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リーダーの青年


 晴れた日ではあるが、森の中であることから太陽の光が強く掛かるような事はない。


 周囲には、太い木が何本も無作為に生い茂り、上の枝が広がっているので、空は木々の枝葉に阻まれて僅かに覗ける程度である。


 陽の光は、木々の合間からわずかに光が差し込んでいる程度なので、地面には、僅かな光でも繁殖できる程度の草が生えているが、所々に、生存競争に負けて朽ち果てた木々が倒れ、その幹に苔が生えている。


 地面には降り積もった木々の葉が落ちて腐敗して重なりあって腐葉土となり、柔らかな大地となっていることから、歩いてもさして大きな音が出る事はないので、森の小動物達は、足音をさほど気にする事なく走り回っているのが時々見られる。


 地面に生えている草の合間を走り回る小動物は、周りを気にしつつ、地面の所々に生えている草の葉や茎に付いている実を食している。




 そんなのどかな風景の中を息を潜め、足音を忍ばせて小走りに移動している人影がある。


 1人、2人、……、全部で5人。


 左右に展開していた2人が先行して、周囲を警戒しつつ、目標に向かって移動していたが、連携しつつ、止まると、2人の中央部に3人が距離を詰めてきた。


 中央の3人は、一人が手前に、後ろに二人が寄り添って後に、先頭の1人の様子を伺いながら、後ろの2人は付いている。


 中央の3人の中で一番大きな男が、後ろの2人に声をかける。


「もう一つ先の、木のそばまで行く。 気付かれないように慎重にな」


 後ろの2人は、その言葉に頷いて、それぞれが、外側を追走する2人に目くばせすると、その大きな男の跡を追いかける。


 そして、左右に1人ずつ、中央の3人から5メートル程離れて身を木の影に隠れながら歩いている、その2人は、今まで先行していたが、今度は、中央の3人に合わせるように動く。




 中央の前にいる1人は、身長180センチメートル、筋肉質体系だということが、胸・二の腕・太ももの太さから遠目にも分かる。


 頭はむき出しのまま、波打った黒髪が首元で切りそろえられているのだろうが、髪質の為全体的に広がってしまっている。


 着ているものは手前がボタンで留められるようになった深緑色の長袖のシャツ、その上には染色されてない革でできた胸当て程度の皮鎧をつけ、下半身は少し広めの黒いパンツ、そして、くるぶしより少し長めの革のブーツを履いている。


 ブーツも革鎧と同ように染色されておらず、革の地色のままである。


 パンツは太く、太い足でも弛みがあるのは、戦闘をする為のパンツだと分かる。




 戦闘においては、相手に体を大きく見せるために、自分の体の線より太めの物を選ぶ。


 そのパンツの太ももの両脇には、縦に大きなポケットがついており、何が入っているのか膨らんでいる。


 その膨らみは、何かをしまい込んでいることが分かる。


 左の腰には、鞘の長さが、80センチメートル程、鞘から出た柄は30センチメートル程と長く、柄の長さから両手剣と分かる。


 そして、鞘は僅かに反っている事から中の刃は反った剣となっていると分かる。


 腕には、金属の薄い細長い板を何本か縦に並べて配置されている小手が、手首から肘にかけて、動き難くならない程度の物を付け左手は腰の剣の鞘を押さえ、鞘の先端が、周辺の木に当たって音を立てないようにしている。




 その男の視線の先には、胴体が大きく、足は短い4足歩行の獣が地面の匂いを嗅ぎななら、草を頬張っている。


 時々、周りを警戒するように周囲を窺っているのだが、目はそれ程良いとは思えない。


 近くにいる5人の場所に気付いてないのか、キョロキョロと周囲を窺っている。


 その獣の顔は、大きな鼻は正面に向いて平面になっており、二つの穴が空いているのが見て取れ、鼻の下には大きいとは思えない口が有り、下顎から左右に一本ずつ長い牙が生えている猪のような獣である。




 中央の3人の後ろの1人が前にいる体格の良い男に小声で囁くように話しかけてきた。


「あれなら、しばらくは、食料事情も良くなりそうね」


 中央の後ろにいる髪の長いエルフが、手前の男が、見つめている獲物を見て声をかけた。


 狙っている獲物の事を考えている。


「ああ、食料事情もだが、こういった時程、慎重にな。 ちゃんと訓練を兼ねているって事も忘れないようにね」


「分かっているわよ」


 前に居る男が、諭すように話すと、髪の長いエルフは、少し不満そうに答えた。




 5人はその獣を狙っているのだろう。


 全員の目は、その獣から視線を逸らさず、すきを伺うように見ている。


 中央の筋肉質の男の後ろに寄り添うようにして2人が、前の青年の脇から獣を見ている。




 中央の男は、後ろに声をかける。


「そろそろ、付与魔法と、弓の準備を頼む」


 後ろにいる、2人のエルフに声を掛けると、直ぐに、前の動物の方に視線を向ける。




 2人とも若く、1人は、髪の毛の長さから少女と分かるが、もう1人は、少年ともボーイッシュな少女とも言える、何とも言えない中性的な感じを受ける。


 第二次成長期にありがちな年頃特有の中性的な性別の雰囲気を出しているが、少年だと判断できる。


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