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後期の武道大会  敗者復活戦に挑む2人


 敗者復活戦は、ベスト8も決まり準々決勝の対戦表に全員の名前が連なった。


 A組とE組が1・2回戦から組まれていた事もあり、後に回されていた事から、準々決勝まで、少し時間をあけることになった。


 その後の組み合わせは、A組対H組、B組対G組、C組対F組、D組対E組を勝ち上がった者同士の対戦となり、後から2番目に行われたA組の試合は、3年生の首席が勝ち残り、1・2回戦から4試合を行なっていることを考慮し、少し休憩時間が長く取られた。


 そして、B組のアンジュリーンとD組のアリアリーシャも、空いた時間を利用して身体のチェックと軽く身体を動かそうと、ジューネスティーン達と合流しようと格闘技室に移動した。


 格闘技室は大会の競技場から、少し離れている事もあり、控室として使う生徒は少なかった。




 アリアリーシャは、アンジュリーンが会場から出てくるの待っていて、顔を見ると満面の笑みでアンジュリーンを讃えてくれたので、アンジュリーンは、少し気まずそうにしたが、アリアリーシャの様子を見てホッとしていた。


 最初の試合前にアリアリーシャの事に気付く事なく、自身の事だけを考えてしまい、その事を、シュレイノリアに指摘されていた事もあり、気まずさがあったのだが、アリアリーシャは、全く気にする事なく讃えてくれた。


 それにアンジュリーンは救われたと思えた。


 2人は、残りの3試合の観戦を行なって全部の試合が終わると、トーナメントの山を確認してから格闘技室に向かっていた。


「アンジュ、あの首席、なんだかぁ、意地になって戦ってなかった?」


「そうね、一瞬で勝負がついたけど、あれ、初戦でジュネスが、剣を絡めて外させたのを根に持っているって感じだったわ」


 アンジュリーンの後の試合は、F組、A組、E組となっていたので、2人揃って観戦していた。


 その際、A組の首席の試合が気になっていたのだ。


「でも、首席は、力任せに叩き落としていたわ」


「あー、次に勝ったらぁ、対戦相手になりそうですぅ」


 アンジュリーンの評価を聞いて、自身も同じように思っていた事もあり、アリアリーシャは憂鬱そうにぼやいた。


「でも、1・2回戦から同じ戦法を取っているのに、5・6回戦まで、誰も対策してなかったのかしら?」


「いえ、きっとぉ、あれはぁ、首席の強さが勝ったと思いますぅ」


「確かに、そうかもしれないわね。 私が戦った次席と同等かそれ以上なら、対策されていても、その対策に合わせて対応してくるかもしれないわね」


 アンジュリーンは言われて、さっき観た首席の試合と自身が戦った次席の対戦を考えて答えていた。


「あれはぁ、ジュネスに対する当て付けですぅ」


「そうか、だったら、アリーシャの時も同じような戦法を取ってくるのかしら」


 その答えを聞くとアリアリーシャは考え出した。


「そうねぇ、あれならぁ、対応策はぁ、ありそうですぅ」


「それに、アリーシャって、両手剣だから、片方を落とされても次の攻撃はできるでしょ」


 武道大会に出場する選手の大半は大剣を使っており、アリアリーシャのように短めの剣を両手で持つスタイルの人は稀な例であり、本戦でも敗者復活戦でもベスト8に勝ち上がった人はアリアリーシャだけだった。


 攻撃特化のスタイルより、防御も含めた戦い方を好む冒険者達としたら、両手剣は好まれなかった。


「そうですねぇ、首席はぁ、大剣使いとしかぁ、当たっていませんでしたぁ」


「そうなのよね。 大剣って、何だか人気あるのよね。 それに、あのジュネスの技って、剣が曲がっているから、あの反りを利用して絡められるけど、首席の使う大剣って直剣でしょ、相手の剣を落とすとなったら、勢いで落とすしか無いでしょ。 でも、負けた腹いせから、同じような勝ち方をするって、ちょっと、大人気ないようにも思えるわ」


「あらぁ、悔しさからぁ、そんなぁ、行動をぉ、取っている?」


 アリアリーシャは、ホッとしたような表情をした。


「首席もぉ、感情をぉ、お持ちのようですねぇ」


(ちょっと、可愛いかも)


 アリアリーシャとしたら、そんな男心の意地らしさに何かを感じていたようだったのだが、その表情をアンジュリーンは、何か様子が何なのか、よく理解できないという様子で見ていた。


「いずれにしても、私達の大会の壁は、あの首席よね。 アリーシャが勝ったら、私とは対戦せずに済むから、よろしくお願いね」


 それを聞いて、ウンザリした表情をした。


「何よぉ、アンジュは、もう、決勝戦まで上がるつもりですか? 私と決勝戦を戦うつもりなんですか? 一番面倒そうな相手は、私に任せて、後は、私と対戦して決着をつけようというのですか?」


 その剣幕にアンジュリーンは、何だというような表情で聞いていた。


「ああ、そうね。 決勝戦でアリーシャと対戦できたら最高だわ」


 アンジュリーンは、その時の様子を考えるようにしつつ答えていた。


「そうなったら、ジュネスも喜んでくれそうよね」


 呑気に答えるアンジュリーンに、アリアリーシャは、ムッとしていた。


「あんた、次の相手の事は考えているの?」


 勝ったつもりになっている事に腹がたったようだ。


「いい、アンジュ! あなたの次の相手は、ランキング10位なのよ! それに勝ったら次の相手は、11位と14位の勝者なの! 3年生のセカンドグループなのよ! そう簡単じゃないわ!」


 言われて、納得したような表情をした。


「私だって、次の相手は、ランキング5位なのよ! そう簡単に勝てる相手じゃないわよ! 下手な皮算用をしたら、次の試合で負けるわよ!」


「それも、そうね」


 言われて納得するアンジュリーンと、言われなければ理解できないと、ガッカリするアリアリーシャだった。


「ほんと、残念エルフね!」


「ん? 何か、言った?」


「いえ、何でもないわ」


 アリアリーシャのボヤキはアンジュリーンには聞こえなかった。


 いつもの能天気なアンジュリーンの発言なのだが、アリアリーシャとしたら、こんな時位は、少し真剣に取り組んでほしいと思ったようだ。


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