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格闘技に必要な筋肉  ジューネスティーンの研究


 ジューネスティーンとレィオーンパードは、教官の説明が終わるまで貪るように聞いていた。


 教官の説明が終わると、2人1組になって今の説明の通りの事を試すようにと指示があったので、ジューネスティーンとレィオーンパードも2人で組んで、言われた通りお互いに技の掛け方について確認し合っていた。


「ねえ、にいちゃん。 これのコツって、何かあの?」


 ジューネスティーンは、レィオーンパードを動かすだけで、技に入る様子は無い。


 そんなジューネスティーンとは対照的に、周囲は直ぐに体を相手に入れるようにして技を磨こうとしていた。


 そんなジューネスティーンの行動からレィオーンパードは、ジューネスティーンが何かを掴んだのかと思ったようだ。


「ああ、これは、技をかける前が、きっと、重要なんだよ。 だって、重心の移動って、相手の体重移動だろ。 それって、はいそうですかって、相手は素直に従ってくれるのか?」


 ジューネスティーンは、レィオーンパードの腕を引きつつ、足元を見ながら答えた。


 レィオーンパードは、自分の腕を引いたり戻したりしているジューネスティーンの視線の方向を見て不思議そうな表情を浮かべたが、今までの付き合いから、その動作によって何かを掴もうとしていると思ったようだ。


 そして、自分自身が教官に投げられた時の事を思い出したようだ。


「そうだね。 投げられるって、嫌だから、絶対に抵抗するよね」


 納得するような表情をしつつ、ジューネスティーンにされるがまま体を動かされていた。


 すると、ジューネスティーンは、動きを止めると、レィオーンパードを見た。


「なあ、今度は、俺が腕を引いた時に、引っ張られないように力を入れてくれないか?」


 レィオーンパードは、一瞬、考えたようだが、直ぐに、ふーんというような表情をした。


「うん、分かった」


 レィオーンパードとしたら、今は何をするのか良く分からないと思ったようだが、それは、ジューネスティーンが何かに気がついて、それを確認しようとしていると思ったようだ。


 レィオーンパードは、ジューネスティーンの要求を聞いてくれたので、今度は、レィオーンパードの上半身を視界に捉えるように見ると、持っていたレィオーンパードの腕を引っ張った。


 最初はゆっくりと引くので、レィオーンパードは、直ぐに力を入れて引っ張られないようにした。


 その様子にジューネスティーンは納得するような表情をし、元に戻すと、今度は、もっと早く、自分自身の出せる一番早い速度で引っ張ったのだ。


 だが、直ぐにレィオーンパードは、力を入れたので、体重がつま先に掛かるような事は無かった。


 その早い動作を何度か行うと、ジューネスティーンは納得するような表情をした。


「うん、タイミングだけだと、本気で受けようとしている相手には通用し難いかもしれないな」


 呟くように言葉にしたので、レィオーンパードは、黙って聞いているだけだった。


 それは、ジューネスティーンが、考え事に没頭してしまい、その考えが言葉になってしまっている事を知っているので、レィオーンパードは黙って聞いて、ジューネスティーンの考えの邪魔をしないようにと思っているのだ。


「レオン、今度は、持ち上げるまでするからな」


 ジューネスティーンは、そう言うと直ぐに腕を引いてしまった。


「えっ!」


 レィオーンパードは、思わず声に出すが、突然、条件が変更になった事で、自分の気持ちの切り替えができなかったようだ。


 ジューネスティーンとしたら、今までのようにレィオーンパードが抵抗してくると思って、それなりの力を加えたようだ。


 レィオーンパードは、突然の変更についていけず、抵抗する力をかけるタイミングが遅れてしまったので、持ち上げられた勢いで、そのまま投げられてしまった。


 ジューネスティーンは、自分の考えをまとめるつもりで持ち上げたつもりだったのだが、レィオーンパードは準備が整わなかったので、勢いのまま投げられてしまったのだ。


「あっ!」


「ってぇ〜っ!」


 ジューネスティーンは、持ち上げるだけだと思っていたのだが、目の前の床に叩きつけられたレィオーンパードを見て、何でなんだという表情をしていた。


 レィオーンパードは、床に叩きつけられるとは思ってなかったので、叩きつけられて痛そうな表情をしていた。


「にいちゃん、酷いよ。 条件が変わるなら、もう一呼吸位タイミングをずらしてよ! こっちの準備が整ってないのに投げないでよ!」


 それを聞いて、ジューネスティーンは、レィオーンパードが準備できてない状況だった事に気が付いたようだ。


「ごめんよ」


 そういうと、ジューネスティーンは、レィオーンパードを引き起こすように手を引いて立たせてあげた。


 そして立ち上がると、レィオーンパードは、恨めしそうな顔をジューネスティーンに向けた。


「にいちゃん、変更する時は、ちゃんとこっちの様子を確認してよ」


 ムッとしたように言ったが、言い終わると、ジューネスティーンの表情が変わっている事に気がついたようだ。


「にいちゃん、何か閃いたの?」


 興味深そうに聞いたのだが、ジューネスティーンは、まだ、しっくりしたような表情ではなかった。


「うーん、何となくかな。 でも、今ので、もう少し考えたら、どうすれば良いか分かりそうだよ」


 それを聞いてレィオーンパードは、ジューネスティーンがヒントを得たのかもしれなと思ったようだ。


 レィオーンパードも教官に、手も足も出ずに完膚なきまでに倒されてしまったのだ。


 ジューネスティーンが掴んだ内容を知ることで、自分のこれからも決まってくるように思えたのだ。


 レィオーンパードにも、打倒教官という意識があった事から、ジューネスティーンの強くなる為の方法に便乗しようとしているのだ。


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