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後期の武道大会  本戦の3位決定戦


 敗者復活戦の決勝戦が終了すると、本戦の3位決定戦になる。


 敗者復活戦の決勝戦が始まるまでは、少々待たされたが、本戦の3位決定戦は、そのような事は無く、選手が開始線に立つと主審は2人の様子を確認しただけで、構えるように指示し試合開始の合図をした。


 本戦の3位決定戦は、3年生同士の戦いとなった。


 アリアリーシャとレィオーンパードに勝ち、ジューネスティーンに負けたランキング4位の選手と、準決勝で次席に負けたランキング3位との対戦となり、試合カードとしては順当な対戦となっていた。


 そして、ランキング4位の持ってきた木剣は、レィオーンパードと戦った際の細身の曲剣タイプではなく、直剣の大剣タイプの木剣であり、相手のランキング3位の選手も同じような大剣タイプの木剣を持っていた。


 2人の対戦は、お互いに剣を中段に構え様子を伺うように、ゆっくりと横に動き出し、時々、踏み込むような態度をしたり、剣を振るような動きをしてお互いに牽制しあっていた。


 間合いが直ぐに詰まる事は無く、足捌きや剣の動きで牽制し合っていた。


 お互いがお互いの手の内を知っており、実力も互角となれば、迂闊に攻撃を仕掛けて逆撃を喰らう可能性を考えると、なかなか前に出れないとお互いに考えての行動をとっていた。


 そんな動きをしていたが、痺れを切らしたのはランキング3位の方で、動くたびに間合いは徐々に狭くなるように徐々に前になるように動いていた。


 一歩前に踏み込めば相手の剣が触れると思われる所まで間合いが狭くなると、ランキング3位の選手が仕掛けた。


 一歩踏み込んで、相手のランキング4位の木剣を叩きにかかった。


 剣が当たり木剣と木剣の接触する音が響くと思った瞬間、ランキング4位の選手は、切先を下げつつ手首を返しながら引き上げていた。


 そこに、仕掛けたランキング3位の選手の剣が当たり木剣同士が当たる音が響いた。


 ランキング3位の選手は、相手の剣を叩いて下がったところに首を狙ってきたのだが、ランキング4位の選手は、その攻撃をよんで次の攻撃を防いだ。


 直ぐに2人は後ろに下がり、また、間合いが空きお互いに睨み合いなり、試合開始の時と同じように試合場を横に一歩移動したので、最初と同じように睨み合いが続くかと思ったが、2歩移動した所で、ランキング3位が踏み込み剣を右上から左下に振り下ろして叩き落とす動作をすると、ランキング4位は同じように切先を下げて、手首を返しながら柄側を上げて踏み込んだ。


 ランキング3位は、相手の木剣を下に払うために木剣が下に向いているが、ランキング4位は切先を下げて相手の木剣を躱しつつ鍔付近を中心に切先を回すようにして地面に平行に持っていくとランキング3位の首の近くに木剣が迫った。


 それを慌てて、首筋に迫る剣をしゃがみ込んで躱し、下がっていた木剣を相手に向かって振った。


 ランキング4位は、首を狙った自身の木剣が躱され、相手の木剣が下から振り上げられた事から横に飛んで躱した。


 ランキング3位としたら、その攻撃で相手の身体に木剣を当てるつもりは無く、次の攻撃に入られないように牽制した。


 そして、また、お互いに中段に構え相手の様子を伺い出した。


 2回目の攻防によって、ランキング3位の選手は、剣を叩いて懐に入る攻撃に出る事ができなくなった。


 最初の攻撃は、自身の攻撃で終わったが、2回目は逆撃を受けてしまった。


 その記憶が、同じ攻撃を躊躇させてしまうのだ。




 すると、今度は、ランキング4位が踏み込んだ。


 中段に構えた木剣は、そのまま、相手の木剣と擦れるように踏み込みつつ、木剣同士が触れる距離に詰まると、右へ相手の切先を外に押し出しながら、相手の木剣の上を滑らせるように切先を相手の木剣に掛かるようにし、木剣の当たる位置を鍔側にずらして木剣を被せるようにして滑らせたので、ランキング3位は手首を返して持ち上げ、自身に向かってくる木剣を上に逸らそうとした。


 すると、ランキング3位の選手の両腕は頭の上まで上がると、お互いの身体がぶつかる程に近づいており、2人の木剣はお互いの頭の上まで上がった事から身体が無防備になっていた。


 ランキング3位は防御のために両手で相手の木剣を持ち上げていたが、ランキング4位は右手だけで自身の木剣を持っており、下から左手を持ち上げるように殴りかかった。


 その下から迫る拳を顎を上げながら胸を逸らして避けると、その拳はランキング3位の顔の左に逸れた。


 しかし、その左手には、短剣型の木剣が逆手に握られており、刃はランキング3位の首に添えられた。


「勝負あり!」


 主審の審判が降った。


 ランキング4位は、逆手に持った短剣型の木剣の峰を左腕に添えるように持ち殴り掛かったので、相手は殴ってきたのかと思ったのだが、その手には短剣型の木剣が握られていたのだ。


 その木剣が、ランキング3位の首を捉えていた。


 2人はお互いの剣をおさめると開始線に戻り、ランキング4位の勝ち名乗りを主審から聞くとお互いの控室に戻っていった。


 試合カードは順当だったが、試合結果はランキング通りでは無かった。


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