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後期の武道大会  パワードスーツの開発


 始まりの村に住んでいたジューネスティーンは、冒険者になるために努力していた。


 当初は、フルメタルアーマーにシュレイノリアの開発した魔法紋を付与して近隣の魔物を狩っていた。


 その魔法紋は装備の筋力増強を行っていたが、常に魔法紋の改良を行った結果、ジューネスティーンの身体に掛かる負担が大きくなりすぎた。


 その魔法紋は強力だった事もあり、攻撃した際、強力すぎる力が人体へ跳ね返った。


 戻ってくる力を抑えるために、フルメタルアーマーの肘と膝に関節をつけて対策を行っていた。


 その際、シュレイノリアが、身体の動きに合わせて筋力の補強をさせる人工筋肉を追加する事を提案した。


 それに納得したジューネスティーンは、腕や肘の動きに合わせた伸縮可能な人工筋肉を取り付け、シュレイノリアが、その筋肉を動かす魔法紋を開発していた。


 一般的なフルメタルアーマーでは、そんな機能も無いので、むしろ、重いフルメタルアーマーは、防御力に優れてはいるが、重さが増す事によって移動速度や瞬発力に劣るとされていた。


 そんな中、ジューネスティーンは、パワードスーツの考えを加えたフルメタルアーマーを使う事により、今までの問題点を部分的に解決していた。




 始まりの村での生活中に、シュレイノリアが、魔法と魔法紋に興味を示した事もあり、そこで保管されていた書物以上の事を実験から導き出していた。


 そして、ジューネスティーンが改造したフルメタルアーマーに、シュレイノリアの魔法紋を使って筋力増強を行い、防具の重さを克服する事ができていた。


 しかし、魔法による筋力増強は、自身の骨に衝撃を与えてしまうので、魔法による筋力増強には限界を感じてもいた。


 フルメタルアーマーを改良して、骨格の代わりになるようにと、肘と膝に蝶番を付けて人体に跳ね返る衝撃を和らげようとした事まではよかった。


 しかし、肩や手首、そして、足首や股関節について、フルメタルアーマーの構造ではカバーしきれないとなり、いっその事、全身をカバーできる外装骨格を作って人工筋肉によって動きを補助させたら、生身の人間の数十倍の力を得られるのではないかと結論付けていた。


 その結論に至ったジューネスティーンは、自身のフルメタルアーマーについて基本構造から見直して、人の体と連動して動く事のできる骨格から考え始めた。


 人の身体に合わせて動かす人工骨格を、自身の身体の動きに連動して必要な可動部分を考え、それを寮内に置いてあった黒板に描き、その内容をシュレイノリアと話し合い、レィオーンパードに説明する事によって、設計段階において完成度を高めていった。


 しかし、3人以外には、ジューネスティーンがゴーレムのような絵を描いている程度にしか見られていなかった。


 その際、大きな稼働部分が沢山有り、その稼働部分の摩擦が高くなり、そして重量を支える下半身には、全体の重量を支えていることをシュレイノリアが指摘してきた。


 人体と同じ大きさのパーツを稼働させるにしても重量が増えれば、可動部分に重量も掛かる事から摩擦も増えて稼働部分に負荷も掛かる事から動きに影響を与える可能性を指摘した。




 その問題について、ジューネスティーンとシュレイノリアが悩んでいた時、外から戻ってきたレィオーンパードが、使っていたボールを落として床を転がる所を見て2人は閃いた。


 可動部分の間にボールを入れる事によって摩擦を減らす事に気がついた。


 可動部分に転がりやすいボールを入れたら面で受けるのではなく、ボールの点で受ける事になり、動きに合わせてボールが転がる事により可動部分の摩擦を減らそうと考えた。


 それは、ボールベアリングと言い、工業製品には絶対に必要なものであり、実現したら多くの製品に使われる大変重要なパーツとなる。


 その理論が完成した時に転機が訪れた。




 ジューネスティーンの噂を、南の王国の大商会の頭取であるジュエルイアンが聞きつけた。


 ジュエルイアンは、大ツ・バール帝国にギルドが進出するにあたり、帝都の南側に新たな帝都第9区画の開発に、大ツ・バール帝国の貴族であり帝国一の商人でもあるイスカミューレン商会の下請として多忙な日々を過ごしていた。


 しかし、転移者の話を聞き、そして、その報告を聞き興味を示した。


 多忙な中、筆頭秘書兼パートナーであるエルフのヒュェルリーンと共に、ジューネスティーンの元を訪れ、パワードスーツの設計図を確認した。


 そして、ベアリングに興味を示した。


 回転する物にベアリングを使用できるのであれば、馬車の車軸にも使える事、そして、利用範囲の広さを考えたら大きな利益につながり、そして世界の発展もつながると判断した。


 すると、ジュエルイアンは、始まりの村のギルドマスターであるエリスリーンに、王都にあるギルドの高等学校へ特待生として入学させるように進言した。


 エリスリーンは、ジュエルイアンの進言を聞き、職員からジューネスティーンが黒板に絵を描いているとだけ報告を受けていたことを思い出した。


 その絵には、過去に無い新たな技術も有るとジュエルイアンに説かれたエリスリーンは自身で確認する必要があると判断した。


 そして、パワードスーツの説明を受けるが、自身では理解を超えてしまう事も含まれいると判断した。


 新たな可能性を感じたエリスリーンは、ジュエルイアンの進言の通りジューネスティーンをギルドの高等学校に入れることを考え始めた。


 ギルドの高等学校は、戦い方を教えるだけでなく、勉強も教える機関である。


 冒険者として自立しようとしているのなら、ギルドの高等学校に入学させ冒険者に必要な戦う能力の向上に加え、さまざまな教育も受けられる。


 ギルドの高等学校に進む事で、ジューネスティーン達の未来への選択肢は広がるとエリスリーンは判断すると、ギルド本部に特待生の申請を出した。


 しかし、ジューネスティーンの考えたパワードスーツもボールベアリングも、エリスリーンの説明だけではギルド本部に評価されなかった。


 それでもエリスリーンは、ジュエルイアンが認めた事に賭けて、ギルド本部に説得を続け、根負けしたギルド本部側が、ジューネスティーンについて特待生として認めるにあたり条件を付けた。


 それは、ギルドの高等学校を卒業するまでにジューネスティーンが考えたパワードスーツを完成させて納品する事。


 その際には、現行のフルメタルアーマーの改良版も一緒に納品とあった。


 そして、それが不可能だった場合、特待生は取り消され、入学金、授業料、寮費等、ギルドの高等学校で掛かった費用の全額の返済を条件とされた。


 ジューネスティーンと一緒にギルドの高等学校への特待生の申請をおこなっていた、シュレイノリアについては、通常の魔法より強力な魔法を使えると報告があり、入学を希望された場合は特待生として直ぐに許可を出すと確約をえていた。


 そして、もう1人の転移者であるレィオーンパードについても3人と一緒に申請したが、特待生としての入学は不許可となった。


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