後期の武道大会 大会運営委員会と学校の方針
ジューネスティーンとレィオーンパードの控室にメンバー全員がそろった。
ただ、アンジュリーンの負け方について色々有ったが、その話もジューネスティーンがまとめてくれたので大事にはならずに済んだ。
そして、本戦の準々決勝と準決勝が行われるための入れ替えも終わり、本戦が始まろうとしていた。
ジューネスティーンとレィオーンパードは、ウォームアップの装備も終わり、直ぐに試合ができる状態になっていた。
大会の運営委員会は、いつもの大会より多忙だった。
敗者復活戦はルールとして用意されてはいたが、今まで必要無かった。
しかし、1年生が3年生の首席を倒した事もあり、3年生に卒業に向けての花を持たせるという目的が果たされなかったこともあり、初めて敗者復活戦が採用された。
今大会は初めての事が多かった。
そのため、運営委員の方でも勝手が分からないという事も有った。
ジューネスティーンは、2回戦で3年生の首席を倒し、3回戦で2年生の首席も倒している。
そして、ジューネスティーンだけでなく、そのパーティーのメンバーも上位に名を連ねており、それ以上の成績を収めた2年生がいなかったことも問題となっていた。
来年の事を考えたら、本戦のベスト8にジューネスティーン達のパーティーから、最低でも5人が勝ち上がってくる事になり、来年の大会では、ジューネスティーン達5人と3年生3人による本戦のベスト8以上の大会となる可能性が高くなると考えられた。
そして、準決勝以上は、ジューネスティーン達のパーティーメンバーに独占されてしまう可能性が高いとなってくると、今回、急遽追加された敗者復活戦は、運営委員会にとって意味のある大会となっていた。
来年の前期後期の武道大会は、このままであれば、ベスト4に3年生は居なくなってしまい、辛うじて本戦ベスト8に残れる3年生は、3人となってしまう事が考えられる事から、今回の大会で大会の運営方法やルールの確認を行う必要があると考えられていた。
特に、後期の武道大会は、卒業していく3年生への花向けの意味合いが強い事を考えると、来年の3年生のために考慮が必要となる。
そして、1年生のランキングについても、大きく見直しが必要になったと判断されていた。
1年生のジューネスティーン達のランキングは、ジューネスティーンが首席、カミュルイアンが9位、レィオーンパードが12位、アリアリーシャが13位、アンジュリーンが31位、シュレイノリアが46位とされており、カミュルイアンからアンジュリーン達より上位か同等の1年生がいなかった事から1年生のランキング設定の見直しする必要に迫られていた。
この後期の武道大会では、本戦ベスト8にジューネスティーンとレィオーンパードが勝ち残り、カミュルイアン、アリアリーシャが、ベスト16である6回戦に出場しており、アンジュリーンも5回戦で3年生の次席に負けていた。
アンジュリーンにおいては、5回戦で次席に負けていたが、もし、組み合わせが変わっていたら、本戦のベスト8に名を連ねていたかもしれないと言われていた。
それは、アンジュリーンが敗者復活戦では、準決勝で簡単に負けていたが、アリアリーシャと共に3位決定戦に進んでいる事から、今の2年生では勝てる見込みはないと判断されていた。
そして、カミュルイアンは、ケガで棄権してしまったが、本戦でもベスト16に入り敗者復活戦に出場していたら、少なくともベスト8には入れたのではないかと思われていた。
しかし、敗者復活戦の準々決勝の相手が、3年生の首席だった事から、これを勝ち抜くとは思われていなかったが、カミュルイアンが棄権しなければ、首席との対戦が組まれる事になり、大会の運営委員会からしたら注目度はかなり高かった。
いずれにせよ、2年生でベスト16に進出した生徒は居なかった事から、来年の前期武道大会では、今の5人は確実にベスト8に入ってくるだろうと予想されていたので、来年の敗者復活戦の活用は現在の2年生のために必要なシステムだと認識された。
過去においては、1年生がベスト8に進出する事もなく、3年生に勝ったとしてもせいぜい2回戦を勝ち上がる程度で、3回戦を勝ち上がることは無かった。
それも、トーナメントの特徴として、1年生が出場する1回戦は、2年生の上位と1年生の下位から対戦を組まれており、勝ち上がると2回戦の相手である3年生とは、ランキングの上位は上位、下位は下位と対戦するように組まれていたので、学校での2年間のキャリアを覆すような事は、ランキング中位以下には見られたが、首席や次席を含む上位ランキングでは1年生が勝ち上がる事は無かった。
それは学校側のカリキュラムによる1年で大きく成長でき、2年間の経験の違いは大きいという証明でもあった。
そして、今回の大会によって学校側は、2年生達に対するカリキュラムを見直して、ジューネスティーン達より強い上級生を作る必要に迫られていた。
ジューネスティーンの特待生としての入学に懐疑的だった教員達も、今回の大会での快進撃によって大きく見直されていた。
そして、パーティー全員が上位に入っている事から、全員の経歴も確認されていた。
入学時にはパーティーメンバーについて、目立った資質は無く、エルフのアンジュリーンとカミュルイアン、それと、ウサギの亜人であるアリアリーシャにも魔法適性もなく力も入学した生徒の中では最低ランクだった。
それが、1年に満たない間に下手をすると3年近く真面目に訓練した生徒を抜いてしまっていた。
学校側は、ジューネスティーンもだが、メンバー達まで強くなった理由を確認する必要に迫られていた。




