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後期の武道大会  レィオーンパード


 ジューネスティーンとレィオーンパードの準々決勝は、B組対G組、A組対H組、C組対F組、D組対E組の順番で行われる事になった。


 本来なら、A組を中心に試合が組まれるのだが、ベスト8には、3年生の中ではB組の次席が最上位となっていたので、B組を中心に試合が組まれていた。


 A組のジューネスティーンは、第2試合に出場し、E組のレィオーンパードは、第4試合に出場する事になっていた。


 そして、2人が勝ち上がったら、準決勝の相手になるが、レィオーンパードとしたら、今まで本気のジューネスティーンに勝てた事は無かった。




 レィオーンパードは、ジューネスティーンとシュレイノリアより4年遅れて転移してきていた。


 それは、ギルドの高等学校に入学する3年前になる。


 レィオーンパードが転移してきた時、ギルドとしては、まだ、始まりの村のギルドの保護下に有ったジューネスティーンとシュレイノリアと一緒にメイリルダに面倒を見させることにした。


 ギルド支部が始まりの村に出来てから、これ程転移者が集中して現れたのは初めての事であり、ギルドの寮に3人の転移者を受け持つ事も初めてだった。


 そんな中、人属のジューネスティーンとシュレイノリアにヒョウ系の亜人であったレィオーンパードを一緒にしても良いのかといった意見は有った。


 それは、この大陸には亜人奴隷を許可している国もあり、過去には大陸全土に広がっていた事から、中には亜人を蔑むように見る人もいる事から、そのような意見も有った。


 しかし、ヒョウの亜人であるレィオーンパードを一緒に暮らすように指示すると、2人に、すんなりと受け入れられ弟のように接していた。


 時々、シュレイノリアに耳や尻尾をオモチャにされていたが、レィオーンパードは、警戒はするだけで本気で嫌がる気配は無かった事から、兄弟の戯れのように思っているのだろうと判断されてしまうと3人一緒にメイリルダが担当させる事になった。


 ジューネスティーンとシュレイノリアの面倒を見ていたメイリルダが2人の面倒を見ているのであれば、1人増えても問題無いだろうとなり、メイリルダは3人の面倒を見ていた。


 そんな中、特に、シュレイノリアが初めて見る亜人に興味を示した事もあり、シュレイノリアにつられるようにジューネスティーンも一緒に面倒を見ていた事から、2人から様々な事を教え込まれていたので、メイリルダが教えるような事は殆ど無かった。


 そして、レィオーンパードは、2人を兄と姉として慕っていた。


 また、レィオーンパードは、最初の魔法適性を検査した際、適性無しと判断されていたが、後に魔法が使えるようになったと報告されている。


 それは、ジューネスティーンも同様だった事もあり、最初の魔法適性検査に不具合が有ったか、転移者は一般人とは違うだけだろうと言われただけで、深く追求されることは無かった。


 この世界では魔法に対して、基礎研究が進んでいなかった事もあり、ギルドの高等学校でも、稀に魔法が使えていなかった生徒の中に魔法が使えるようになったという事例も有った事から、それ以上の詮索はされなかった。


 しかし、魔法の基礎的部分をシュレイノリアが少ない書物と自身の実験によって解明しており、ジューネスティーンも魔法が使えるようになったので、同じようにレィオーンパードにも教えて魔法を使えるようにしていたが、魔力量は多くは無かったことから、使えはするがジューネスティーンよりも使える回数も威力も低かった。


 そんな事もあってレィオーンパードは、魔法より剣を使う事を好んでいた。


 それは、ヒョウの亜人の特性のせいか敏捷性や走力に優れており、力は弱いが正確に魔物の弱点に刃を入れる事に優れていた事から、魔物の動きを止めるための攻撃に特化していた。


 走力を生かして、魔物の死角から走り込み動きを止め、後からジューネスティーンがとどめをさしたり、その走力の早さから追いかけて刺すという方法を用いていた。


 レィオーンパードの攻撃は、ジューネスティーンが作った剣が、この世界の剣とは圧倒的に斬れ味が違う事から、弱い力だったとしても、魔物の皮膚だけでなく奥深くの肉まで刃が入り深いダメージを与えていた。


 この世界の斬る為の剣というのは、刀身で力を受けても折れないように太く厚く作る傾向にあり、刃は有るが斬れ味を追求するような事は無く、鋭利な刃物というようよりは棍棒の延長線上にあり衝撃によって骨を粉砕する傾向にある。


 そんな中、ジューネスティーンは、刃表面に硬鉄を使い、内部には軟鉄を使う事によって、叩いた時の衝撃を内部の軟鉄によって吸収させ、刃表面の硬鉄は、焼き入れを行って、更に硬くし刃も鋭利に尖っていた。


 そんな刃なので、軽く擦るように斬ると、すんなりと肉を斬ってしまっていた。


 その斬れ味は、調理用の肉を包丁の自重だけで斬れる程に研ぎ澄まされていたことから、軽いレィオーンパードの速度重視の戦闘でも、魔物に刃を触れさせるだけで深傷を負わせることが出来ていた。


 しかし、最終工程の焼き鈍しについてのノウハウがジューネスティーン達には無かったことから、刃こぼれが多かったのだが、それも、エルメアーナとの出会いによって解決していた。


 エルメアーナは、大ツ・バール帝国で腕の良い鍛冶屋のカインクムの娘であり、10歳の頃から工房に入って鍛治を覚えていた事から鍛治の技術に精通していた。


 剣の作り方にも精通しており、様々な鍛治を熟すが、諸事情により帝国を出て南の王国に店を構える事になった。


 その際、ジューネスティーンが独学で作った日本刀を一眼見て惚れ込み作り方のノウハウと引き換えに鍛治について基礎から教える事になった。


 ジューネスティーンは、鍛治の基本を覚える事によって刃こぼれも良くなり、使い勝手は向上していた事、そして、レィオーンパードの成長によって、今では最初の一撃で倒してしまう事も有った。


 レィオーンパードは、その応用を使って今回の武道大会を勝ち抜いてきていたが、その全てをジューネスティーンから教えてもらっていた。


 ただ、13歳のレィオーンパードでは、身体も子供だったが、周囲の生徒は身体も出来上がった成人の中で、本戦のベスト8まで勝ち残ったのは奇跡に近い事だった。


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