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再会 30 〜魔法の解説〜


 セルレイン達がアイカペオラに対して感心した姿が、アイカペオラには、大げさに見えた。


 まるで、出来ないと思われていた子供が期待以上の事をしてしまった事に驚いているように見えたので、3人の反応に不満そうな表情で見た。


「な、何でそんな反応になるのよ!」


 小言のように言うと順番に男子の顔を睨みつけた。


「あ、いや、そのー」


「ただ単に忘れていた事だ」


「その事に気が付いたのが、お前だったなんて、成長したなぁ」


 アイカペオラの言葉に、セルレインは答えに詰まって、ストレイライザーは、単に自分が忘れていた事を指摘してくれたアイカペオラに感心しただけだったが、アジュレンは自分より先に話の本質に気付かれた事が素直に喜べなかったようにへらず口を叩いたので、アイカペオラはアジュレンを睨みつけた。


 その様子をジューネスティーンが、アイカペオラとアジュレンを交互に見た。


「あ、魔法紋を描いた魔法についてなら説明できると思います。シュレの魔法は良く見てますから」


 少しオドオドした様子でジューネスティーンが声を掛けると、アイカペオラはアジュレンを睨みつけていたが表情を戻してジューネスティーンに顔を向けた。


 その様子を、セルレインはホッとした様子で伺っていた。


(おおー、ジュネス君。丁度いいタイミングで声をかけてくれた。もうワンテンポ遅れていたら、アイカペオラのマシンガントークにアジュレンが応酬して手がつけられなくなってたよ)


 セルレインは、シュレイノリアの方を確認すると、そこには胸にシュレイノリアを抱いて嬉しそうにしているウィルザイアがいた。


 シュレイノリアは、セルレイン達の様子を気にする事なく初めての感触を堪能するようにウィルザイアの胸に顔を埋め顔を動かし左右の感触を確かめるようにしていた。


(まるで親子のスキンシップみたいだな。まあ、ウィルザイアは、これからもシュレちゃんと色々話をする事も有るから、あのままでいいか)


 その様子を見てからセルレインは、ジューネスティーンを見ると何かを考えるような表情をした。


(それよりも、ジュネス君は絶妙なタイミングで話し出したなぁ。それにシュレちゃんの胸揉みの件には、一切触れず離れていたけど、あの場でシュレちゃんの暴走を止めるならジュネス君が一番良かったんだけど。……。まあ、メイリルダとシュレちゃんの事も、付き合いが長い分よく知っているのか)


 すると、面白そうだという表情をした。


(子供だと思っていたけど、今の発言のタイミングは良かったというのは、人の心の動きにも敏感だと言える。それにシュレちゃんとメイリルダの2人の事も良く分かっているから、女子の都合に積極的に関わろうとしなかったのか。俺達だって、あいつらが胸の話でもめている中に割って入ろうとは思わなかったのだから、危険にも敏感な可能性があるのか)


 セルレインは、パーティーリーダーとして5人の仲間を率いている。


 今まで、危険な依頼も有ったが、今も無事に活動しているのはリスクを回避し、無謀な冒険に進まなかった事にある。


 何にでも飛び込んで行くのは良い事だが、それが失敗で終わってしまう事は、リーダーとして取ってはいけない事となる。


 冒険者は魔物との戦いを行うということは、命のやり取りになる。


 リーダーならメンバーの命を危険にさらさない方法を選択しなければならない事から、わずかな変化を察知して命の危機を回避する必要がある。


 ジューネスティーンは、セルレインの男子メンバー達と同じようにシュレイノリアの暴走から距離を取っていた事が、セルレインには危機回避に対する感覚が鋭いかもと思わせたのだ。


 そして、アイカペオラがアジュレンの言葉に反応しようとする前に意識を変えさせた事をセルレインは見ていた。


(今の一言で場の雰囲気が変えられたのはリーダーとしての資質が有るって事なのかもしれないな。ギルドは、それも含めて俺達への依頼したって事か)


 ジューネスティーンは、アイカペオラの様子を伺っていたので、セルレインの様子には気がつく事なく話しを続けた。


「シュレの魔法は、イメージで魔法を発動させているから、言葉を発する事は無いです」


 聞いていたアイカペオラは、フーンという表情をしており、ストレイライザーは大して表情を変える事もなく黙って聞いていた。


 セルレインは、何だかジューネスティーンの様子を興味深そうに見ているが、今の話について考えているようでは無かった。


 アジュレンは、ジューネスティーンの話に信じられないというような表情をすると、その場に居たメンバー達を伺い、少し失望したような表情をした。


(おいおいおい、今、坊主はとんでも無い事を言ったのに気が付いてないのかよ! ストレイライザーはともかく、セルレイン、お前はリーダーなんだから、坊主の話を止めるんじゃない!)


 アジュレンは、セルレインをイラついたように睨むと、直ぐにジューネスティーンを見た。


「おい、坊主。それって、無詠唱で魔法が発動できるって事なのか?」


「はい、魔法はイメージが出来れば発動しますから、さっきシュレが剣を抜いた時に、最初の魔法紋を消した後に新しい魔法紋を描いたと思います」


 シュレイノリアは、魔法紋を消す魔法を発動させて今までの魔法紋を消すと、新たな魔法紋を描いたのだろうと自身が予想した事を説明したが、周囲は無詠唱で魔法を発動した事を詳しく説明して欲しかったのでメンバー達は微妙な表情をした。


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