格闘技に必要な筋肉 レィオーンパードとカミュルイアンの考察
格闘技の授業が終わり、ジューネスティーンも呼吸が整うと、次の授業に向かうため更衣室に移動した。
シュレイノリア達は、女子更衣室に移動するのだが、その時のシュレイノリアの表情はとても満足そうな表情だった。
ジューネスティーンは、直ぐに男子更衣室に入っていったが、カミュルイアンとレィオーンパードは、入り口の前で、シュレイノリアが入っていくのを見送っていた。
「姉ちゃん、嬉しそうだった」
「ああ、最初の日にジュネスをコテンパンにされた日は、終わった後にシュレが荒れてたからね」
「そうだったね。 本当に悔しそうだったから、今日、にいちゃんが教官を倒したのが、とても嬉しかったんだろうね」
2人は、初日の格闘技の授業の事を思い出していたのだ。
そんな中、カミュルイアンは、ジューネスティーンが倒された後、レィオーンパードが、名乗り出て結局倒されて伸びてしまった事を思い出していた。
「そういえば、レオンも相手してもらってたじゃないか。 足腰が立たなくなるまで、コテンパンにされてただろ」
カミュルイアンは、少し意地悪っぽく言ったので、レィオーンパードは、少し面白くなさそうな顔をした。
「今度は、お前が教官を倒すか?」
そんな様子を少し面白いと思ったように、追い討ちをかけたので、レィオーンパードはカミュルイアンをジロリと見た。
半分冗談のつもりで言ったカミュルイアンは、その表情を見て、少し慌てたようになると、レィオーンパードは、何か言いたそうにしたがためらったようだ。
睨まれたカミュルイアンが少し怯えたような表情をした事もあり、レィオーンパードは、それ以上言うことを思いとどまったようだ。
そして、一呼吸おくと口を開いた。
「俺だって、にいちゃんみたいに、教官を倒したいさ!」
カミュルイアンは、まだ、まずい事を言ってしまったと思っていたのか、一歩下がると、レィオーンパードは、少し思い詰めたような表情をした。
「でも、俺は、アリーシャ姉さんにも負けてしまう事があるんだ! にいちゃんみたいに教官を倒す事なんて無理だよ!」
そして、悔しそうな表情をしながら話を続けた。
「俺には、まだまだ、課題が多いから、まだ、教官に挑んだりしないよ。 今のままだったら、また、返り討ちになるだけだよ」
カミュルイアンは、その話を聞いて納得したようだ。
(そうだよな。 レオンは、俺にも負ける事があるんだから、教官に挑んで行ったら、返り討ちか。 悪い事、言ってしまったな)
そして、少し反省したような表情をした。
レィオーンパードは、13歳ということもあり、まだ、身体が出来てない。
身長もまだまだ伸びているので、筋肉もメンバー達のように付いてきてなかったので、メンバーの中ではシュレイノリアの次に弱い。
シュレイノリアは、魔法職ということもあり、そして、パワードスーツの魔法紋の開発を行っていることもあり、綱上りの回数も減らして開発に時間を使う事が多いので、筋力強化のような自主練習も少なかった事もあってレィオーンパードと大差はなかった。
カミュルイアンは、何か考えるような表情をした。
「なあ、ジュネスが、最初に投げられていたのって、あれ、わざとなのか?」
カミュルイアンは、レィオーンパードの様子から話を変更してきた。
それによって、レィオーンパードは、今までの話を忘れたように考えだした。
「うん、どうだったんだろう。 本当は、俺に解説してくれた通りに手首の返しで教官の技を防ごうとしていたのかもしれない。 でも、それが上手くいかなかったのかなぁ」
ジューネスティーンは、レィオーンパードに技の防ぎ方のコツを教官との組み手の前に話してくれていた。
そのせいで、ジューネスティーンは、教官と組み手をすることになった。
格闘技の防御の方法を知っていたジューネスティーンなら最初から、その方法を使って教官の技を防げそうな気もしたのだが、実際に、最初は教官に投げられ続けていた。
技を掛ける時は、ゆっくりとスローモーションのように掛けるなんて事はない。
一瞬で崩して技に入るのだから、その一瞬を逃さず対応する必要がある。
その対応を反射的に行なわないといけないので、考えて行動していては遅れてしまうから、身体が勝手に動けるように対応する必要がある。
それには経験がものをいってくる。
ジューネスティーンは、教官との組み手の際、教官は今まで使った事の無い技を使っていた。
教官としたら、最近、力を付けてきたジューネスティーンの鼻柱を折っておこうと考えていた事もあり、あらゆる技を使って対抗してきたのだ
その結果、最初は新たな技に戸惑って投げられていたとも考えられる。
しかし、教官としても、本気でジューネスティーンを倒そうとしていたのか、新たな技も用意してきていたようなのだ。
新しい技についてはジューネスティーンも最初は対応できなかったが、何度か技を受けた事で、教官は自分の技の癖を見抜かれてしまったのだ。
レィオーンパードは、転移してからジューネスティーンとシュレイノリアと一緒にさせられた事もあり、常に一緒だった事もあって、格闘技の相手もジューネスティーンにしてもらう事が多かった。
そんなこともあって、ジューネスティーンの技も癖も良く知っていた。
レィオーンパードは、カミュルイアンに言われて、ジューネスティーンと教官の組み手の事を思い出していた。
「やっぱり、最初のうちは、にいちゃんも対応できてなかったのかもしれないよ。 きっと、にいちゃんでも、まだ、教官クラスの人とだと、初見じゃあ、対応しきれなかったのかもしれないよ」
カミュルイアンは、その言葉を聞いて納得したようだった。
すると、男子更衣室からジューネスティーンが、タオルで上半身を拭きながら顔を出した。
その身体には、かなり筋肉が付いていた。
「おい、次の授業が有るんだから、お前たちも早く着替えな」
言われて2人は、思い出したように男子更衣室の中に入って行った。




