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後期の武道大会  本戦5回戦の反省をするアンジュリーン


 アンジュリーンは、結局一人で控室に居る事になった。


 最初は、シュレイノリアが様子を見にきてくれていたのだが、アリアリーシャの事を無視して自身の事だけを考えていたアンジュリーンを怒ってしまった。


 しかし、アンジュリーンが、落ち着いて対応したので、シュレイノリアは、自分だけ怒っていたことに恥ずかしさを感じて、どこかへ行ってしまった。


(少し寂しいような気もするけど、まぁ、ヒステリックにシュレが騒ぎ立てたら、また、面倒になるし、私のメンタルにも響くかもしれないから、これで良かったのかもしれないわね)


 アンジュリーンは、自身を納得させ、そして、軽く型の確認を行なっていた。


 昨日、今日の戦いの勝った時の事を思い出しつつ、その時の自分の動きを思い出し、ゆっくりと、その時の動きを再現していた。


(そういえば、私が負けた人は、槍を使っていたわね)


 アンジュリーンは、自身の敗戦を思い出していた。


(槍の人との対戦って、初めてだったから、間合いに入れなかったし、それに、あの人、私の時だけ槍を使ってた)


 動かしていた身体を止めて考えるような表情をし始めた。


(そうよ、それまでは、剣を使っていたのに、私の時だけ槍だったわ? でも、何でなの?)


 アンジュリーンは、自身の対戦相手の試合を確認した時、その相手は、槍を使っておらず剣で対応していた。


 それが、アンジュリーンの試合だけ槍を使ってきていたのだ。


(でも、何でなの?)


 アンジュリーンもメンバーも上級生とは殆ど面識が無いので、情報も少なかった。


 そのため、3年生の次席が槍を使うなんて情報は無かった。


 上級生や他のクラスの情報を取るのは、前期と後期の武道大会程度しかなく、前期の大会といったら、入学して落ち着いた時期ではあるが、学校には部活動などが無かった事もあり、上級生との交流が少なかったので、特に1年生には上級生の情報が中々入ってこなかった。


 この武道大会が1年生にとって、上級生の情報を取れる唯一の場でもあった。


 そして、後期は同学年の別クラスの情報も得られる事になる。


 また、槍を使う生徒は1年生にも居たが、アンジュリーンは今まで剣で対戦した事が無かった。


 それは、ジューネスティーンにも言える事だった。


(そう、私達は1年目だから、情報の少なさは仕方がない事だけど、これからは、槍の授業の時に剣で対抗する方法を考えるしかないわね)


 アンジュリーンは、敗戦の状況を思い出して考察していた。


 そして、このように閉鎖的な状況では、事前に相手の対戦について検討する事は、1年生の自分達には難しい事なのだと実感していた。


(そういえば、私、挑戦する側だから、次の6回戦で負けた人の試合を見てなかったから、さっきの4・5回戦の相手は、3・4回戦を確認できたけど、今度は違う!)


 アンジュリーンは、負けてしまった段階で、武道大会は終わりだと思い、6回戦は、応援に回ったため、メンバーの4人の試合しか見ておらず、次の対戦相手を見てない事に気がついた。


(どうしよう! 次の対戦相手は、3年生の15位って事しか分かってないわ)


 アンジュリーンは、不安そうな表情をした。


(ん? でも、ここで負けたとしてもカミュルイアンの不戦勝と一緒って事なら、それは、それで、仕方が無いって事か)


 だが、不安そうな表情は直ぐになくなり、いつものアンジュリーンに戻った。


(そう、ここからは、勝ったら儲け物って事よね)


 表情が晴れ晴れすると、アンジュリーンは、また、剣を構えた。


(まあ、仕方がなかったけど、今は、あの槍の動きについて再確認だけしとこうか)


 そして、開き直った様子で、また、剣を動かし始めた。


 槍の間合いを考えると、圧倒的に槍の方が間合いが長い事により、剣が届かない範囲から攻撃が可能となる。


 次席は、その間合いを利用して攻撃したので、アンジュリーンは、試合の初めは防戦一方だったが、試合が進んでいくと、確実に槍の攻撃を剣で捌いてしまっていた。


(槍は剣で突きをしてくる動作と一緒だから、間合いさえ剣の突きと同じに考えたら躱せたのよ)


 そして、槍を避けつつ剣を入れられそうになったが、予備武器によって防御されていた。


 その時、アンジュリーンは、一旦間合いを取って、もう一度同じように槍を避けて攻撃を加えようとした。


 だが、その間合いを開けようとした際に、アンジュリーンの付けた革鎧の胸当てに相手の槍がヒットしていたので、そこで勝負がついた。


 しかし、次席に肉薄するような剣を入れられたのは、アンジュリーンが初めてだった。


 その試合の様子を冷静に見ていたアリアリーシャは、最後の槍の一撃を躱せていたら、次の攻撃でアンジュリーンが勝つと思えていたのに、間合いを開けようとした瞬間に槍を胸に入れられてしまっていたと、アンジュリーンに試合の後に言っていた。


 また、勝てなかったのは、アンジュリーンが槍との戦いに慣れていなかっただけで、槍を想定した戦い方を覚えてしまっていたら確実に本戦のベスト8に上がれただろうと、そして、次席が剣で対戦していたら、きっと、アンジュリーンが勝てただろうとも言っていた。


 そして、アリアリーシャは、何で次席がアンジュリーンの試合だけ槍を使ったのか疑問を漏らしていた。


 アリアリーシャの最後の言葉を気にする事なく、アンジュリーンは、負けてしまった時の事を思い出しつつ、また、剣を振るっていた。


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