格闘技に必要な筋肉 昼休みの利用方法
昼休みになるとジューネスティーン達6人は、午前中の授業が終わると格闘技場に通う日々が続いていた。
授業が終わった後、一般の生徒達は、食堂に行き昼食をとるが、ジューネスティーン達は、その時間を使って綱上りを行ない、終わった後に食堂で昼食を取るようにしていた。
授業直後は、誰もが急いで食堂に行くので直ぐに混雑するので、少しでも出遅れてしまえば、待ち時間も増えるので、ジューネスティーンは、それを嫌ったようだが、目的はそれだけではなかったようだ。
「にいちゃん、授業が終わった後、急いで食堂に行ったら、どうなの?」
「そうだよ。 混む前に頼んで食べてしまったら、ゆっくり、練習できると思う」
レィオーンパードが、ジューネスティーンに聞くと、カミュルイアンも話に乗って聞いてきた。
2人は、お腹を空かせやすいこともあり、早く食事をしたいと思っていた事もあって、どちらかというと先に食事を済ませたいと思っていたようだ。
「いや、体を動かすとなれば、動かすためにエネルギーが必要になるだろう。 食べた後だと、体を動かしたくなくなるからな。 それに、動かした分のエネルギー補給のための昼食の方が効率がいいと思うんだ」
「ふーん」
レィオーンパードが気のない返事をするのだが、2人は、何となく納得できたような、できないような表情をしつつ、お互いの顔を見ていた。
食べた後に直ぐ体力作りをするとなったら動き難くなる事は理解できたようだが、空腹で体力作りをするのも嫌だと思えたのだ。
2人は、空腹の状態でなら、綱上りが少し楽になると思えたようだ。
そんな2人をシュレイノリアは、見下すような目つきで見ていた。
「食べた分だけ体重は増える。 そうなったら、それだけ腕にかかる負担も増える。 お前達は、もっと重量を増やすようにして、綱上りをした方がいいみたいだな」
シュレイノリアが、納得できなそうな2人にポロリと言うので、2人は、ゾッとしたような表情になった。
「ジュネス。 この2人は、訓練が足りないようだ。 今日から腰に重しを付けて上らせた方がいいかもしれないぞ」
シュレイノリアの一言を聞いて、2人は青い顔をした。
まだ、綱上りを始めたばかりなので、足を使って上る。
腕にかかる負荷は、かなり大きいから、アリアリーシャのように、まだ、腕だけで上ることは出来ない事もあり、足を使っても腕にはかなり負担がかかっていた事もあり、そこに重しを持たされたら、どれだけ上るのに負担がかかるのかと思いゾッとしたようだ。
今まで一度上ると、腕がパンパンになって、それを解さないと次に上ることができなかったのだ。
自分の体重だけでも大変なので、上る際は可能な限り軽くしようと服も脱いでから上るようにしていたのだ。
食べた後なら食べた分の体重が増える事で負荷が増える事が分かったので、諦める必要があるのかと思っていたところに、シュレイノリアによる重しを追加するという提案だったので焦ったようだ。
「シュレ、流石に、それは無理だよ」
ジューネスティーンが、シュレイノリアの話を否定するように言うので、レィオーンパードとカミュルイアンはホッとした。
「だけど、練習していて、腕だけで上れるようになったら、考えようか。 うん、エルメアーナの店に革のベルトが有ったから、あれに、重しを付けて腰に巻いて上ったら、いい練習になるかもしれないな。 まあ、それも、まだ先のことだな」
その言葉を聞いて、レィオーンパードとカミュルイアンは、嫌そうな表情になった。
「にいちゃん。 重しは無しでいいよね」
「ああ、今は、腕だけで上れるようになる事の方が先だな。 重し無しで上ろうな」
2人は、ホッとしたが、納得できないという表情をした。
とりあえず、今は重し無しなのだが、これから先は分からない。
いつになるかは分からないが、今後は、重しを付ける事になるかと思うと、ガッカリしたまま、お互いの顔を見た。
これから先の事を考えると、ハードルの高さに辟易したようだ。
「でも、レオンは、あの教官に、一泡吹かせたいだろ」
その一言を聞くと、レィオーンパードは、初日に教官にやられた時の事を思い出したようだ。
この綱上りについても、教官を投げ飛ばしたいと思ったから、嫌々ではあるが一緒に行なっているのだ。
嫌な綱上りでも、ジューネスティーンに付き合っていたのは、教官を投げるためだった。
「そうだったね」
レィオーンパードは、やる気が出たようだが、カミュルイアンは、嫌そうな顔をしていた。
そして、今の話を聞いていたアンジュリーンが、カミュルイアン以上に嫌そうな表情をしていた。
それをアリアリーシャが下から見上げるように見ていた。
「アンジュ、なんて顔をしているのよ。 良かったじゃない、あなたは、アーチャーなんだから、綱上りをしたら強い弓も引くことができるようになるわよ。 それに、強い弓なら、遠くから狙撃できるようになるし、接近戦が減れば生存率も高くなるんじゃないの」
アリアリーシャの言葉に納得はしているようだが、完全には納得できてないようだ。
アンジュリーンは、自分の二の腕を手で握りつつ、両肩を締めるようにしつつ、体を小さくするようにして、引き攣ったような笑いを浮かべていた。




