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後期の武道大会  敗者復活戦


 武道大会もベスト8が決まり、8人が次の対戦のために準備していると、運営委員会から通達が入った。


「今回の武道大会は、例年とは違い下級生の躍進が目立った事もあり、ギルド本部の意向により今大会は、一つ趣向を凝らす事になった。 ベスト8の選手と直接対戦して敗退した選手を対象に敗者復活戦を行う。 そして、そのグループの勝者を第二部グループとして表彰する」


 通常であれば、次の試合は、ベスト8の対戦のはずなのだが、運営委員会より通達が入り、拍子抜けした者も居れば、また、戦うことができると、新たなチャンスが巡ってきたと喜ぶ生徒もいた。


 ギルド本部として、高等学校の武道大会で下級生が勝ち上がった際の救済処置は考慮してあった。


 そして、今大会は、ベスト8に1年生が2人も残ってしまった事もあり、そして、優勝候補が初戦の2回戦で敗退していた事もあり、ギルド本部も学校側も、その際の救済処置を発動した。


 このような場合を想定してあったようなので、すぐに敗者復活戦用のトーナメント表も用意された。


 そして、発表されたトーナメントの山は、通常の山とは異なっていた。


 ベスト8に勝ち上がった生徒に負けた人が対象なので、1回戦と2回戦の敗者同士が対戦し、その勝者が、3回戦で敗者となった者と対戦する。


 その勝者は、4回戦の敗戦者と対戦し、そこで勝つと5回戦の敗者と対戦となり、ここで勝った者が敗者復活戦のベスト8となる。


 1・2回戦で敗退した者が、勝ち上がるには、4回勝つ必要があるが、5回戦で敗退した者は1回の試合だけとなる、変則的なトーナメントの山になっていた。


 しかし、1・2回戦の敗者が想定されるのは、ジューネスティーンとレィオーンパードの対戦相手のみで、残りは、全て3年生だったので、2・3回戦の敗者同士からの対戦となっていた。


 そして、その勝ち上がった8人によって、第二部グループの優勝者を決める。


 一瞬、敗者復活戦と聞いて、生徒達は喜んだが、トーナメントの山を見て自分が対象外だと分かるとがっかりする3年生も居た。


 だが、2回戦でジューネスティーンと対戦した、3年生の首席は降って湧いたチャンスに目を輝かせていた。




 突然の敗者復活戦が組まれたので、本戦に出場予定のジューネスティーンとレィオーンパードは、時間が空いてしまう事になった。


 レィオーンパードは、やる気を削がれたような表情で聞いていたが、ジューネスティーンは、装備の点検ができると思い、ラッキーだという表情をした。


 そして、5回戦で敗退したカミュルイアンとアリアリーシャは、自分達に新たな試合が舞い込んできた。


 アリアリーシャは、面白そうだと思ったようだが、カミュルイアンは、もう終わったと思っていた事もあって、また、試合が組まれるのかと、少し青い顔をしていた。


 カミュルイアンとしたら、ベスト8の寸前まで進めただけで満足していたのに、これからまた、試合に出なければならないと思うと気持ちの切り替えに苦労しているようだ。


 その不安な気持ちをアリアリーシャに話そうとするのだが、その前にアンジュリーンが声をかけてきた。


「カミュー、良かったじゃないの。 あんた達2人は、また、試合が出来た幸運を喜んだら」


 ベスト8を決める5回戦で負けてしまった、アリアリーシャとカミュルイアンには、当然権利があると分かったので、カミュルイアンを励まそうと声を掛けた。


 アナウンスのベスト8の相手に負けた相手なので、直近の5回戦の相手は当然権利がある。


 アンジュリーンは、前向きな気持ちになるようにと声をかけたのだが、その様子は、他人事のように話していた。


 しかし、その話を聞いていたアリアリーシャは、アンジュリーンを馬鹿にするような表情で見た。


「アンジュぅ? あなたはぁ、何を他人事のようにぃ言うのかしらぁ」


 アンジュリーンとしたら、カミュルイアンを励まそうとして言ったつもりだったのだが、それを聞いていたアリアリーシャが何を惚けた事を言うのかとガッカリしていた。


 それを聞いても、アンジュリーンは、何の事なのかと不思議そうにアリアリーシャを見た。


「アンジュはぁ、4回戦で3年生の次席の人に負けてますぅ。 その人はぁ、今ぁ、ベスト8に残っていますからぁ、アンジュも敗者復活戦の選手ですぅ」


 その指摘を聞いて、アンジュリーンも気がついたようだ。


「そうだよ。 アンジュも対象者だよ。 良かったじゃないか」


 カミュルイアンが、ホッとした様子でアンジュリーンを励ますように言うと、アンジュリーンは、敗者復活戦のトーナメントを確認するために移動を始めた。


 カミュルイアンとしたら、今のアンジュリーンが敗者復活戦の対象者ではないと思っていた発言によって、気持ちは少し落ち着いたようだ。


 そして、アンジュリーンを追うようにアリアリーシャとカミュルイアンも、その場からトーナメントの山の表示の方に向かった。




 敗者復活戦のトーナメントの山は、すでに出来上がっており、8つの歪なA〜Hのトーナメント表と、その勝者による山があり、そのBグループには、上から2番目にアンジュリーンの名前が有ったので、2回戦と3回戦の勝者の相手を倒したら、5回戦で3年生の次席に敗れた相手と戦う事になる。


 そして、その相手に勝つと、この敗者復活戦のベスト8に入れる。


 そして、Dの一番上にはアリアリーシャと、Hの一番上にはカミュルイアンの名前が有った。


 ベスト8からのトーナメントの山は、A対H、D対Eと、B対G、C対Fが対戦することになるので、カミュルイアンが勝ち上がると、ベスト8の相手は、Aの勝者となる。


 しかし、そこには、ジューネスティーンが2回戦で倒した3年生の首席が居るグループになる。


 それを見たカミュルイアンは、この敗者復活戦でも勝ち上がるには強敵がいると思ったようだ。


 この敗者復活戦は、その首席のために作られたと言っても過言ではない。


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