メンバーの亜人
2人のエルフは、前の青年と、その向こうにいるイノシシ型の獣の両方に注意を払って後ろに控えつつ、前の青年の指示を待っている。
前方にいる青年は、後ろの2人の様子を確認しつつ、左右に展開している2人にも注意を向ける。
展開している2人は、中央に居る3人と左右に5メートル程、離れた所に1人ずつ配置されている。
3人の右側には、かなりの小柄な女性がいつでも動けるように片膝をついてしゃがんでいる、その女性の身長は、立ち上がったとしても130センチメートル程度だと判断できるほど、小柄な女性だ。
ただ、身長的には少女の身長なのだが、顔立ちは、少女とは言いがたく、年頃の女性といった感じである。
その女性の髪の毛は、真っ白だが、色が抜けて白髪になったのではなく、元から白い髪の毛なのだろう、若い女性特有の髪の張りも感じ、髪の量はかなり多めだ。
その髪の毛の多さからなのか、膨らんでしまう髪が煩わしいのか、長い髪を三つ編みにして背中に垂らしている。
その三つ編みの束が、かなり厚めに編まれているので、首元は編まれた髪が首よりも太くなっている。
前髪は、額を隠す程度を残したつもりなのだろうが、髪の毛が多いので額を隠す髪も多い。
そして、残りは全て後ろの三つ編みに編み込まれるように後ろに流れている。
綺麗な白い髪は、新雪を思わせるように白い。
プラチナブロンドの髪はとても綺麗に見える。
ただ、人とは大きく異なる部分がある。
頭の両脇にある耳が、とても長く、頭より高い位置まで伸びている。
耳は、長く耳元から上に伸びており、耳元から先端まで15センチメートル程の長さがある。
そのため、耳は頭より上まで伸びている。
先程のエルフとは異なり、先端に行く程広がっており、先端は、綺麗なRになっている。
耳の外側は、髪の色と同じ白い産毛が生えているが、耳の内側には産毛が僅かに生えている程度なので、地肌が見えており、肌の白さもあり、血潮のせいか、地肌がピンク色をしており、時々、耳が動いているので、獣を音で伺っているのだと思える。
その耳の形状から、ウサギ系の亜人だと判断できる。
そのウサギの亜人の顔を見ると、目は大きく開かれて瞳も大きい。
ただ、瞳の色は、血のような赤い瞳をしており、顔つきを見ると、身長には似合わず、大人びた顔立ちをし、肌の色も髪の毛に劣らず白い肌をしているが、不健康な白ではなく、わずかに赤みを帯びて薄いピンク色の肌をしている。
小さな唇も赤く、そして、高くは無いが、それほど小さいとも言えない鼻も綺麗に鼻筋が通っている。
上着は、体の線より太めのブラウスを来ており、肩や腕の部分は、太めに出来ているが、ウエスト周りは、少ししか布の余裕は無いように思える。
女性の綺麗さを見せる可愛い感じに仕上げてある。
下は、ホットパンツにスカートをつけたような形をしている。
スカートの長さは、膝より、少し上までなのだが、スカートは、完全に腰を覆っている訳ではなく、前がウエストから縦に10センチメートル程開いているので、立って前から見ると、ホットパンツの下の太ももの内側が見えている。
亜人特有のズボンから出る尻尾の脇から、下着や地肌が見えないように布で覆われている。
腰の前まで覆われているのは亜人特有のパンツルックのデザインだと分かる。
ウサギの亜人の為、短めの尻尾と思われるので、ホットパンツから出た尻尾が長めのスカートの裾から出る事は無いが、スカートのお尻の部分が少しモッコリしているように思える。
そのパンツは深緑色の生地でできており、森の中では目立た無いだろうが、ホットパンツから出た足が、肌の白さを余計に引き立たせているように思える。
胸には、革の胸当てをしているのだが、胸当てを当てていても、胸の大きさが分かる程大きく、胸当てを使って胸を固定しなければ、走る時に邪魔になりそうなので、動き易くするため、胸を固定して揺れないように作られているようだ。
また、その胸当ても自分の体型に合わせて加工されているようにも思える。
ウサギの亜人は、左腰に付けた短剣の柄を左手で握って、いつでも逆手で引き抜けるようにしている事から、彼女は、左利きなのだろうと推測できる。
そして、いつでも飛び出せるように、腰を僅かにかがめて重心を前にかけて、獣を見つつ、中央の3人と向こう側に居るもう1人の亜人を視界のはじに捉えて見て、不足の事態でも直ぐにタイミングを合わせて飛び出せるようにしている。
そんなウサギの亜人に対して、髪の長いエルフが、何かサインを送っているようだ。
周りからは、なんのサインだか分からないが、ウサギの亜人には、理解できたようだ。
分かったというようなジェスチャーをしている。
髪の長いエルフは、ロットを立てると、声をかけてきた。
「最初は、スローで獲物を遅らせるわ。 そしたら、弓をお願いね。 その後、直ぐにアリーシャにクイックをかけるわ」
「うん」
髪の短い方のエルフが答えると、髪の長いエルフは、目の前にいる筋肉質の男に声をかける。
「こっちの準備はできたわ。 後は、タイミングだけよ」
「ああ、分かった」
前の男は、返事をすると、前の様子を伺っている。
左翼に展開している亜人は、身長165センチメートルで黄色の髪を短くカットしている。
耳は少し丸く、一般の人より大きく、耳の外側には髪の毛と同じように短い毛が生えている。
その耳の形からも、こちらも亜人と分かるが、下半身を見ると亜人と決定的に分かる尻尾がある。
そのズボンは、柔らか目の生地だが、しっかりした生地に、左右の腰骨部分からお尻を隠すように、後ろ半分にミニスカートが付いている。
亜人の尻尾をズボンの出口を外から隠すための生地がズボンのお尻を覆おっている。
そして、お尻を隠す程度生地の下から尻尾が出ている。
尻尾は、薄い黄色に黒の斑模ようになっており、ヒョウのような模様で、ほぼ膝までの長さだと分かる。
その尻尾の先が時々、左右に動いている事から、明らかに生き物の尻尾とわかる。
飾りで付いている物なら、ただ、垂れ下がっているか、その形のまま固定されているだろうが、時々、尻尾の先端が、左右上下に動いているので、生き物の尻尾と誰が見てもわかる。
5人は、気配を消して、ゆっくり進む。
中央の3人はそのままの感覚を保ちつつ、少し離れて左右に1人ずつ配置されている2人は徐々に前に出るように包囲している。




