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格闘技に必要な筋肉  試射をするアンジュリーン


 アンジュリーンが弓を引いてみた時の感想を述べるのだが、それをジューネスティーンもだが、後ろで見ていたカミュルイアンも、ドアの近くに居たレィオーンパードも驚いたような表情で見ていた。


「弦の強さは、射程距離が伸びるから、有難いわね」


 そう言うと、弦をゆっくりと戻した。


「ねえ、ジュネス! 的に狙って撃っても良いかしら?」


「あ、ああ」


 アンジュリーンは、新しい弓の感覚を楽しむようにしていたのだが、ジューネスティーンは、驚き気味に答えたので、アンジュリーンは、不思議そうにジューネスティーンを見た。


 しかし、それ以上気にする様子もなく、弓を射っても良いと確認が取れた事の方が優ったのか、ジューネスティーン達の様子を、それ以上詮索する事もなく、弓矢を2本持つと射撃場所に向かった。


 その様子をジューネスティーンと男子2人は、唖然とした表情で見送っていた。


 その男子達の表情をアリアリーシャは、胡散臭そうな表情で見つつ、アンジュリーンを見送っていた。




 射撃場所に立ったアンジュリーンは、弓を足元に向けて、1本の矢の羽根側の端を親指と人差し指、中指の3本の指で持ち、もう1本の矢のヤジリを小指と薬指で握ると、弦に矢を掛けた。


 そして、呼吸を整えるように長く息をすると、真剣な眼差しで的を見た。


 一呼吸おくと、ゆっくりと弓を持ち上げつつ弦を引いた。


 その真剣な眼差しは的の一点を貫くように見つめていた。


 それは、約100メートルは離れているだろう、その先にある的を狙い、定まった瞬間、弦から指を離した。


 弦の弾ける音。


 そして、飛び出した矢の風切り音は、直ぐに小さくなって、あっという間に的に向かっていくのだが、その速さは、意識していなければ目で追うことは難しいほど早かった。


 ただ、矢は的に当たる事なく、的の上を通り越して後ろにある壁に着弾した。


「あら、やっぱり。 ……。 狙いは、もう少し下でも問題無さそうね」


 アンジュリーンは、人に聴かせるのではなく、自分に言い聞かせるように言った。


 その様子をレィオーンパードは、青い顔をして見ており、ジューネスティーンも本当かよといった表情でアンジュリーンを見ていた。


 その様子をアリアリーシャは、男子3人の様子とアンジュリーンを見比べるように見ていた。


 そんな周りの様子に気づく事なく、アンジュリーンは、平然と、もう1本の矢を弓に添えて、同じ動作で矢を射るのだった。


 その矢は、的の中心とはいかなかったが、的の上部に着弾すると、そのまま、的の上部を粉砕して、後ろの壁に突き刺さった。


「あら、威力も凄いわね。 薄い的なんて簡単に粉砕してしまうわ。 これなら、魔物に当たったら、大きなダメージを与えられそうね」


 平然と試し撃ちをして、感想を述べた。


 その様子を見ていたジューネスティーンは、後ろに居るカミュルイアンに話しかけた。


「おい、あの遠い的って、結構厚みが有ったよな」


「うん、確か、あの的の板厚は3センチ有ったよ。 普通の矢なんて刺さって終わりだよ」


「あの弓、カミューが遠慮してたから、試し撃ちしなかったけど、えらく威力が高いな」


 ジューネスティーンの作った弓は、カミュルイアンは試し撃ちを遠慮して撃たなかったので、今、初めて矢を射ったのだが、思った以上の威力で、少し驚いていたようだが、的の方を見るよりも、感心するようにアンジュリーンを見ていた。


 その話をアリアリーシャが聞き耳を立てていた。




 アンジュリーンは、そんな周囲の様子に気づく事なく、後ろに置いてある矢筒の中から1本の矢を抜くと、直ぐに戻って、矢を構えた。


 一連の作業は常に同じにしつつ、迷う事なく3本目の矢を放った。


 その矢は、的の中心に吸い込まれるように飛んでいくと、その的を真っ二つに割って、そのまま、後ろの壁に刺さってしまった。


「なるほど、威力も高いけど、かなり敏感な感覚を要求されるのかしら? 2本目の矢を持っただけでも指の微妙な力加減が変わってくるのかしら。 ……。 1本目の感覚だと2本目の感覚が、少し違ったようだったし、3本目は2本目の感覚から微調整して射ったからかもしれないわね」


 アンジュリーンは、弓を体の前にかざすように持って凝視しつつ呟いていた。


「次の弓を持った時と持たない時でも、指を離す瞬間の指の動きに違いが現れるだろうから、それで影響が出るなら、それも考慮して狙いをつければいいだけだわ。 それなら調整は可能よ。 それよりも、この威力は、他の弓では得られないわ。 威力があるなら、もっと遠くの射撃も考えられるかもしれないのか」


 そして、満足そうな表情で弓を見ていた。




 一方、アンジュリーンの射撃を見ていたジューネスティーンとカミュルイアン、そして、レィオーンパードは、驚いたような表情を浮かべていた。


 アンジュリーンとしたら、新しい弓の威力に満足そうにしながら、射撃を終わらせて戻ってきた。


「ジュネス! なかなか、いい弓だわ。 とても気に入ったわ」


 アンジュリーンは、嬉しそうに言うのだが、ジューネスティーンは、少し引き攣った笑みを浮かべた。


「あ、ああ。 気に入ってもらえて良かったよ」


 その表情を見たアンジュリーンは、不思議そうな表情を浮かべた。


「ねえ、何かあったの?」


「あ、ああ。 うん。 いや、何も無い。 アンジュに気にいてもらえて良かったと思っただけだよ」


 その答えを聞いて、アンジュリーンは、何か隠している事に気がついたようだ。


 そして、ジューネスティーンの後ろに居るカミュルイアンの表情を見た。


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