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後期の武道大会  アリアリーシャ 〜敗戦の理由〜


 ウサギの亜人であるアリアリーシャは、種族的には長身の部類に入る。


 ウサギの亜人の平均身長は100センチ前後と言われているが、アリアリーシャは、130センチと平均より30センチも高いが、人属と比べたら子供となんら変わらない身長となる。


 種族的には高身長だったのに、人、エルフ、そして、他の亜人の平均身長と比べると見劣りしてしまい、それに入学時は、費用を貯めるために食事も抑えていた事もあり、身体の線も細かったので、ギルドの高等学校に入学はしたが、ジューネスティーン以外の生徒からパーティーに誘われる事は無かった。


 しかし、ジューネスティーン達とパーティーを組むと、昼休みの綱上りと、食事については、ジューネスティーンが補填してくれた事から入学後は、栄養にも恵まれていた。


 そんな事もあって、入学後は、かなりの筋肉質になっていたが、それを覆い隠すように脂肪もついていた。


 必要以上に接種した栄養が、ついてしまった筋肉を脂肪で覆い隠し、女性らしさも身に付けていた。


 そして、アリアリーシャは、脂肪を付けたくない部分は、自身で研究しながら落とすようにしていたので、出る所は出て、凹む所は凹むという身体になり始めていた。




 アリアリーシャは、小さな身体のおかげで、重心が低く、一般人よりも体重も少ない事から、敏捷性に優れていた事もあり、左右への切り返しが早く、相手の剣を避ける事が得意だった。


 小さな身体、軽い体重ならば、激しい動きをしても関節に掛かる負荷も、人属やエルフ属のような一般的な身長の人より少ない事と、その反射神経の良さから回避に優れていた。


 アリアリーシャは、自身の身長の低さを利用して相手の剣を避けつつ接近して打撃を与える事が得意だった。


 そして、ジューネスティーンのように軟鉄と鋼鉄のハイブリット化するような技術を持っていない剣では、折れない対策として、太く厚みを持たせる剣が一般的だったため、使われている剣は重くなっていた。


 その結果、重い剣が好まれているので、剣を扱う生徒は剣を奮った時の剣速が遅い事と、自身の身体の小ささと敏捷性を利用して動き回る事から、クラスでも上位に入っていた。


 その中でアリアリーシャは、遅い剣速の木剣を避けて懐に入り、致命傷になる攻撃箇所に自身の剣を当てる事で、本戦でも勝ってきた。


 しかし、6回戦の相手は、それを見越して、大剣を振り回し、回避して懐に入って来たところを持っていた予備の短剣でアリアリーシャの攻撃を跳ね除けて首に当てられてしまった。


 今まで、同じような方法で勝っていた試合を研究されていた事による敗戦だった。


 アリアリーシャとしたらジューネスティーン達と一緒に体力作りを行なった事により、1年生の中では上位ではあったが、最高学年の3年生の上位には、今までのように簡単には勝たせてもらえなかった。


 今まで、その戦法で勝てていたなら次も勝てると思い込んでしまった。


 そのおごりから6回戦を負けてしまったと反省していた。




 技というのは、必ず破られる。


 しかし、何度も同じ技や戦法で勝ってしまうと、それが自身だけの持つ必殺技だと勘違いしてしまう場合がある。


 どんなに新しい技を開発したとしても、最初は驚いて冷静な対処ができずに負けてしまう事がある。


 しかし、冷静に攻撃方法を観察していたら、新しい技にも必ず弱点が見つけられてしまう。


 特に同じ技を何度も使うとなれば、相手は慣れてしまう。


 奇襲は、1度は成功しても、2度目は成功しない。


 特に、経験の多い者なら、初見でも一瞬で対処方法を見抜かれてしまう事もある。


 アリアリーシャは、6回戦も同じように戦って、自分の戦法を逆手に取られて負けてしまっていた。





 アリアリーシャとしたら、アンジュリーンのウォームアップの手伝いがてら自身の戦法の確認を行おうと思ってたのだが、アンジュリーンは、自分1人で勝手に進めてしまったので、頼む事もできずにアンジュリーンのウォームアップを見つつ準備運動を軽くしただけになってしまっていた。


 試合前だった事もあり、アリアリーシャも邪魔はしたくないと思い、試合後に軽く合わせてもらおうかと思っていたのだが、アンジュリーンは、試合が終わると控室には戻ってこなかったので、結局、アリアリーシャは、何も出来ずに終わってしまっていた。


(アンジュったら、直ぐに向こうの控室に行ってしまったのね。 まあ、5回戦で負けた事を、本当に悔しがっていたから、今回の4・5回戦は、特に気合が入っていたみたいだから、仕方なかったのかもしれないけど、もう少し、周りを見ることができないのかしら!)


 アリアリーシャは、軽く身体を動かしつつ、何かを考えるように、遠くを見る目をしていた。


 アリアリーシャにしても、5・6回戦から出場するので、少し早い段階で準備を始めておきたかった。


 そして、技の確認もできればと思っていた。


 しかし、その相手を頼もうとしていたアンジュリーンは、アリアリーシャの事など、全く気にする事なく、自分の試合が終わったら、何も言わずに次の試合用に反対側の控室に行ってしまっていた。


「もう、アンジュったら、あんまりです」


 少し拗ねた様子で、独り言を呟きつつ、自身の試合に備えていた。


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