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格闘技に必要な筋肉  3人娘を呼びに来たレィオーンパード


 シュレイノリアとアリアリーシャ、そして、アンジュリーンが、女子の会話をしていたところに、レィオーンパードが顔を出した。


「ああ、ここに居たのか。 ……」


 レィオーンパードは、3人の様子が気になったようだ。


「ねえ、何かあったの?」


 不思議そうな様子で3人に尋ねると、アンジュリーンとアリアリーシャは、聞かれて困ったような表情をした。


 それは、今の女子同士の話を13歳男子のレィオーンパードに説明する気にはならなかったようだ。


 だが、シュレイノリアは違ったようだ。


「ああ、私の胸とアンジュの胸の大きさを確認していただけだ」


 シュレイノリアは、当たり前のように自分の胸を鷲掴みにしながら答えたので、アンジュリーンとアリアリーシャは、びっくりした様子でシュレイノリアを見た。


 しかし、シュレイノリアは、気にすることもなく自分の胸を軽く揉んだ。


「今、アンジュの胸を確認した。 私より大きい理由も分かった」


「ちょっと、そんな説明しなくていいわよ」


 自分の名前が出てきたので、慌てて少し大きな声で遮るように言った。


 アンジュリーンは、アリアリーシャの両肩に手を置いて立つと、32センチの身長差は親子ほどの違いに見えるのだが、亜人の26歳とエルフの41歳では、見た目に大きな違いがあった。


 エルフは、長命なこともあり41歳と言っても人属の10代半ばにしか見えないが、ウサギの亜人であるアリアリーシャは、人属の寿命と大差は無いので年相応と言って良い。


 そして、最近、徐々に女性らしい体型になってきたこともあり、アリアリーシャと、その後ろに居るアンジュリーンの身長と体型のアンバランス感がなんとも言えない状態になっていた。


 そして、アンジュリーンは、自分の胸についての感想をシュレイノリアに言われてムッとしており、その前に立っているアリアリーシャは、余計な事を言うなというようにレィオーンパードを見ていた。


 ヒョウの亜人である、13歳のレィオーンパードとしたら、入学してから、アンジュリーンとアリアリーシャと出会い、徐々に女子を意識し始めていたこともあり、もっと聞きたいと思う気持ちもあったようだが、恥ずかしさが先にたったようだ。


 顔を赤くして、黙り込んでしまっていた。


「おい、レオン。 私達を呼びにきたんじゃないのか? 赤くなってないで、目的を言え」


 シュレイノリアは、自分の胸に手を置きつつレィオーンパードに聞いたので、その様子もあって、レィオーンパードは、耳まで赤くなっていたので、それをアリアリーシャが何とも言えない表情で聞いていた。


 レィオーンパードは、シュレイノリアを一度見ると、恥ずかしそうに斜め上を向いた。


「あ、ああ、にいちゃんが、新しい弓を作ったから、試し撃ちしてもらいたいって、……。 それで、呼びにきた」


 最後の方は、少し声が小さくなっていた。


「そんなの、カミューにやらせておけばいい」


 シュレイノリアがボソリと言うのだが、アンジュリーンは、少し興味を示していたのか、アリアリーシャの肩を握る力に微妙な変化があったようだ。


「ああ、今、ジュネスと一緒に弓道場にいるから、全員、呼んでこいって言われたんだ」


 シュレイノリアは、それを聞いただけで、それ以上興味を示す様子はなく、自分の胸に当てた手を動かしていた。




 一方、アリアリーシャの後ろに立っているアンジュリーンは、弓と聞いて興味を示したようだ。


 アリアリーシャは、肩に置かれたアンジュリーンの手の力が変わった事が気になり、後ろを振り返るようにして、アンジュリーンの顔を見上げて、様子を伺っていた。


 その表情から、アンジュリーンがジューネスティーンの作った弓を気にしているのだと理解したようだ。


 アンジュリーンもカミュルイアンも得意な武器が弓なので、レィオーンパードが呼びに来たという事は、ジューネスティーンが弓を作って、カミュルイアンに試し撃ちをさせているのだろうと考えられるのだ。


 アンジュリーンとしたら興味があるのだろうが、カミュルイアンと聞いて、自分が後回しになったと思ったのか、複雑そうな表情をしていた。


 ジューネスティーンの作った弓には興味が有るが、レィオーンパードが呼びに来た事で、自分がカミュルイアンより後回しにされた事が、納得できないように思えたようだ。




 その様子を見上げているアリアリーシャは、アンジュリーンの表情から理解できたようだ。


 ライバル心を持つ事は良いのだが、それによって意地になっているように思えるのだ。


 アリアリーシャからしたら、そんな面倒な思いを抱く事が無駄に思えたようだ。


 様子から、アンジュリーンは、弓に興味があるのだが、カミュルイアンとジューネスティーンが、先に弓道場で待っている事が気に食わないのだと理解できてしまった事もあり、見上げていた顔を、一旦、下に向けると残念な表情をした。


 そして、ため息を吐いた。


「アンジュ、行くわよ。 ジュネスは、案外、あなたの為に作ったのかもしれないわ」


 アンジュリーンは、何を言っているのかというような表情で、シュレイノリアの頭を見下ろした。


「きっと、試作品を作ってみたから、2人に試してもらいたいのよ。 それで、2人用にオリジナルの弓を作るつもりなのよ」


 それを聞いて、アンジュリーンの様子が変わった。


「ジュネスって、何事も凝った作り方するでしょ。 サンプルを作ってみてからだとか、量産試作がとか、ゴタゴタ言うでしょ。 きっと、サンプルの弓を作ったから、それを叩き台にしてアンジュ専用の弓でも作る気でいるんじゃないの」


 そこまで説明すると、アリアリーシャは、また、アンジュリーンの様子を確認するように見上げた。


 アンジュリーンは顔を綻ばせてニヤニヤしていた。


「チョロ」


 アリアリーシャの口車でアンジュリーンは、完全に、その気になってしまっていたのだ。


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