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後期の武道大会  控室に使っている格闘技場 2


 ジューネスティーンは、アリアリーシャが、もう5位との対戦について考えがあるのだろうこと言うとアリアリーシャは黙ってしまった。


「ああ、3年生の首席だけど、多分、俺との対戦は、あてにならないよ」


「あら、どうしてなのよ!」


 アンジュリーンが、それにくってかかった。


「ジュネス! なんで、そんなこと言うのよ! 私達には、教えても無駄だとでも言いたいの!」


 ジューネスティーンは、少し困ったような表情をするが、また、いつものアンジュリーンらしいとも思ったようだ。


「あ、いや、違うんだ」


 そんなアンジュリーンは、納得できないという表情をしていた。


「あの人は、1年生の俺を甘く見ていたから、あの技が成立したんだ。 だから、俺との対戦は、参考にならないよ。 それに、敗者復活戦の試合だけど、あの首席は、最初から、今まで同じ方法で勝ってきているから、そっちの方が参考になるかもしれないよ」


 その答えにアンジュリーンは、疑問に思ったようなので、ジューネスティーンは、面白そうに、その様子を見ていた。


「ほら、常に同じ戦法にこだわっているって事は、対戦相手も知っているはずだけど、それでも同じ戦法で勝ち上がっているって事は、対策を許さない圧倒的な力差があるってことじゃないかな」


 アンジュリーンは、その指摘を受けて納得するような表情になった。


「それが許されるだけの力を付けているから出来たことだよ」


 アンジュリーンは、深刻そうな表情をした。


「俺の時は、初戦だった事もあるし、こっちの情報を持っているかどうか分からなかったからね。 こっちは1年生だし奇襲したら上手くかなって思ったら上手くいっただけだよ」


 ジューネスティーンは、そんなアンジュリーンを見つつ答えていた。


「じゃあ、対策なんて無いって事なの?」


 その答えを聞くと、アンジュリーンは不安そうに答えた。


「いや、今度は、ベスト8だからね、……」


 ジューネスティーンは、カミュルイアンの顔を見ると少し考えた。


「そうか、本来ならカミュルイアンのグループだったから、そうなると」


「うん、25位の人だよ」


 カミュルイアンも一応は、自分と対戦する相手の事は調べていた。


「オイラの対戦相手になったかもしれない相手だから確認しておいたけど、でも、4・5回戦で負けた2年生の8位の人も強かったから、どっちが勝ってもおかしくなかったと思うよ」


 カミュルイアンが自分の意見を言うが、それを聞いていたアンジュリーンは、微妙な表情をした。


「2年生の上位と、いい試合、だったの、ね」


「ひょっとすると、首席のベスト8も、今までと同じような試合になりそう、かな」


 ジューネスティーンも微妙な答えを返した。


「でも、2人は、その試合は見ておいた方がいいだろうけど、俺としたら、2人が決勝戦で対戦してもらいたいかな」


 本音が出たが、それをアンジュリーンは苦笑いをして聞いていた。


「それだと、アリーシャが首席に勝ってもらう必要があるわね」


「まあ、そうなるな」


 アンジュリーンとジューネスティーンは、今まで何も言わずにいたアリアリーシャを見た。


 しかし、そこには困ったような表情をしたアリアリーシャがいた。


「どうしたの? アリーシャ」


 アンジュリーンは、気になり声を掛けた。


「う、うん」


 困ったように答えた。


「あ、ありがとう、アンジュ、ジュネス」


 そう言うと、レィオーンパードを見た。


「レオン、ちょっと、いいかな」


 アリアリーシャは、苦笑いしながら伝えると、突然自分に話を振られるのかと思ったレィオーンパードは、一瞬、驚いた表情をした。


「ジュネス、ありがとう」


 アリアリーシャの表情は変わらず、お礼を伝えると、レィオーンパードの方に歩き出した。


「やっぱり、先の試合より、次の試合の方が大事だから、ちゃんと対策しておくわ」


「う、うん」


 レィオーンパードの返事を聞くと、その手を取って、格闘技場の隅の方に連れて行ってしまった。


 その様子を、アンジュリーンは、何でなのという表情で見送っていたが、ジューネスティーンは、納得したような表情で見てからアンジュリーンを見た。


「姉さんは、次の対戦相手の事を確認してから対策するみたいだけど、アンジュはどうするの?」


 それを聞くと、アンジュリーンは、慌てたような表情をした。


「わ、私だって、目の前の試合からよ! まぁ、ベスト8に残れたのだから、全ての試合を、頭の中に入れてからと、思っただけよ」


 いいわけをすると、周囲を確認するように見た。


 そして、シュレイノリアと目が合った。


「シュレ、私の練習に付き合って!」


 それを聞いて、シュレイノリアは、びっくりした。


 アンジュリーンの相手を自分が行うと思うと、ちょっと、力の差が有り過ぎるように思ったようだ。


 その事にアンジュリーンも気がついたという表情をした。


「悪いけど、私の動きの確認をしてもらえるかしら?」


 慌てて、内容を修正してきたので、シュレイノリアは安心した。


 アンジュリーンとシュレイノリア、そして、アリアリーシャとレィオーンパードの4人は、敗者復活戦の準々決勝の対策を行いつつ、体を冷やさないように対応していた。


「ねえ、ジュネス。 アンジュとアリーシャは、大丈夫なのかな?」


 2人の行動を黙って見ていたカミュルイアンが不安そうにジューネスティーンに聞いた。


「次の試合なら、2人とも大丈夫だと思うよ」


 カミュルイアンは、その答えに少し不安を覚えたようだが、ジューネスティーンの予想なら、2人とも次の試合は勝てるだろうと納得していた。


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