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魔物の対応策


 いつもならおびき寄せる際には、体が小さいく動きがすばしっこいアリアリーシャが担当するのだが、今回はルイネレーヌが行うので、自分は前衛となる。


「じゃあ、私はジュネスの右に配置ですねぇ」


 ルイネレーヌという、囮りの駒が増えた事で、攻撃の手数が増えることになったのは、喜ばしい事なのだ。


 もし、アリアリーシャが囮りになって、魔物を引きつけた場合、囮りとして、魔物をジューネスティーンに誘き寄せてから、攻撃に入ることになる。


 そうなると、攻撃に入る時の時間的なズレが大きくなり、初手から二手三手と攻撃を加える時に、手数が減ってしまうか、間隔が空いてしまう。


 連続攻撃としての機能がなくなってしまうのだが、アリアリーシャが、前衛として攻撃に参加できるなら、二手三手が速くなり、攻撃間隔が短くなるのだ。


 ジューネスティーンは、アリアリーシャの攻撃参加は大きなアドバンテージになると考えたようだ。


「そうしてくれ、レオンと2人で魔物の足を止めてくれ。 動きが止まれば、後は倒すだけになる。 それに、遠距離からの攻撃も当てやすくなる」


 ジューネスティーン、レィオーンパードとアリアリーシャの方針が決まれば、後の3人の配置も決まってくるので、カミュルイアンも自分の配置がどこになるのかを確認するように言う。


「じゃあ、オイラはその後ろで牽制とシュレの護衛、後は、動けなくなってから魔物への攻撃になるね」


 それを聞いたアンジュリーンが、先を越された事が気にいらなかったのか、棘のある言い方をする。


「あんただけじゃ心配だから私も一緒ね。 お姉さんの実力を見せてあげるわ」


「誰がお姉さんだ。 オイラの方が上だ」


「どうだか、あんたのような臆病者がなんで上なのよ。 私がお姉さんなの」


「オイラは、臆病者じゃない。 慎重なんだ」


 このアンジュリーンとカミュルイアンは、顔貌が良く似ている事から、エルフ属には珍しい二卵性双生児と思われている。


 その2人がいつものようにどちらが兄か姉かで言い争いになり始めた。


「お前達は、毎度同じ事で喧嘩するな」


 ジューネスティーンに止められ、気のない返事をする2人。


「それと、シュレは後方で待機、俺に付与魔法を頼む。 呉々も魔物に魔法は撃たないように。 後始末が大変になりそうな場所だから」


「……」


 何も答えないシュレイノリアに、ジューネスティーンは、更に釘を刺す。


「炎も水も雷もダメだからな。 今回は付与魔法だけだからな」


 念を押すジューネスティーンに別の使えそうな魔法をいう。


「なら、重力まっ」


「それも、ダメ」


 ジューネスティーンは、全部をいう前に、途中でシュレイノリアの言葉を、ドスの効いた声と睨むようにいうと、さすがにシュレイノリアも気圧される。


 彼女の魔力は並外れて高く、一般の魔法職とは異なり全ての魔法に精通しているので、その魔法力の強さから南の王国では王都の高等学校へ特待生として入学し次席で卒業している。


 今回の食料調達にも同行させなかったのは、強すぎる魔法で獲物が消滅してしまう可能性があったからだ。


「わっ、分かった。 約束する。 炎も水も雷も重力も使わない。 だから、睨まないでほしい」


「今回は、最後尾で備えてもらうから、 “スロー” の魔法はかけられないかもしれない。 それと、お前の魔法は大き過ぎる。 場所の広さから今回は見合わせる。 万が一の際はお願いするから、それ迄は使わないでくれ」


「うん」


 最後は、意外に素直に納得するシュレイノリアに若干の違和感を抱く。


 そんなジューネスティーンとシュレイノリアの、やりとりを見て心地良いと思いつつ、ルイネレーヌも自分の行わなければいけない事を考えている様子を見せていた。


 だが、囮りをさせられるルイネレーヌの仕事は、ルイネレーヌには、簡単に予測がつくのだ。


「じゃあ、私はあんたらの直線上に誘き寄せればいいね」


「はい、それで、お願いします」


 しかし、ルイネレーヌは、ジューネスティーン達メンバーの装備を見て、流石にその装備だと攻撃一発で倒されてしまうほど貧弱なものに見えているのだ。


(これから、強力な魔物を退治するには無理があるように思えるな)


 ルイネレーヌは、どうするのか気になり、ジューネスティーンに尋ねる。


「でも、お前達の装備はそれで良いのか」


「いや、これは動物を狩る時用だから、魔物相手だと貫通してしまいます。 シュレ、出してくれ」


 ルイネレーヌに答えると、シュレイノリアに指示を出す。


 何を出すのか内容を伝えなくてもシュレイノリアは理解できているのか、それだけの指示を聞くだけで次の行動を起こす。




 シュレイノリアが少し移動して地面を指差す。


 すると、地面に魔法紋の光が発生し中央から、メンバーの装備が浮き出てくる。


「おや、これは恐れ入った。 収納魔法を使えるとは聞いていたけど、これだけの物をしまい込める使い手は見たことが無いね」


 魔法紋から出てきた装備の中には武器や防具、それとルイネレーヌが背負っているボードもある。


 そして、ギルドがジューネスティーン達を、大ツ・バール帝国に送り込んだ、最大の理由であるパワードスーツが収納魔法の中から出てきた。




 通常のフルメタルアーマーのような全身鎧は、各パーツ毎に体に取り付けていくので、胴・腕・足・兜などの各パーツに分かれており、それを身体にパーツを取り付けていくのだが、ジューネスティーンのパワードスーツは、人の形になって、その場に立っているのだ。


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