表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

326/1356

後期の武道大会  敗者復活戦の決勝戦


 アンジュリーンがジューネスティーンの控室でウォームダウンを行なっていると、試合会場の方で動きがあった。


 審判員達に連絡員が来ると、話を聞いて納得するような態度を示すと、主審と副審が試合場に移動した。


 主審が、選手2人に何か話すと納得したようだ。


 すると、首席は身体を2回軽く飛び跳ね、ランキング11位は、身体を捻ったり足を振ると開始線で正体した。


 その様子を見た主審は、構えるように告げると2人は剣を構えた。


 構えた両選手を確認し、主審は一呼吸おくと開始を宣言した。


 首席は、その瞬間木剣を振り翳して飛び出し、気合と共に相手の木剣を叩き落とすように一気に剣を振り下ろした。


 しかし、首席はほとんどの試合を相手の剣を叩き落として勝ってきた事もあり、相手の選手は自身の木剣を下段に構え直して後ろに飛び退き、首席の木剣を狙った攻撃を躱した。


 首席は、ジロリと相手を睨んだ。


 相手は、ランキング11位とはいえ、3年生の中では、首席自席のトップ2と、その下のセカンドグループの実力がある。


 今までの試合のように簡単に木剣を叩き落とさせてはくれなかった。


 相手の選手は、着地と同時に左に走り出し間合いを取ろうと動いたが、首席も同じ方向に動き、回り込む方向を塞ぐように動くと、相手は、右に切り返し離れるように下がる方向で動くと首席も合わせるように動いた。


 剣の間合いに入るか入らないかの状態でジグザグに動いていたが、相手は下がりながら左右に動いていたので、場外近くまで移動してしまっていた。


 そして、徐々に正方形の会場の角に追い込まれていた。


 相手は、そこまで追い込まれては、左右の隙間を抜けるしか無いが、首席はそれを許してはくれそうもない。


 すると、相手の選手は首席に向かって木剣を振ってきたが、その木剣を首席は自身の木剣で防いだ。


 防がれると、また、戻して叩くのだが、それも防がれてしまった。


 相手の選手としたら、何度も叩く事で首席が下がってくれる事を願っての攻撃だったようだが、首席は下がる気配も無く自身の木剣で防いでいた。


 対戦相手は、セカンドグループと言われているランキング11位の選手なのだが、その打ち込みを全部木剣で受けていた。


 ただ、今までの試合のように最初の一撃で木剣を打ち落とされる事はなく、攻撃を加えている事から、今までの3年生とは体力もセンスも違っていた。


 首席は何度も相手の木剣を自身の木剣で受けていたが、繰り返しの連続攻撃が長くは続く訳が無く、相手の選手が剣を戻さず鍔迫り合いに持ち込もうとした瞬間、首席は気合と共に一歩前に足を出し、受けた剣をおもいっきり振り切った。


 その勢いを相手の選手は、木剣で受けていたが、押し切られてしまい、そのまま、身体ごと後ろに吹き飛んだ。


 その瞬間、主審は試合の決着を宣言した。


 相手の選手は、試合場の角に追いやられていた事から、そこから後ろへ吹っ飛ばされ、場外で尻餅を付いてから回転して寝転んでしまった。


 場外に飛ばされてしまった事によって、首席の勝利と判定されたのだ。


 試合が決まると、首席は何食わぬ顔で開始線に戻った。


 相手の選手は、身体を起こそうと手を突いて立ちあがろうとしたが、身体が崩れて、また、尻餅をついた。


 吹っ飛ばされた後に頭を打ったのか、上手く立ち上がれないようだ。


 その様子から首席の腕力の強さを証明しているように、見ていた人達に与えていた。




 試合の決着をジューネスティーン達は控室から見ていた。


「凄い力だったね。姉さん、怪我が無くてよかったね」


 今の試合を見ていたジューネスティーンが感心した様子でアリアリーシャに話し掛けた。


 今の試合では、相手のランキング11位の選手は、吹っ飛ばされて受け身も取れずにいた。


 その前の試合でアリアリーシャも場外まで吹っ飛ばされていたので、今の試合を見て無傷でいるアリアリーシャを驚いた表情で見ていた。


「ジュネス。試合の後、姉さんの身体は確認したが問題無かった。だから、3位決定戦にも出場した」


 シュレイノリアが、解説してくれて、アリアリーシャと首席の試合は、準決勝だった事に気がついたと納得したという表情をした。


「そういえば、そうだったね」


 敗者復活戦の際、シュレイノリアが見てくれていた事を思い出し、シュレイノリアならば、重大なケガをしていた場合、次の試合に出させるような事はしないだろうと納得するように答えた。


 そんな話をしていると、首席が勝ち名乗りを受けて控室に戻ってきた。


 会場から入ると、一瞬、ジューネスティーンに視線を送ったが、すぐに、次の試合となるランキング4位の選手と何か話をすると、自分の付き人に声を掛け、荷物の整理をさせた。


 荷物の整理中にランキング4位の選手と話をしていたが、荷物の整理が済むと控室を直ぐに出ていった。


 そして、本戦の3位決定戦に出場するランキング4位の選手が大会委員から、毎回聞かされる説明を聞くと、直ぐに試合会場の扉を出て行った。


「ねえ、にいちゃん。さっきのように待たされるなら、こっちで待っていた方がいいんじゃないかな?」


 レィオーンパードは、敗者復活戦の決勝戦の開始が遅れた事を気にしていた。


「ああ、でも、あれは、ギルドの都合じゃ無いかな。誰か、来賓の1人が遅れていたとかあって、試合を引き延ばしたんだろう。だから、今度の試合は直ぐに始まると思うよ」


「ふーん」


 レィオーンパードは、ジューネスティーンの回答を聞いて答えたが、理解しているような雰囲気は無かった。


 ジューネスティーンが、そう言うなら、そうなんだろうな程度の理解しかしてない様子で試合会場を見た。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ