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格闘技に必要な筋肉  豆料理


 ジューネスティーン達6人は、昼休みに格闘技場で綱上りを行った後に昼食を取るようになった。


 6人が食べようと思頃には、生徒達の食事も大半が終わっており教室に戻ったり余暇を有効活用するものや楽しむものと、それぞれが自由に過ごしていたので、食堂には人はまばらに残っているだけだった。


 そんな中、6人は一緒に食事をとっているとレィオーンパードが微妙な表情をしながら料理に手をつけていた。


「にいちゃん、……」


「ん? どうした」


 レィオーンパードは、不思議そうな表情で食事を見つつジューネスティーンに声を掛けた。


「あのさ、最近、豆料理が多いように思えるんだけど、気のせいかな?」


 ジューネスティーンは、やっぱり気がついたのかと思った様子で、少し面倒くさそうな表情をした。


「ふん、そんなもの、決まっているだろう。 お前達の筋力強化のために決まっているだろう」


 ジューネスティーンが答えるより先にシュレイノリアが答えたので、それをエルフのアンジュリーンとカミュルイアン、それとウサギの亜人であるアリアリーシャが興味深そうに見た。


「運動をした後に摂取する栄養は吸収力が高い。 筋肉の元になるように植物性タンパク質の多い豆を使った料理食べれば、効率よく筋力アップにつながる。 だから、私達の食事には、豆料理が多くなっている」


 それを聞いて、納得するような表情をしていたが、ただ1人、アンジュリーンだけが、何とも言えない表情をしていた。


 そして、一つため息を吐くと、仕方なさそうに料理を食べ、時々、自分の二の腕と肩を確認するようにしていた。


 何か不満はあるようなのだが、それを言葉にできないといった様子で食事を食べていた。




 シュレイノリアは、始まりの村の図書館に保管されていた数少ない書物を何度も読み返していた。


 そして、ギルドの高等学校に入学してからも時間を見つけて学校の図書館の書物を読み漁っていた。


 学校の図書館は、始まりの村の図書館より多かったが、価値の高い書物は、けっして多くはなく、シュレイノリアは、それ程時間を掛けずに全部を読んでしまっていた。


 羊皮紙に手書きで書かれた書物なのでページ数も少なかった事と、他には、木の板に書かれた物が主な書物だった事もあり、全部を読むのに時間も掛からなかったのだ。


 そんな中、書かれていた中に栄養に関する話を見つけた事からシュレイノリアが、ジューネスティーンを通じて食堂の料理人に依頼を行っていた。


 シュレイノリアの説明では料理人に伝わらない可能性が高い事もあって、ジューネスティーンが仲介して説明に赴いた。


 その際、料理長が倉庫に残っていた豆を、持て余していた事もあり話を聞くと直ぐに2人を倉庫に招いた。


「豆料理は人気が無いから、料理にしても残ってしまうのでな。 だが、ギルド本部の方針で豆は常に送られてくるんだ。 なるべく使うようにするんだが、余ってしまうから残り気味なんだ」


 料理長から人気の無い豆が材料として残っているのを見せられると、シュレイノリアが確認した。


 その豆は、大きくても小指より少し小さい程度の黄色い物だった。


 シュレイノリアによって、余っていた豆をジューネスティーン達の料理に使う事になったので料理長は食材の在庫整理ができると喜んでいた。




 ジューネスティーンが、昼休みを効率的に時間を使う事を優先した結果、食事の前に綱上りをしてから昼食にした事で、栄養の吸収が良くなるところに、植物性タンパク質の摂取によって、今まで以上に効率的な食事になっていたのだ。


「にいちゃん。 理由は分かったけど、もう少し味を何とかしてもらえないかな」


「ふん、美味しくなってしまったら、他の学生達も食べてしまう。 そうなると、私達の食べる分が減ってしまうじゃないか」


 レィオーンパードが、豆料理の味について意見を述べると、直ぐにシュレイノリアが答えた。


 大した味付けもされてない豆料理を食べつつ答えるので、レィオーンパードは、それ以上何も言わずに仕方なさそうにスプーンを豆料理に持っていった。


 昼食前に運動している事もあって空腹状態だった事もあり、レィオーンパードも、それ以上の事を言わずにいたが、その表情には味に不満があるようだった。


「レオンは、色々言いすぎよ。 食べられるだけでありがたいじゃないの。 私なんか、学校に入る前は、必要以上に食べれなかったのよ。 ほら、アンジュもレオンも、この学校に入るために食べるものも最小限で学費を貯めてたのだから、今のように食べられるのはありがたいの! だから、つべこべ言わずに食べるの!」


 アリアリーシャは、食べる事を優先していたのか、いつもの語尾を伸ばす喋り方ではなかった。


 レィオーンパードは、学費をジューネスティーンとシュレイノリアに出してもらっていた事もあり、3人のように苦労して学費を稼いではいなかった事もあり、食事について苦労した経験が無かった。


 そんな中、特に食べられなかったアリアリーシャとしては、食事の味にクレームをつけるレィオーンパードが贅沢に思えたのだ。


 そして、カミュルイアンは、アリアリーシャの言葉を聞いて同じような意見だったようだ。


 話の最中に、時々、アリアリーシャに視線を送りつつ、安心したような表情をしていた。


 アンジュリーンも、カミュルイアンと同様にアリアリーシャの言葉に納得するような表情をするのだが、時々、自身の二の腕に視線を向けると、他の5人と比較しているようだったので、同じような意見を持っているようでもあるが、それ以外の何かを気にしているようだった。


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