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再会 29 〜仲介者〜


 シュレイノリアをウィルザイアの胸から引き剥がそうとしているメイリルダを見ていたセルレイン達は困った表情で伺っていた。


 特にセルレインとストレイライザーは、ここで何か言ったらアイカペオラに何を言われるかと思うと何も言えず、ただ黙って見守るしか無かったようだ。


 そんなセルレイン達に違和感を感じたのか、遠くに離れていたアジュレンが、様子がおかしいと表情に出しながら寄ってきた。


「なあ、セルレイン。メイノーマの試し斬りはやめたのか? それに、あの様子はどうなっているんだ?」


 不思議そうにアジュレンが聞いてくると、セルレインは困ったような表情をした。


「いや、よく分からない。魔法紋を何かしたみたいなんだが、気がついたら様子が変な方向にいってしまったんだ」


 アジュレンは、的を得た説明をしてもらえなかったので、セルレインと並んでシュレイノリア達を見た。


 セルレイン達もアジュレン程では無いにしろ離れた所で見ていた事もあり、全部の会話が聞こえていた訳では無いので、今の様子がよく分からず見ていただけだった。


 シュレイノリアが次々と女子の胸を鷲掴みにしていた事から、女子の胸の大きさに関する事でもめている事は理解できていたが、アイカペオラの居る場所で出来る話ではない事もあり言葉を濁していた。


 しかし、シュレイノリアがウィルザイアノ胸にしがみつき、それをメイリルダが引き離そうとしているのを見て、放っておく訳にもいかない事を男達は思っていた。


「あれ、どうするんだ」


 困った様子でアジュレンが聞くとストレイライザーも頷いた。


 2人は、シュレイノリアの暴走とメイリルダの怒りを抑えた方が良いと思って、解決策をセルレインに求めた。


「ああ、あのままって訳にもいかないけどなぁ」


 セルレインは、アジュレンとストレイライザーを見るが、2人とも触れたくない話題だと口を塞いでおり、セルレインも妙案は浮かばないのか困った表情をした。


(問題になっている内容が内容だからなぁ。俺達が止めに入っても逆に問題になって矛先がこっちに向きそうだからなぁ。メイノーマが何とかしてくれたら良いけど、何だか話に入りたがってなさそうだし、ウィルザイアは、……。何だか色っぽい表情をしているなぁ)


 解決策を探すように困った表情でメイリルダ達の様子を伺うと、ふと、何かに気が付いたように周りを見渡した。


(あれ? アイカペオラは?)


 先程まで居た場所にアイカペオラが居なかったので、慌てて周囲を確認すると、セルレインの真後ろを、ゆっくりと後ずさっていたアイカペオラを見つけた。


「お前、何で、そんな場所に移動しているんだ?」


 アイカペオラは、セルレインに見つかるとバツの悪そうな表情をした。


「あ、いやぁー、そのー」


 セルレインに答えたアイカペオラを、アジュレンとストレイライザーも振り返って見ると、その表情は明らかにお前の出番だと言っていた。


「ま、まあ、女子的な話だからなぁ、そう言う話は、女子の中で解決した方が、良いんじゃ無いかと思って、外そうかなぁ、なんて」


 苦笑いをしつつ答えたが、3人は何を言っていると言わんばかりのジト目で睨んだ。


「お前、女子じゃなかったのか?」


「……」


 アジュレンがツッコミを入れるとストレイライザーが無言で頷いた。


 セルレインは、アイカペオラの答えに一瞬イラッとした。


「すまないが、あれを何とかしてもらえないだろうか」


 セルレインの言葉に、アイカペオラはイヤそうな表情をした。


「だって、あれって、胸の大きさの話をしているじゃん。そんな中に私が入れるわけがないだろう」


 両手を振りながら答えるが、終わりの方になると自身の胸を覆い隠すように両肩に手を置き、恥ずかしそうに視線を横に向けた。


(そうだよなぁ、あれは男と見間違いそうな胸だからなぁ。メイノーマだって大きい方じゃ無いけど、あれよりも小さいとなると、メイリルダとシュレちゃんを説得するのは酷な話なのか?)


 セルレインは困ったような表情をするが、アジュレンはイラッとした視線を向け、ストレイライザーは、お前の仕事だと言うように威圧的な表情をしていた。


 アイカペオラは、顔を横に向けたまま、セルレイン達を見ようとしなかった。


(このまま沈黙が続いたら、アジュレンが何を言い出すか分からない)


 セルレインは、沈黙を嫌った。


「いや、俺達の誰かが、あの中に入ったら、要らぬ誤解を招きかねなだろう」


「そうさ。俺が間に入ったら、……。絶対に耳を掴まれてしまうはずだ。お前の方が問題にならないはずさ」


 セルレインは、アジュレンの言葉を聞きつつストレイライザーを見ると、うんうんと頷いたので、変な方向に話が進む事にならなかった事に安堵するように肩の力が抜いた。


 しかし、アジュレンは青い顔をして、後ろに倒した耳を両腕で覆い隠すように顔の両脇に当てた。


「俺が仲介に入ったら、絶対に耳を握られてしまう」


 自分で言ってしまって、その時の事を思うと寒気がしたようだ。


 亜人は人とは違い、その動物の特徴である尻尾と耳を持っており、他人に触られる事を嫌う。


 尻尾は、尻の割れ目、腰骨の下の方から伸びている事から尻尾の付け根が肛門に近い。


 他人に尻の谷間を触られて嫌がらない人も亜人も居ないため、尻尾を触られる事を亜人は嫌う。


 そして、ウサギの亜人であるアジュレンは大きな耳を持っており、その耳は敏感である事から他人に触られることを嫌う。


「シュレとウィルザイアを離そうと割って入ったら、あの娘は絶対に俺の耳を握るはずさ!」


 それを聞いたセルレインとストレイライザーは否定する事はなく、納得して可哀想だという表情をしたが、アイカペオラは、また、一歩下がった。


「だって、私は、シュレちゃんの気持ちが分かるっていうか、羨ましいと思う」


 本音が漏れてしまった事に焦り、ハッとなると言葉を振り払うように両手を振った。


「じゃなくて、姉さんのような大きさも無いから、あの状況を解決なんて、できないから!」


 答えながら、顔を赤くした。


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