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後期の武道大会  決勝戦(敗者復活戦)前の控室


 敗者復活戦の決勝戦は、開始が遅れていた。


 後期の大会は各国の軍部のスカウトも見にきている事もあり、冒険者としての道ではなく、各国の軍に入隊して軍組織として各国に発生する魔物に対応する仕事に従事する場合もある。


 ランキング上位の試合ともなれば、各国の来賓の都合によって試合時間の変更もある。


 特に、3年生の首席の試合ともなれば、来賓達の都合も考慮される事になる。


 それには、3位決定戦の試合が1年生同士という事もあり、休憩をゆっくり過ごしていた来賓達が多かったことから観戦に遅れてしまっていた。


 ギルド側は、各国の来賓に配慮して、敗者復活戦の決勝戦を遅らせていた。




 控室内は試合が延びている事によって、緊張が解け騒ついていたが、外に続く扉が開き、エルフの美少女が入ってきた瞬間、話し声が止まり全員が扉に立つ美少女を見た。


 周囲の様子が変わった事にジューネスティーン達も気づいた。


 そんな中、その様子を見たシュレイノリアは、安心した表情を見せた。


 そこに立った美少女は、切れ長の碧眼の目を持ち、綺麗な髪が背中の中程まで伸びており綺麗に揃っていたが、所々、セットが少し乱れていたので試合に出た後に大した手入れができてないのだろうと伺えた。


 その長い髪は、戦闘には不向きとなるが、耳の前の髪を三つ編みにして耳の上を通して後ろに回すようにし、後頭部でリボンで止めて垂らしていた。


 自身の髪の毛がバラバラにならないように配慮されているのは、明らかに戦闘の時、自身の髪の毛が前に回って視界を妨げないように配慮されていると見れば分かる。


 そして、自身の目の色と同じ、青を基調とした戦闘用の服は金の縁取りがされており、生地には同じ青色の糸と金色の糸による刺繍が施されていた。


 その少女は控室の中を確認すると、颯爽と歩き出した。


 すると、膝上15センチのミニスカート揺れて、スカート丈と同じ長さの足にフィットしている黒のスパッツが、歩くたびに揺れるスカートからわずかにはみ出して見えていた。


 胸には革の胸当てと、腰には剣を納める革の腰当てが左右に一つずつスカートに巻いた革ベルトに固定され、膝を隠す長さのロングブーツは、前は膝とすねをガードするように補強され、膝の裏側は大きく開いて、膝を曲げても邪魔にならないようになっていた。


 そして、左腰の腰当てには、剣を納めるための金具が取り付けられ、細身の曲剣タイプの木刀が収まっていた。


 控室には、後の出場する選手は残り2人ともそろっており、選手では無いはずなのだが、歩く姿は、これから試合に挑む選手のように堂々としていた。


 そのエルフの美少女は、試合が終わったアンジュリーンだった。




 アンジュリーンは、脇目もふらずジューネスティーンに歩み寄った。


「あーあ、終わっちゃったわ。しかも、負けで終わるなんて、面白くないわ」


 そう言うと、ウサギの亜人のアリアリーシャを見た。


「負けたわ! でも、次は、私が勝つから!」


 それだけ言うと、バツが悪そうにジューネスティーンに向き直った。


 しかし、言われたアリアリーシャは、大粒の涙が気になっていたが、いつもの強気のアンジュリーンに戻っていると思い、ホッとした表情を浮かべていた。


 ジューネスティーンに向いたアンジュリーンは、気になる表情を浮かべていた。


「ねえ、決勝戦はどうなったの?」


 自身の試合が終わって、こっちの控室に入るまでに時間が経っていたことから、敗者復活戦の決勝が決着してもおかしくはないと思っていたのに、決勝戦が終わったような雰囲気が無い事から確認した。


「ああ、まだみたいだ」


 そう言うと、会場の方を示した。


「なんで? 私の試合が終わってから随分経つのに」


「ああ、何だか審判達が話していて、試合を始めようとしないんだ」


 試合の進まないのは、審判達が試合を止めている事はわかったが、その理由までは分かっていなかった事もあり、アンジュリーンはしっくりこない表情をした。


「ふーん」


 そんな中、黙ってアンジュリーンの様子を見ていたシュレイノリアが何かを気にするような表情をしていた。


「アンジュ、試合は、まだ、始まらない。今のうちに身体をクールダウンしておけ」


 アンジュリーンは、ギクリとした。


 その様子を見て、シュレイノリアは、やっぱりそうだったかと言うように、ジト目でアンジュリーンを見た。


「ふん、やっぱり、怠ったな」


 アンジュリーンは、言われて慌ててストレッチを始めた。


 すると、アンジュリーンの後から、こっそりと入ってきて、一番端に居たレィオーンパードに隠れるようにしていたカミュルイアンをシュレイノリアは見た。


「カミュー。お前は、ちゃんと、アンジュの世話をしておけ! 開始早々からあれだけのラッシュをしたのだから、しっかり、クールダウンさせないとケガをしたり、明日、身体が重かったりだ。終わった後のケアはちゃんとやらせておけ」


 シュレイノリアに言われてカミュルイアンは、ギクリと肩を動かすと、申し訳なさそうな表情をシュレイノリアに向けた。


 その表情を見たシュレイノリアは、仕方無さそうな表情をした。


「姉さんは、ちゃんと終わらせた。付人なら心のケアも身体のケアも、ちゃんと面倒を見るんだ」


 試合後のアンジュリーンの様子を見ていたので、戻ってきたアンジュリーンを見てカミュルイアンがアンジュリーンを宥めてくれただろう事は分かっていた。


 だが、戻ってきた時間を考えたら、身体のケアを行っていなかった可能性が有ると思っており、カマをかけたらシッカリ表情に出してくれた。


 試合を残しているジューネスティーンには、そちらに集中してもらいたいと思っており、余計な事はシュレイノリアが気を利かせてくれていた。


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