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格闘技に必要な筋肉  それぞれの綱上り


 綱を上るのに、ジューネスティーンは、足も使って上ったのは、まだ、腕の筋力が足りないので補助的に足を使ったのだが、アリアリーシャは、足を使うこともなく、腕だけで軽々と上っていってしまった。


 その上り方は、ジューネスティーンが理想としていた上り方だったのか、上って下りてきても、呆然とアリアリーシャを見ていた。


「ねえ、あれでよかったの?」


 2度目の問いかけで、ジューネスティーンは、やっと我に返ったようだ。


「あ、ああ。 今のように上りたかったんだ」


 それを聞いて、アリアリーシャは納得したのか、ジューネスティーンに微笑んだ。


「よかった」


 そう言うと、綱を持っているだけで、どっちが先に上るのか話をしていたレィオーンパードとカミュルイアンの方に歩いて行き声をかけていた。


 それを2人は嫌そうな表情で聞いていたが、仕方なさそうにレィオーンパードが腕と足を使って上っていった。


「ふーん。 面白そうだ」


 今まで黙っていたシュレイノリアが、一言言うと余っている綱の前に行き手をかけた。


 そして、少し飛び上がり、足を綱に絡めたのだが、そのまま固まってしまった。


 シュレイノリアは、綱から腕を離せずにいたようだ。


 そして、徐々に腕が伸びていき、体が下に下がってくると、最後は腕が伸び切った状態になったが、どうしても上りたかったのか、足は膝も股関節も曲げるようにして、なんとか綱を足で固定しようとしているようだったが、それも徐々に降りてくる。


 腕が伸びきったと思った瞬間、シュレイノリアは、限界になってしまい、そのまま落ちてお尻をついた。


 少し荒い息をしつつ、立ち上がってジューネスティーンの方に戻ってきた。


「私には、まだ、無理だった。 だが、腕の力を付けるには有効な方法だ。 上れなくても、掴まっているだけでも力は付けられるはずだ」


 自分の見解を伝えると、息を整えるようにしていた。


 すると、レィオーンパードが、足を使って、やっと上ってから、ゆっくり、綱を滑らせるように降りてきた。


 その間もカミュルイアンは、上ろうか、どうしようかといった様子で、綱を持っているだけだったのだが、アリアリーシャに文句を言われて、渋々、上り始めた。


 しかし、上る速度は、レィオーンパードよりも遅く、綱の中央部分に行くと、そこで、止まってしまい、徐々に腕が伸びると、ゆっくりと下がり始め、下まで降りてしまった。


 降りると、アリアリーシャに小言を言われ、レィオーンパードに笑われながら、一言二言、何かを言われていた。


 カミュルイアンは、ムッとした表情で床に腰を下ろして息を整えつつ一言言い返していたようだ。


 そんな中、ジューネスティーンは、1人足りない事に気がついたように、周囲を確認していると、入口付近で大人しく様子を見ていたアンジュリーンを見つけた。


 ジューネスティーンは、アンジュリーンに歩み寄った。


「アンジュ。 上って」


 アンジュリーンは、その言葉を聞いて驚いたような表情をしていた。


「教官から、綱を設置する際に、最低でも1パーティーが使う事が条件だからって言われたんだ。 だから、うちのパーティー6人が使う必要があるから、アンジュも使ってくれないとマズいんだよ」


 その理由を聞いてアンジュリーンは、嫌そうな表情をした。


「本当なの?」


「うん」


 アンジュリーン以外の5人は、一番上に登れないまでも、なんとか一度は使ったので、残っていたアンジュリーンを見ていた。


 アンジュリーンは、ジューネスティーンから言われて困った様子で、周囲に助けを求めようと思ったようだが、他のメンバー達の視線には、次はアンジュリーンだと言うように見ていたのだ。


 その視線のプレッシャーに贖おうと思ったようだが、すぐに諦めたような表情になった。


「わかったわよ」


 そう言うと、アンジュリーンも綱の前に歩いていった。


 そして、一度上を見上げ、取り付けられている梁を確認すると、視線を戻してため息を吐いた。


 振り返るとジューネスティーンを見た。


「私だって、こんなの上れるなんて思ってないからね。 シュレと大差ないんだから!」


 そう吐き捨てるように言うと綱に向き合うと両手で握った。


 そして、力を入れながら綱に体を巻き付けるようにした。


 足で綱を挟み込んで、体が下がるのを抑えつつ、下にあった片手を離して上を握ると体を引き上げた。


 しかし、アンジュリーンの表情は、険しいものだった。


 その後、3回上ったのだが、そこまでで限界のようだった。


 徐々に体が下がって、腕が伸び始めると、そのまま、滑るようにして床まで降りてしまった。


「ダメ。 これが限界よ」


 だが、アンジュリーンは、他の誰よりも息は上がってなかった。


 その様子を横で見ていたアリアリーシャが、ジト目で見ていた。


 それは、嘘っぽいと言いたげな表情だったが、言葉にすることは無かった。


 アリアリーシャと視線のあったアンジュリーンは、少しマズいといった表情をして視線を外してしまった。


 アリアリーシャは、そんなアンジュリーンを、視線を外された後もジーッと見ていたのだが、何も言わずに綱の前に体を向けると、先程と同じように腕だけで上っていった。


 同じように、また、腕だけで降りてくると、腕の付け根の筋肉をほぐし、そして、片腕を反対の肩に乗せて二の腕の下側を反対の手でほぐしたりしていた。


 アリアリーシャは、アンジュリーンに何か言いたそうだったが態度で、ちゃんとやれと示したようだった。


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