そのお陰で、そのニードルガンが作れたんじゃないのか」


 ジューネスティーンを宥める様にルイネレーヌが言う。


 それを聞いて、ジューネスティーンも納得する。


「ええ、あのライフル銃と弾丸を見せて貰えたのは、収穫でした。 でも、使い終わった薬莢ももらいたかったのですが、回収されてしまいましたから、貰ってくる事はできませんでした。 薬莢が手に入れば、もっと別の方法を思いついたかもしれません」


 ジューネスティーンは、少し悔しそうに言うと、身に付けていた装備を外し、普段着姿になる。


「それより、そのニードルガンとやらの威力は試した事があるのかい」


 銃に近いニードルガンを、ジューネスティーンは、自分で考えて作ってしまったのに驚いたが、実際に使った時にどうなのか、ルイネレーヌは、気になったようだ。


 ルイネレーヌが聞いた事に、ジューネスティーンは、あまり良い顔はせずにいるのだが、仕方なさそうに答える。


「南の王国にいた時に、食料調達のウサギに試したんですけど……」


 ジューネスティーンは、あまり話したがらない様に思えたが、ルイネレーヌは、どうなったのか気になったので、その先を促す。


「そのウサギに試した結果はどうだったんだ?」


 ジューネスティーンは、そのウサギのことを、あまり思い出したく無いようだが、聞かれたので仕方なさそうにルイネレーヌに答える。


「威力が高過ぎて、ミンチになって飛び散りました。 だから、調達どころじゃ無かったです」


 その状況を、ルイネレーヌも、頭の中で想像してみる。


 ルイネレーヌは、ミンチになったウサギを想像するのだが、何となくは想像がつくが、いまいちピンと来ないので、気になったことを聞いてみる事にした。


「骨位は残らなかったのか」


「ウサギが居たところに、粉々になって肉だか骨だか判別がつかなっていました。 ニードルガンを放って、針が着弾した部分とウサギのいた周りに血の飛び散った後と、そのさきに、ひき肉とか骨の残骸とかが散らばってました。 細かく粉砕されてましたから、骨も肉もどの部位なのかはわかりませんでした。 それにウサギですから、体毛と思われる毛も散乱してましたよ。 所々に肉片の付いた毛が地面に散乱しているんです」


 話を聞いて、ルイネレーヌは、どうなったのかと想像している。


 何となく、様子がわかってくると、気持ちの良い感じはしないのだろう、ルイネレーヌも渋い顔をしている。


(細い針が何百本も高速で撃ち出されるのだから、ウサギはミンチになって、骨も肉も判別つかない程だったなら、弾丸が、当たった瞬間に、ミンチになって飛び散る。 一瞬で、体が粉々になって、飛び散るって事なのか。 粉々になって、肉も骨も体毛も、グシャグシャになって、地面にへばり付いているって事なんだろうな)


 ルイネレーヌは、頭の中で想像すると、ウサギが瞬間的に、その場から破裂する様な様子を思い浮かべたようだ。


(細かく砕かれた骨と肉もバラバラになって飛び散っているんだろ。 地面には、そのミンチになった肉と骨が、バラバラになって、その周りに血液も飛び散っていたという事か。 あまり見たいものじゃないな)


 ルイネレーヌは、肩を落として、聞くべきじゃなかったと思ったようだ。


「そうか」


 流石に2人ともウサギのミンチの話は、ルイネレーヌも、それ以上突っ込みいたくない様子だ。


 そんなルイネレーヌをみた、ジューネスティーンは話を変える。


「今回は、ニードルガンまで使いたくは無いけど、念の為に装備しておく事にします。 背中のアタッチメントには、大盾も付くようになってますけど、腕の盾だけで、普通の場合なら何とかなりますので、今回は攻撃重視で装備する事にします。 それに大盾は結構重いのと、空気抵抗が大きので、機動力が少し落ちますから、ニードルガンを装備する事にします、」


 その一言で、ルイネレーヌもミンチの話は忘れようと思い、パワードスーツに目を向けた。


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