再会 28 〜シュレイノリアのわがまま〜
ウィルザイアは、シュレイノリアの顔を自分の胸に押し付けると、慈愛に満ちた表情をした。
(そうよね。私も子供の時は無かったから羨ましかったわ。子供の頃はお母さんの胸に顔を埋めるのが好きだったから、シュレちゃんも同じように思っているのかもしれないわね)
すると、自身の胸を掴む手に力が入った事に気がつき、胸の中に抑えた頭が後ろに下がろうとしたので力を緩めると、シュレイノリアは胸の中に埋もれた顔を引き離せた。
「プッハーッ!」
何だという表情でウィルザイアは、シュレイノリアを見ていた。
「苦しかった。顔が完全に埋まって、口も鼻も塞がれてしまった」
シュレイノリアは、少し恥ずかしかったのか、それとも息苦しくてだったのか、顔を赤くしていたので、ウィルザイアは愛おしそうな表情で見ていた。
しかし、違和感に気付いた様子で徐々に顔を赤くし、その違和感を感じる方向に視線を向けた。
「ねえ、ちょっと。……」
ウィルザイアは、頬を染めて少し艶やかな声を出した。
「柔らかい」
シュレイノリアの手はウィルザイアの胸にあって柔らかさを確認するように動いていたので、ウィルザイアは言葉と自身の胸で蠢く小さな手の感触によって耳まで赤くした。
「あ、あのね、シュレちゃん。その手を退けてもらえないかな」
ウィルザイアが困ったように言うが、シュレイノリアの視線は自身の胸を弄るように動く手から移る事は無かった。
「いや、さっきの2人とは違ってとても柔らかなんだ。もう少し触らせておいてくれ」
その答えにウィルザイアは困ったような表情をするだけで、それ以上何かを言う気は無いようだ。
一方、シュレイノリアは、ウィルザイアの胸を興味深そうに肋骨の部分から柔らかな双丘の隅々まで上下左右を問わず触ったり揉んだりしたので、ウィルザイアは、困ったような表情をしたが、手の位置が変わり指に力が入るのを感じて恥じらうような表情になった。
「なんともいえない、今まで感じた事がない柔らかさだ」
シュレイノリアは感想を言うと、自分の横顔をウィルザイアの胸の谷間に当て、嬉しそうな表情をして目を瞑った。
それは、子供を抱く母親の胸に顔を埋める子供のように見えたが、時々、シュレイノリアの手はそれぞれの双丘の中央部分で動いていたので、ウィルザイアは、その度に恥ずかしそうにしていた。
その様子を目の前で見ていたメイノーマとメイリルダは呆然としていた。
「うー、私には、あんな顔を見せてはくれなかった。何だか、小さい子供がお母さんに甘えているみたいで羨ましいです」
メイノーマがポロリと声に出すと、メイリルダはハッとなった。
(3・4歳の子供じゃ無いんだから、それは無いでしょ)
メイノーマは、シュレイノリアの後ろに寄ると腰骨の辺りに手を当てて引き剥がそうとした。
「シュレ、やめなさい。初めて会う人の胸に手を当てて顔を埋めるものではありません!」
メイノーマは、少し慌てた様子で引き離そうとした手に力を入れた。
(流石に今のシュレをジュネスに見せるのも、周囲にセルレインのような男子達も居る前では、まずいでしょ)
いくら子供のシュレイノリアであっても、ウィルザイアの大きな胸を弄ぶような事を見せるのは悪い事だと思ったのだ。
しかし、引っ張られたシュレイノリアは引き離されまいとウィルザイアに手を回して顔を胸に埋めて離されないようにした。
「いやだ! ここが良い!」
その答えにメイリルダは、余計に気まずい表情をした。
「何言っているのよ! 人前でする事じゃ無いでしょ! それも今日出会ったばかりの人になんて! はしたないでしょ!」
メイリルダの言葉はもっともな事だが、シュレイノリアは、初めての感触がとても心地よく感じていたのか離れようとしなかった。
「この大きさと柔らかさは至宝だ! もう少し堪能したい!」
2人の話をウィルザイアは恥ずかしそうに頬を染めて俯いており、イヤそうな様子は伺えなかったが、メイリルダには引っかかる言葉があったようだ。
「大きさ?」
シュレイノリアの言葉を聞いて、メイリルダは呟くと面白くなさそうな表情をして引っ張る腕に力が入った。
「何、言っているのよ! ウィルザイアさんも困っているでしょ! だから、は、な、れ、な、さい!」
シュレイノリアを離そうとしているメイリルダにも力が入ったが、シュレイノリアもウィルザイアの胸から離れまいと必死にしがみついていた。
「嫌だ! ここはメイより居心地が良い!」
その瞬間、メイリルダの表情が豹変し、チラリとシュレイノリアの顔の両脇に膨らんでいるウィルザイアの胸を見た。
(私のが小さいって言いたいわけね!)
シュレイノリアの言葉はメイリルダに刺さったようだ。
「シュレ! 言って良い事と悪い事があるわよ! あんたなんて、真っ平じゃないの! ほら!」
メイリルダは今まで腰に当てていた手をシュレイノリアの胸に移して引っ張り出したので、ウィルザイアノ胸に顔を埋めているシュレイノリアは一瞬ギクリとしてから顔を真っ赤にすると、絶対に離れないと言うようにウィルザイアに回した腕に力を入れた。
「メ、メイの、バカァ!」
シュレイノリアは、絶対に離れないと言わんばかりに罵声を飛ばした。