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後期の武道大会


 ギルドの高等学校を卒業すると冒険者として、ギルドのD3ランクが付与される。


 ギルドに登録される冒険者は、ランク分けされ、ランクによって受けられる依頼が変わってくる。


 ランクは、S、A、B、C、D、E、F、Gに分けられており、その中にも3つに分かれていた。


 誰でも冒険者として登録可能だが、冒険者として魔物を狩る場合ランクは、F3からスタートする。


 Gランクは、魔物を狩る事ではなく、それ以外の公共事業や個人や法人からの依頼となっており、武器を使う必要が無い仕事のみを引き受ける場合は、このGランクとなる。


 魔物を狩るとなれば、F3ランクの登録となり、依頼の完了数によって、F2、F1と上がるが、F1からE3にランクアップするには、ギルドの試験に合格する必要があった。


 しかし、その試験が難しいのは、識字率が低いことにあった。


 実技試験はパスできても、筆記試験の試験内容を読めず、大半の受験者が不合格となっていた。


 そんな中、南の王国の王都にあるギルドの高等学校では、語学も教えられるので、卒業後は読み書きもマスターする事になる。


 そして卒業すると、最低でもD3を与えられるので、ランクが一気に上がり卒業後には高い依頼を引き受けられる。


 冒険者ならば、ギルドの高等学校を卒業した方が手っ取り早くランクが上がれるので、アリアリーシャ達のように冒険者登録した後、依頼と魔物のコアを買い取ってもらう事で、その費用を稼ぎ入学してくる冒険者が多い。


 また、ギルドの高等学校では、冒険者としての戦闘力以外にも座学の授業がある事から、その後のランクアップの試験に出る筆記試験には有利になる。


 当たり前のように学校に通えない一般冒険者にとっては、ギルドの高等学校で読み書きも含めて教えてもらえるのは都合が良かった。


 卒業後には、CランクBランクと上位を目指すとなれば、その試験時に必要となる筆記試験のために、文字を覚えられるので、学校の授業は誰もが真面目に受けていた。




 ジューネスティーンが、ギルドの高等学校に入学して、1年が経とうとしている。


 そんな中、全校生徒による対人の武道大会のトーナメントが行われる事となる。


 前期の武道大会は、入学してしばらくすると有り、新入生は希望者のみ、教師の許可を得られれば出場可能となるが、毎年、希望者が出ても実力が伴わないということで、教師の許可は中々出なかった。


 そんな中、ジューネスティーンは、特待生だった事もあって、出場させられていたが、1回戦であっさりと負けてしまっていた。


 しかし、1年近く訓練を重ねた後期の武道大会では、1年生も参加する事になっており、その対戦相手は、教師達を中心とした運営委員会が対戦相手を決める事になっていた。


 くじ引きで決めてしまっては、1回戦で強者同士が対戦してしまう事もあるので、成績に応じて強者をベースに、残りの生徒を対戦相手としてあてられる。


 高カードは、可能な限り上位での対戦となるように配慮され、そして、後期は卒業を控えている生徒がシード選手となっており、下級生同士の戦いで勝ち上がった生徒と対戦する事になっていた。


 1回戦は、1年生と2年生の対戦となり、2回戦は、1・2年生の勝者と3年生の対戦となる。


 そして、今までの後期の武道大会は、2回戦で下級生が勝つ事もあるが、大半は3年生が勝ち上がっており、3回戦、4回戦となってくると、下級生が勝ち残ることは少なく、ベスト8に下級生が勝ち残る事は過去には無かった。


 しかし、今年は、1年生が2人、ベスト8に残っていた。


 1年生が3回戦を勝ち残った事が、過去最高だったのだが、今年は、5回戦も勝ってベスト8に2人も入ってしまっていた。


 後期の武道大会は、卒業していく3年生への花向けの意味も有るのだが、その思惑に反して、1年生が勝ち上がってしまっていた。


 しかも、1人は、3年生の優勝候補と言われた人物を2回戦で勝ってしまっていた。




 トーナメントの対戦相手は、1年生と3年生が対戦して勝てるとは思っていなかった事から、1年生の強さを重視していなかった。


 そのため、1回戦で2年生と対戦する1年生は、2年生の成績上位者と1年生の成績下位者、2年生の成績下位者と1年生の成績上位者となっており、2年生の成績下位者のカードの対戦相手は、3年生の成績上位者となるので、1年生のトップは、1回戦で勝つと2回戦で3年生のトップと対戦する事になる。


 そして、1年で成績トップは、ジューネスティーンだったので、最初に2年生の成績下位者と対戦して勝ってしまい、2回戦で3年生のトップと対戦する事になった。


 周囲は、流石に順当な3年生の勝ちを予想していたのだが、その予想を裏切って、ジューネスティーンが勝ってしまった。


 そして、レィオーンパードも同様に勝ち進み、お互いにベスト8に進んでしまっていた。


 他にもカミュルイアンとアリアリーシャは5回戦でどちらも敗れてしまいベスト8には上がれなかったが、アンジュリーンは4回戦で敗れていた。


 そして、シュレイノリアは、魔法職だったため、武道には不向きだった事もあり、1回戦は辛うじて勝ったのだが2回戦で敗れ去っていた。


 アリアリーシャは、後1勝でベスト8だったのに負けてしまい、レィオーンパードより成績が下位になってしまった事が悔しかったようだが、カミュルイアンは、5回戦まで残れた事を喜んでいた。


 しかし、カミュルイアンより成績が下だったアンジュリーンは不満を隠せずにいた。


 常にカミュルイアンより上に居ないと気が済まないアンジュリーンとしたら、自分が4回戦止まりなのに、その上にカミュルイアンが居る事が、1年生として快挙だというのに面白く無かったようだ。


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