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後期の武道大会  敗者復活戦の初戦


 一夜明けて、後期武道大会のベスト8の対戦の前に、敗者復活戦が行われる事になった。


 そして、敗者復活戦が始まる前から観客が押し寄せていた。


 敗者復活戦は、大会の途中、急遽追加されたメニューとなり、ベスト8に出場した選手と対戦して敗退した選手が対象となり、下位から順番に対戦して敗者復活戦におけるベスト8を選出し、そこからトーナメント戦を行い優勝者を決める。


 本戦のベスト8進出したジューネスティーンとレィオーンパードは、1年生という事もあり、この2人のA組とE組は、1・2回戦の敗者同士と対戦する事になったが、残り6組は全部3年生だった事から、他は全て2・3回戦の敗者との対戦となっていた。


 そのため、最初に1回戦と2回戦の敗者復活戦が2カード組またことから、そこには、ジューネスティーンが2回戦で倒した、3年生の首席も含まれていた。


 その3年生の首席は、昨日、行われた本戦の2回戦の対戦相手が、1年生という事もあり、3年生の首席が初戦で敗退するとは、誰も思っていなかった事、首席と1年生では、面白い試合になると思っていなかった事もあって、観戦者数が少なかったが、今回は、多くの観客が押しかけていた。


 好カードとは言い難い試合ではあったが、誰もが3年生の首席の試合を観戦したいと思っていたが、昨日のように1試合で終わってしまっては、観戦する事ができなくなると思い、生徒達は観戦に押し寄せた。


 その結果、本戦の1・2回戦を凌ぐ観客数となってしまい、その数は本戦の決勝戦と思える程の観客を動員していた。


 それに、3年生の首席は燃えたようだが、それに驚いたのは、1回戦でジューネスティーンに敗戦した2年生だった


 最初は、3年生の首席と対戦できる事だけが喜びのようにしていたのだが、会場を埋め尽くす、その観客数に驚いていた。


 いつもの後期の武道大会ならば、3年生の首席が出てくる初戦は、毎年、常に首席が快勝しており、前期の武道大会では、決勝戦以外は快勝して優勝した今年の3年生の首席ならば、後期の武道大会の初戦ならば問題なく勝ち進むだろうと誰もが思っていた。


 そして、対戦相手が1年生と決まった事によって、そうなったら圧倒的な力差から、あっさりと首席が勝つだろうと思われてしまい、見る価値の無い試合だと思われていた。


 しかし、今回は、本戦で、あっさりと2回戦で負けてしまっていた事もあり、また、同じようなことになってしまっては、もう、見る事はできない。


 3年生の首席の試合を見逃してしまう訳にはいかないと観客が押し寄せた。


 その観客の数を見た2年生の対戦相手は、この観客の中で自分の無様を晒すのかと思うと、腰が引けてしまっていた。


 そのため、試合会場に上がる際も緊張を隠すことはできず、そして、試合に掴んだ木剣は観客からも震えていることが分かる程だった。


「おい、あの対戦相手、ビビりまくっているぜ!」


「身の程を弁えているって事だろう」


「あーあ、これが当たり前だよな」


 対戦相手が出場してくると、その様子を見てガッカリ感が出ており、その話し声が聞こえてきていた。


 胸を借りる事ができると思っていたのだが、観客の数にビビりまくってしまっていた。




 その様子を3年生の首席は冷静に見ていた。


 そして、開始早々に首席が、間合いを詰めると2年生の剣を叩き落とし、あっという間に首筋に剣を添えた。


 一瞬で剣を叩き落とされ、相手の剣が首筋に当てられると、2年生は直ぐに戦意喪失し降参した。


 3年生の首席としたら、ジューネスティーンに負けた時と同じような方法で初戦を取ることで、自身の負けを払拭したかったようだ。


 しかし、ジューネスティーンは、相手の剣を自分の剣で絡めて、手から引き離すという高等テクニックを使っていたのだが、3年生の首席は、力任せに叩き落としていた。


 その様子を見ていた観衆達からしたら、一瞬で勝負がついた事にガッカリした者と、一瞬で相手の剣を叩き落とした事に感心した者と様々だった。


 しかし、観衆達は、勝負が決まると歓声を上げ、また、次の試合も見れる事に喜ぶと、観戦席から立ち上がって退席し、次の試合を確認するためにトーナメントの山を確認しに行ってしまった。


 次の対戦は、レィオーンパードが、1回戦と2回戦で負かした相手の試合だったが、大半の観戦者は、その試合に興味を示していなかった。


 観戦者としたら、ジューネスティーンが倒した3回戦の相手の名前を見てから、その後の4回戦、5回戦の対戦相手の名前を確認して、お互いに話をしていた。


 その中に、H組の5回戦は、カミュルイアンの棄権により、4回戦の対戦結果によって決まる事になっていたので、ベスト8の対戦についても、3年生の首席の圧勝を期待していた。


 観客は、敗者復活戦の最初の1戦を観戦すると、次はレィオーンパードが1・2回戦で倒した相手の試合だったのだが、その試合の観戦者は一気に減っていた。


 それは、その次に行われる2・3回戦の敗戦者同士の対戦にも及んだ。


 1・2回戦のカードが2試合組まれた事によって、この試合を考慮して、2・3回戦は、C組、D組、G組、H組、そして、B組、F組の順番に対戦カードが組まれ、その後に、A組、F組の、2・3回戦を行うことになっていた。


 観衆は、3年生の首席の試合以外に大きな興味を示してはいなかった事もあり、後の試合に興味を示したのは、選手のパーティーメンバー達程度だった事もあり、次から、2・3回戦の対戦は後半まで、観客席はまばらになってしまっていた。


 観客達は、この振ってわいた敗者復活戦に出場している3年生の首席が、このトーナメントをどうやって最後まで勝つかしか興味は無かったのだ。


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