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格闘技に必要な筋肉  昼休み


 綱の設置をお願いしたのはジューネスティーンだったが、その事に気づかせてくれたのはシュレイノリアとの会話によって導かれ、ジューネスティーンが教官にお願いした。


 その綱の設置は、意外に早く完了した事により、ジューネスティーン達6人は、昼休みを利用してトレーニングを行なう事ができるようになっていた。


 ジューネスティーンの強くなろうと考えもあるが、教官としても綱上りの効果を知っていた事、そして、その最終承認を行うのはギルドとなるので、許可は直ぐに降りた事もあり、設置工事も急ピッチで行われた。


 そして、学校側は、設置した事によって効果があったか報告を要求していた。


 そのためジューネスティーンには、パーティー全員が利用する事を要求されていた。


 メンバー全員が使う事によって、他の生徒との明確な違いが出るのかを検証する事になっていた。


 そして、その結果も良好だったから学校側も綱の設置は高評価をしていた。




 ジューネスティーン以外は、綱上りに付き合わされているとは思っているようだが、その事によって、クラス内でも実力が上がっていたので冒険者としては良かったと思っていた。


 その後も、昼休みの綱上りを欠かす事はなく行われていた。


 その中で、シュレイノリアだけは、上る回数が少なかったのは、時々、石板を出しては、思いついたであろう魔法紋のアイデアを書き込んでいた。


 そのため、シュレイノリアは、他のメンバーより積極的に綱上りを行っていなかったので、他のメンバーほど筋肉はついていなかった。


 しかし、シュレイノリアの綱上りにおいても実験のデータとして貴重だった。


 真剣に取り組んでいた5人と、そうでない場合、そして他の生徒というサンプルが出来上がっていたので、今後の学校運営において、より効率的な冒険者を作る指導方法として、ギルド本部もカリキュラムの検討に入れたのだ。




 ジューネスティーン達は、一通り昼休みのメニューをこなすと食堂に移動した。


 時間は、昼休みの半分近く過ぎていた事もあり、食堂にはまばらに人が居る程度なので、テーブルの確保に困る事も無かった。


 メンバー達は、いつものように食事を受け取ると支払いはジューネスティーンが行っていた。


 ジューネスティーンの作った剣がエルメアーナを通じてジュエルイアンの目にとまり、その剣の販売をジュエルイアンが手助けして販売を始めた事から報酬を受け取っていたので、メンバーの食事代の支払いを持っていた。


 それに、メンバーになる時に条件として出されていた事もあって、昼食代はジューネスティーンが支払っていた。


 そんな中、小柄なアリアリーシャは、他の女子とは違い男子と同量の食事をとっていた。


 しかし、アンジュリーンは、自分の体型を気にしてなのか、食べ過ぎないように、次の食事までにお腹が空かない程度の量に留めており、シュレイノリアは、大した量は食べてはいなかった。


 価格の安い学食の食事だが、大食いが4人もいるので食事代は意外に掛かっていたが、ジュエルイアンから支払われるパテント料によって賄うことができていた。




 食事をしているとアンジュリーンが声をかけてきた。


「ねえ、綱上りの時、男子3人で何か話していたでしょ。 何、話してたのよ」


 アンジュリーンは、綱上りの際に男子達が何かを話している事は知っていたが、自分の事では無さそうだと思うと、さっさとノルマをこなして食事に行きたいと考え、少し気になってはいたが、そのまま放置していた。


 アンジュリーンとしては、綱上りを行っていた時の男子達の話は、その時の優先順位としては低かったが気にはなっていたので、食事の最中に確認してきた。


 周囲の様子を気にする傾向な性格でもあって、食事を行いながら、その時の事を聞いてきたので、ジューネスティーンが一通りの説明を行った。


「ふーん、小指ねぇ。 弓では、あまり、使うようには思えないけど、剣を握る時には、必要になるかもしれないわね」


 アンジュリーンは、なんだそんな事だったのかと言わんばかりに答えた。


 しかし、アンジュリーンは、カミュルイアンと共に弓では他の追随を許してない。


 特に遠距離での射撃では、2人は圧倒的な命中力を持っていた。


 2人は、強い弓を使っても、その弓を引くだけの力を有しているので、風の影響を受け難い事から、命中制度が良くなっていた。


 それも、強い弓を引けるだけの筋力が、綱上りで付けられた事から、厚い胸板と太い二の腕になっても、アンジュリーンは綱上りを続けていた。


 可愛い冒険者を目指していたので、厚い胸板と太い二の腕は大敵だと思っていたが、成績を考えれば仕方が無いと、自分を納得させていた。


 自分の思い描く理想の体型とは、少し異なってきている事に不満はあるが、その事を口に出す事は無かったのは、冒険者なのだという思いから、思い描く理想体型にはなれないだろうが、このままトレーニングを続ければ冒険者として成功するだろうと自分を納得させていた。


 しかし、必要以上に筋力は付けたくないとも考えていた。


 そのせいなのか、アンジュリーンは、必要以上に食事を取ろうとは思っていなかったようだ。


「でも、綱上りなんて、よく思いついたわね」


「ああ、でも、綱はシュレと話せたから思い付いた事だし、効率良く鍛える方法も、シュレが俺の腕とかを触って、色々指摘してくれたからかもしれないよ」


 ジューネスティーンは、一瞬、シュレイノリアを見たが、見られた方は2人の話を気にする事なく食事を続けていた。


「小指と薬指で握る事を気がついたのは、シュレが俺の腕を触りながら、指の動きで腕の筋肉の動きを確認してくれたから、肩の力を抜きつつ握る力を強くできると思ったんだ。 1人だったら、思いつかなかったかもしれないよ」


 ジューネスティーンとシュレイノリアは、常に一緒に居た事もあり、疑問があれば、2人で話をしながら解決策を見つけるようにしていた。


 ジューネスティーンは、シュレイノリアと話をする事で自身の考えをまとめてたり、自分の見落としている部分を指摘してもらえたりするので、何か壁に当たった時とかは常に状況を説明するようにしていた。


 説明をする事で自分の頭の中を整理すると共に、その説明を別の目線で考えてもらう事で、ヒントを得ようと考えていた。


 1人だけで考えていても、固定観念によって見えなくなってしまう部分を、シュレイノリアに話すことで見えていなかった部分を見つけ道筋を作っていた。


 ジューネスティーンにとって、シュレイノリアとの話し合いは問題解決のために欠かせない相手だった。


 アンジュリーンは、2人のそんな関係を羨ましく、そして、切なく感じていた。


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