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格闘技に必要な筋肉  最強の弓を引いた事に気付いたアンジュリーン


 カミュルイアンは、ジューネスティーンの後ろでアンジュリーンと視線を合わせないようにしていた。


 その様子をアンジュリーンは、何かおかしいと思ったようだ。


「ねえ、カミュー。 何かあったの? なんで、私と視線を合わせようとしないのよ!」


「い、いや。 そ、そんな、事は、無い、よ」


 アンジュリーンは、ジト目でカミュルイアンに聞くと、カミュルイアンは辿々しく答えた。


 そして、アンジュリーンの視線は鋭くなると、カミュルイアンは、アンジュリーンに視線を合わせていないにも関わらず、その威圧を感じたのか、少しでも隠れようとジューネスティーンの影に入るように動いたので、アンジュリーンは、これ以上カミュルイアンに聞いても、何も話そうもないと思ったようだ。


 そして、アンジュリーンの視線は、カミュルイアンの動きを追いかけていたので、カミュルイアンの前に居るジューネスティーンに視線が移った。


 ジューネスティーンも、何か思惑がありそうな気まずい表情をしていた。


「ねえ、ジュネス。 カミューの態度もだけど、あんたも、なんで、そんな表情をしているのよ!」


 アンジュリーンの刺すような視線に、ジューネスティーンも耐えられないのか、斜め上の方に視線を向けてしまった。


「ねえ、ジュネス。 何で、視線を合わせてくれないのかしら?」


「い、いや。 ちょっと、雲が気になって、なぁ」


 すると、アンジュリーンは、ジューネスティーンの見ている方を見てムッとした表情をした。


「ねえ、今日は、雲一つないんだけど。 どこの雲の事を言っているのかな?」


 ジューネスティーンも、冷や汗を流した。


「い、いや。 ……。 ごめん」


「ねえ、何が言いたいの? いえ、隠している事を話して!」


 そう言うと、ジューネスティーンをジーッと見つめた。


 その威圧に耐えていたジューネスティーンだが、耐えきれずに一歩下がろうとすると、後ろにいたカミュルイアンのために下がれなかった。


 すると、アンジュリーンは、一歩前に出て体が触れそうなほど近くに寄って見上げたので、ジューネスティーンは、少し顔を赤くした。


「あ、ああ。 さっきの弓だけど、上手く引けたなって、思った、んだ」


 辿々しく答えるのだが、アンジュリーンは、まだ、何か隠していると思った様子で、ジューネスティーンを見上げていた。


 しかし、体が触れんばかりに近付いたアンジュリーンを見下ろすジューネスティーンなのだが、身長差が18センチ有るため、ジューネスティーンが、アンジュリーンの顔を見ようとすると、その顎の下には襟の間から見える胸の谷間も一緒に見えているのだ。


 ジューネスティーンは、アンジュリーンに言いたくない事と、アンジュリーンの胸の谷間が見える恥ずかしさが重なってしまい、顔を赤くしながら困っていた。


 だが、アンジュリーンは、そんなジューネスティーンの思惑など、全く気づく事なく、ジーッと見上げていた。


「ジュネス。 誰も引く事ができそうもない弓は、どうなった? それをアンジュに試してもらったらどうだ?」


 今まで黙って見ていたシュレイノリアが尋ねると、ジューネスティーンはドキッとした。


 そして、アンジュリーンの視線は鋭くなった。


「ねえ、ジュネス。 誰も引く事ができそうもない弓って何処にあるの? 有るなら出してごらんなさいよ」


 その言葉に、ジューネスティーンは引き攣った表情をするので、アンジュリーンは、ムッとした表情をしたまま見上げていた。


「そういえば、ジュネス、あんた、あの筋力バカのクカムランが引けなかった試作の弓が有るって聞いたけど、その弓は何処に有るの?」


 アンジュリーンは、シュレイノリアからジューネスティーンが新しい金属で弓を作っていると聞いており、そして、クカムランが、試作中の弓の話を聞いて、ジューネスティーンの所で弓を引かせてもらったのだが、まともに引けなかったと人伝に聞いていたのだ。


 その事もあって、改良をしているらしいとシュレイノリアが漏らしていたので、アンジュリーンは、自分が使った弓が、その弓ではないだろうと、今まで思っていたようだ。


 しかし、アンジュリーンの質問を聞くと、ジューネスティーンは、更に焦ったような表情をして、また、アンジュリーンから視線を逸らしたので、アンジュリーンも何かを察したのか、自分の使った弓と残った弓に視線を送くると、また、ジューネスティーンを睨むように見た。


「ねえ、ジュネス。 何で黙っているの?」


「い、いや。 そのー」


 ジューネスティーンは、答え難そうにしたので、アンジュリーンは、鋭い視線を向けた。


「ジュネス! クカムランが引けなかった弓を出して!」


 アンジュリーンは、強い口調で聞いたので、ジューネスティーンは、肩をビクッとさせ作業台の上に置いてある残っていた弓を見た。


 その視線の先をアンジュリーンは確認すると、作業台の前に立つと、その弓を手に取った。


 そして、その弓を構えて引いてみた。


 アンジュリーンは、先程と同じように、その弓を構えて弦を引き、ゆっくりと戻した。


 そして、腑に落ちないという表情をした。


「ねえ、この弓だって、さっきの弓と変わりないわよ! これが、クカムランが引けなかったって言うの! さっさと、出しなさいよ!」


「いや、それが、クカムランが、引けなかった、弓なんだ」


 その答えにアンジュリーンは眉を顰めた。


「どういう事なの? この弓も、さっきの弓も、確かに弦は強かったけど、引けない程じゃなかったわよ。 あの筋力バカのクカムランの引けなかった弓を出して!」


 アンジュリーンには、その弓も引けない程では無かったので、その弓も違うと思ったようだ。


「いや、その弓なんだけど」


「じゃあ、何で、私が、引、け、た。 ……」


 最後の言葉を口にする頃には、強い口調から不安そうな口調に変わり、アンジュリーンは何かに気がついたようだ。


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